「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
逆走の怪。

先日、会社から休みをいただいて家でゆっくりしていたら、夕方前に急きょ仕事の関係で秋葉原に行かなくてはいけなくなって、まあ天気も悪くて家でゴロゴロしていてもしょうがないので、クルマに乗って秋葉原に向かった。仕事は特に問題なく終わったのだけど、問題はその帰りである。
秋葉原に来た時には晴れていた天気が、どんどん悪化して、暗くなる頃にはかなり強い雨になった。仕事を終えたぼくは日が暮れて薄暗くなった秋葉原を出て、雨の中を運転した。夕暮れ過ぎの雨の運転はなかなか神経を使う。しかも秋葉原周辺は不慣れな道なので、物凄く注意をして運転したものである。
新橋方面から品川に向かう中、ようやく見知った道に出たところで、ふいに前方の影に気が付いた。自転車が走ってきた。雨の中で傘を差して、無灯火で、そして右側通行、つまり逆走で走ってきたのである。ぼくは片道3車線の中央の車線を走っていたので、ふいに現われた自転車に接触することはなかったけど、それでも非常に怖い思いをした。もし端の車線を走っていたら、自転車の接近に気付かず接触していたかもしれない。そう思うとドキドキしてくる。いや、怖い思いをしたものである。

 

それにしても、傘を差して、つまり片手運転で、無灯火で、逆走するというのは、ホントにどういう神経しているのだろう。自転車は交通弱者で、クルマの方に注意義務があるとは言え、これで事故が起きて、責任負担が多くなったりするのはどうにも納得がいかないわ。危ない運転をしていたのはどっちだよ!?と思う。

 

どうして逆走が減らないのだろうか。
法律では自転車は軽車両であり、車道を走ることになっている。ママチャリが歩道を走るのは、あくまで例外的なもので、車道を走行するのが原則である。車道を走行するのであれば、これも法律の定めで左側通行で走らないといけないわけで、右側通行は完全に法律違反なのである。この法律がどうもあまり浸透していないような気がする。
自転車は歩行者に毛が生えたような存在であり、だから歩道を走ってもいいし、いや歩行者が車道を歩かないのと同じように自転車も車道を走らない。歩道を歩く歩行者は右側通行とか左側通行とか特に決まっているわけではなく、歩道を自由に歩くこともできる。歩道が狭くて車道を歩いたりする時も、基本的にはどちらを歩いても構わない。さらに、歩行者に毛の生えたような存在である自転車も同様で、歩道から車道に出る場合でもどちらを走っても構わない・・・そんな間違った認識がかなり根深く浸透しているんじゃないだろうか。「自転車は車両である」という原則すら知らない人もいるんじゃないだろうか。
そこでふと思い出すのは、テレビコマーシャルである。いわゆる商業CM的なものでなく、某公益法人みたいにテレビコマーシャルで啓蒙することはできないものだろうか。いや、そもそも自転車を作ってるメーカーなどがその社会的責任の一環として、啓蒙のためのテレビコマーシャルを作ってもいいんじゃないかと思うのだ。
実際、世の中には逆走してきた自転車と接触して、悲劇的な展開になった人だっているだろうと思うからである。そしてぼくがその当事者になることだってあり得るわけである。

 

自転車に関連する産業において、日本企業は世界でも有数の企業を有している。自転車メーカーもそうだし、自転車の部品メーカーも世界で高いシェアをもっている。そんな企業がその社会的責任において、どうして啓蒙活動をしないのだろうとずっと思っていた。世界企業であるがゆえ、ちっぽけな日本での社会問題にあえて手を出すようなことはしないというスタンスでもあるのだろうか。

 

ちなみに、日本の道路は自転車が車道を走るのに適しているとは言えない。昔からどういうわけか、自転車が歩道を走る現状を許容して、逆に歩道を広げたり、側道がさほど広くなかったりする。首都圏の中でも自動車を念頭に置いて作られた交差点など、自転車で走るのはかなり危険な道路もあったりする。そんな道をママチャリも含めた自転車を走らせるのは、さすがに危険だろう。ママチャリに乗ったお母さんが、最近自転車に乗れるようになってフラフラ走る子供を引き連れて走ってる姿をたまに見かけるけど、彼らに「車道を走れ」というのは酷だろう。
そういう道路事情を慮って、自転車ルールの周知など啓蒙活動にちょっとした躊躇が出るのは分からなくもない。しかし、逆走は話しが別である。逆走だけで、それはもうかなりの危険運転行為なのである。
逆走する自転車を放置することで、自動車との接触事故が多くなり、同時にクルマを運転していた人が悲劇的な人生を送るなんてことに繋がるのである。既にかなり大変な社会問題になってると思うんだけどな。

 

秋葉原からのドライブ中に起こったぼくのヒヤリ体験は、悲劇的人生のほんの小さな前触れかもしれない。ハインリッヒの法則によれば、1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故、そして300件のヒヤリハット体験があるんだそうである。雨で視界の悪い中、暗闇から突如現れた逆走自転車が、ぼくのヒヤリハット体験の300分の1になったことは確かである。
これからも注意して運転しないといけないなー。

| 自転車日記 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0)
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