ぼくももうオトナ・・・というか、既に人生の後半に深く足をツッコんでいるわけだから、手に入れたいものを目の前にしてもさすがに子供のような態度というか、衝動はなくなってきたように思う。今まさにそういう状態である。そう、現在、絶賛物欲発動中なのである。
今回の物欲の対象は、iPadである。
いや、現在持っている機器は、5年も前に購入した第2世代の機器で、経年のためしょうがないのだけど、動作が鈍くなったり、たまにフリーズしたりするようになっている。絵なぞを描いていてフリーズすると、そこで作業を中断して、メモリの空きが確保できるまで作業を中断しないといけない。また、画面を走らせるペンの速度に遅れるようなこともあって、些細なことではあるけど、楽しいお絵描きなのにストレスを感じたりするわけである。
そんなわけで、せっかく貯めた貯金を崩すのはもったいないけど、ここはひとつ新しいiPad購入に向けて、気持ちを切り替えてみようと思っている。
さて、ぼくがiPadを手に入れて5年の歳月が流れる中で、iPadは今や第6世代だそうな。メモリもCPUもストレージも格段にパワーアップして、ほとんどプロのクリエイターが使うマックパソコン並みの処理能力だそうである。いや、そんな物凄いパワーを持つ機器で、下手っぴなお絵描きをするのは非常に恐縮なのだけど、しょうがないのだ、お店で売っているiPadがもうそれしかないのだから、うん。
とは言え、購入に際して、ひとつだけ気がかりなことがある。第2世代はいわゆる指紋認証で、そのために指を当てる部分が存在していたのだけど、新しいiPadは顔認証になり、このため画面がかなり大きくなったのだ。最近のiPhoneなんかもそうだけど、機器の表側がほとんどフチなしでディスプレイになっている感じである。そうなると、機器を手で持つ際に指をかける部分がかなり狭くなる。iPhoneなどは手のひらに乗せるようにして使用するので問題ないけど、iPadはディスプレイの外側、縁の部分を持って機器を支えて使うから、この縁部分が狭いと非常に持ちにくくなるのだ。
しかし、これはどうもぼくのように特殊な持ち方でお絵描きをする場合の問題である。ネットで検索してみると、iPadでお絵描きする際は一般的にはデスクの上に置いた状態で使用している。つまり、紙に絵を描く時のようにデスクに向き合って、上体を前に倒して上からディスプレイを覗き込むようにして描いているわけである。これならわざわざiPadを手で持つということはせず、デスク上に固定した状態でお絵描きができる。
しかし、ぼくはそもそもそういう姿勢でお絵描きをしていないのだ。態勢としてはむしろ逆とさえいえる。
チェアの背もたれに身体を預け、両足を前方に出して、別の簡易チェアの上に乗せた姿勢で描いているのだ。まるで中世の貴婦人がふかふかのソファの上に半身を横たえ、足をオットマンの上に置いて寛いでいるかのような姿勢である。そんな姿勢だから、当然ながらiPadを置くデスクはなく、機器を手に持って描くしかないわけである。そう、このiPadの縁が狭いという点の根源は、そもそもぼくの描画姿勢に起因しているわけである。
そうであれば、そういう姿勢で描くのを辞めればいいのだ。
ぼくだって紙に鉛筆と絵具で描いていた頃は、デスクに向き合って描いていたのだ。実際にその方が描画には望ましいハズである。iPadを片手で持つという不安定な中で描いてもキレイな線は引けないわけだからね。うん、そっちの方がいいかもしれない。新しいiPadではそういう一般的な姿勢で描くかな・・・いや、ダメである。もはやデスクに向き合う姿勢を取れない別の事情が存在するのだ。
そう、ネコである。
デスクに向き合って前傾姿勢で描く姿勢は、ネコが嫌がるのだ。
足を伸ばした姿勢なら、その上にネコが飛び乗ってきて、ネコもリラックス、ぼくは時折ネコを撫でながらリラックスしてお絵描きができるのである。そう、これがぼくの到達した究極の描画姿勢なのだ。これと同じ姿勢で描画できなければ、iPadの処理速度がどれほど早くなろうと、ぼくはストレスを抱えた状態で描くことになるだろう。いや、ネコだってストレスを感じるハズである。そんなストレス渦巻く部屋の中でいい作品が生まれるハズがない。この究極の描画姿勢は、iPadを新しくしたとしても維持したい。だからiPadを片手で持つ必要があるのである。
うん、これまで大層な理屈を並べてきたけど、結局はネコが起因していたわけだね。ぼくをここまで悩ませるネコという存在は一体何なのだろう。やはり地球はネコを中心に回っているのである。
さて、そんなわけで、ネコと一緒にお絵描きする環境を手に入れるために、iPadを購入するにあたっては、片手で機器を持てるようなケースも購入しないといけないだろう。ネットで探してみると、いくつか良さそうなものが見つかっている。少々お高いけど、これもいい絵なぞを描くためであり、ネコのためでもあるのである。
※これからもこんな姿勢で描き続けたいものである。
iPadをいつ購入するか、まだ分からない。
唐突に思い立って買いに出かけるかもしれないし、買うと言いつつもしばらくは現行機器で頑張るかもしれない。まあ、買い物というのは、それを手に入れるまでの間が一番楽しいわけだからね。