「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
千葉の時代。

千葉県市原市の養老川河岸の地層が、地質学における年代の名称「チバニアン」として命名される運びであることが分かったそうな。チバニアンとは、ラテン語で「千葉の時代」を指すそうで、ここの地層が77万年〜12万6千年前の時代の特徴を残しているんだそうな。当時は地球の磁場は今と正反対になっていたそうで、地球の歴史においては最後に磁場の逆転が起こった時代として、重要度が非常に高いんだそう。そんな時代の名前に千葉の名前が採用されるというのは、非常に名誉なことである。チバニアンの名前が、ジュラ紀や白亜紀などと並んで表記されるなんて、嬉し恥ずかし、こそばゆい感じである。
しかし、千葉というのがなんだか違和感を禁じ得ない。いやあくまで個人的な感想なんだけどね。なんだろうな、ちょっと表現しにくいんだけど、千葉という行政区の名称が地質学のような普遍的な名前に使われることの違和感というのだろうか。たとえば、千葉駅のある周辺でそういう地層が見つかったら、そりゃチバニアンでいいんだろうけど、千葉といっても房総半島の中央部辺りなわけで、そこはたまたま行政上の区画としてここを「千葉県」としているからに過ぎないわけで、この土地を千葉というのは、どうもしっくりこない。たとえば、養老川で発見されたことを根拠に「ヨウロニアン」とかなら、分からなくもないけどね。
あまりいい例じゃないかもしれないけど、たとえば伊豆半島の中央辺りで、地質学的に重要な発見があって、これに「静岡」の名前を付けるとしたら、どうだろう。いや、伊豆は静岡県にあるんだから、別に間違ってはいないんだけど、それでも「静岡」よりは「伊豆」の名前をとった方がしっくりくると思う。それと同じかどうか分からないけど、ともかく違和感があるわけである。

 

時代の名称だけではなく、さまざまな分野で国際的な学会が採用する名称というのは、地名を由来にしつつもっと狭い範囲というか、特定的な地域の名称を使っていると思う。
たとえば、ネアンデルタール人の名称は、ドイツのネアンデル谷から化石が発掘されたことが命名の根拠になっている。クロマニヨン人もフランス・クロマニヨン洞窟にその由来がある。時代の名前でも、ジュラ紀はスイス・ジュラ山脈にその語源があり、ペルム紀もロシアのペルミという地名に由来するそうである。
こうして見ると、地層の名前に千葉というのは、やはり違和感があるように思われるけど、さらに調べるとそうでもないことが分かる。
カンブリア紀の由来はイギリス・ウェールズのラテン読み、デボン紀はイギリス・デヴォン州、つまり行政区だよね。シルル紀やオルドビス紀はそれぞれイギリスの古民族の名称シルリア族、オルドウィケス族に由来するんだそうな。つまりまあ、命名については、結局なんでもありというわけである。
だからチバニアンという名称にあれこれ言うのは、難癖をつけているに過ぎないわけである。ぼくがどう感じようと、ね。

 

先に書いたように、なんでもありなのであれば、ぼくも少しは納得してもいいと思うのだけど、それでも違和感がなくならないのは、もしかしたら別の理由かもしれない。たとえば、「チバニアン」という言葉の語感から来ているとか。
そう思うにつけ、即座に連想するのは、つい数年前に幼児たちの間で流行したアニメ「妖怪ウォッチ」である。ここに登場するキャラクターのひとつが、たしか「ジバニャン」といったか。そうだ、チバニアンとジバニャン、ここに違和感の鍵があった。地質学上の名称という重厚なイメージとアニメのキャラクターという軽さの対比。これが違和感の正体かもしれない。せっかく国際学会が認めてくれた名前が、今や流行が過ぎ去ってしまったアニメの名前に似ているという衝撃の事実である。こりゃ、違和感もしょうがないね。

 

そんなわけで、今回のチバニアンの命名で、国際的にも名前が知られ、養老川にはたくさんの研究者や観光客が来るだろう。これをただの観光のネタにしないで欲しいなと思う。この地層が地球が歩んできた波乱万丈な歴史を生き生きと語る重要な場所であることをしっかり理解して保全に努めて欲しいなと思う。そう、観光の具にするあまり、変な看板とか立てないで欲しいわ。
「チバニアンの成り立ちをジバニャンが分かりやすく解説するニャン」とかね。

※これがジバニャン。・・・カワイイ。

| 最近のニュースから | 13:43 | comments(0) | trackbacks(0)
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