晴れた日のことである。ぼくは仕事の関係で、同僚と一緒に外出することになった。ちょっと乗り換えの面倒な地下鉄を乗り継いで、訪問先に赴き、仕事を終えて会社に戻ることにした。そこでふとぼくは別の仕事を思い出し、そこから近い別の訪問先に向かうべく、同僚と別れた。
内幸町から霞が関方面に少し歩いて仕事を終えたところで、ふと思ったのだ。内幸町に戻って日比谷を経由して有楽町から永田町方面に向かうよりも、ここからテクテク歩いて行った方が近くないだろうか。
グーグルマップを見ると、たしかにそうである。国会議事堂の裏を通過して行けば、約3キロほどの距離である。3キロを歩くか、地下鉄を乗り継ぐか。幸い時間に余裕があったし、よく晴れた日だったので、ぼくは歩くことにした。
国会議事堂の表通りはクルマでも自転車でも歩きでも通ったことがあるけど、裏通りは通った経験がない。何か絵なぞかなんかに役立ちそうな風景とか建造物とかあったらいいなとちょっと思いつつ、ぼくは霞が関ビルをかすめて、永田町方面に歩き出した。
首相官邸とか国会議事堂とか、テレビで観るような施設が立ち並ぶ中、歩道には何やらシュプレヒコールをあげる人たちが多くいた。ちょうど昼休みの時間ということもあって、周辺の民間企業で働きつつ政治活動する人が集まってくるのだろう。騒々しい中を歩いて国会議事堂の裏側を抜ける道を歩いていた、その時である。
前から見覚えのある女性が男性と一緒に歩いてきた。この女性はぼくのよく知る人だった。
社民党の福島瑞穂氏である。おお、国会議事堂の辺りを歩いていると、政治家に出遭ったりするのか。
ぼくは福島氏が嫌いではないので、すれ違いざまに思わず声をかけてしまった。思った通り背の低い女性だった。
「お忙しいところすみません。一緒に写真を撮ってもらっていいですか?」
福島氏は嫌な顔ひとつせず、一緒に歩いていた男性(秘書かな?)に写真を撮るように言って、ぼくと一緒にiPhoneのレンズにおさまってくれた。解散総選挙後の国会がまさにこれから始まろうという忙しい中で、きっとどこかに向かっていたであろうタイミングで、支援者かどうかも分からないおっさんに声をかけられて、それでも嫌な顔をしないで1、2分の時間を割いてくれるなんて、いやはやいい人である。ぼくは社民党を支持しているわけではないけど、こういう姿を見るとちょっと応援してもいいかなーと思うようになる。現金なものである。
それからぼくは、再びテクテク歩き、10分くらいで永田町の先まで抜けていた。いやなかなか楽しい散歩だった。散歩しながらも、いろんな出会いがある会社の界隈は、やはりなかなかいいロケーションである。こういうのが楽しいので、東京で働くのも悪くないなと思ってしまう。
また仕事のついでに外出して散歩でもしてきたいものである。
※国会議事堂の裏手で社民党・福島瑞穂氏と。