「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
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ダイヤ改正後の風景。

今年3月に首都圏のJR私鉄各線の運行ダイヤが改正された。
今までもダイヤ改正は何度もあり、ぼくが通勤で利用する京浜東北線・桜木町駅で乗る始発電車の発車時刻も少し変わったりもしたけど、今回の改正では、桜木町駅を始発とする電車が大きく変わることになったのだ。7時台に4本あった始発電車が2本に減らされたのである。今まで大きな変化がなかったからなのか、今回は精神的にかなりがつーんとくる変化である。
かつての桜木町駅始発の電車は、細かい時刻はウロ覚えだけど、7時05分、7時20分、7時30分、7時40分があり、ぼくはそのうち7時30分の始発電車に乗っていた。この時刻なら、多少寝坊しても7時40分に乗れるし、家を出る時間がちょっと早くなれば7時20分に乗ることもできるわけである。
あえて始発電車に乗る理由は、言うまでもなく、座れるからである。40分以上もの長い満員電車をより快適に過ごすためと、日頃の寝不足を解消するために、ぼくはわざわざ始発電車に乗るわけである。ストレスフルな毎日の中で、座って通勤できる時間がぼくに与えられたわずかな安らぎの時でもあるのである。
しかし、今回のダイヤ改正で大きく変わってしまった。7時05分発と7時30分発以外は、廃止されてしまったのだ。
いや、ぼくが利用していた7時30分発の電車が残っているのだから、何も問題はないと思うかもしれない。朝の起床から始まるぼくの生活リズムは一切変えることがないわけで、その点ではダイヤ改正の影響はないと言えるんじゃないかと思うかもしれない。
それが全然違うのだ。
劇的に変化したのは、ぼくの生活リズムではない。朝の桜木町駅のプラットホームの風景が、かつての姿から一変してしまったのだ。
始発電車に乗ろうとする人は、ダイヤ改正前の7時台には電車4本分いたわけである。これがダイヤ改正で2本に減らされた。減らされた方の始発電車を利用していた人は、当然別の始発電車を使おうとする。以前7時20分に乗っていた人は、どうするか。早起きをして、1本早い7時05分に乗ろうとするか。そういう人もいるだろう。しかし、水は低きへ、人は易きへ流れるものである。つまり次の始発電車、7時30分発に流れていく。さらに以前7時40分に乗っていた人はどうするか。次の電車は8時08分である。つまり30分近く遅くなることになるわけで、そうであれば頑張って早起きして10分前の7時30分に乗ろうとするだろう。つまり、7時30分には、従来からの利用者に加えて、7時20分と7時40分の利用者が流れ込むわけである。もともと3つに分割されていた始発電車の利用者が、一挙に1本に集まるわけである。
ダイヤ改正前のぼくは、始発電車の時刻に間に合わせるために、発車時刻の10分くらい前に駅のプラットホームに着くようにしていた。ぼくが階段を上っていくと、先発の7時20分発の電車が発車を待って停車していて、そのドアの前には、次の始発、7時30分の電車に乗るための2、3人の乗客が既に並んでいた。
しかし今は違う。7時30分の発車のために、7時10分にはプラットホームに行かないといけないのだ。いや、その時点で既に10人程度は並んでいる。先頭で並ぶためにはさらにその前、7時過ぎにはプラットホームに行かないといけないのだ。発車時刻の30分前である。朝の貴重な時間を30分もの間、電車が発車するのをひたすら待たないといけないのである。
いや、分かっている。これがどれほど非生産的な行為かというのは、ぼくなりに充分理解しているつもりである。座席に座りたいために、30分も駅で待機するというのは、朝の時間がどれほど貴重かを置いておいても、かなり滑稽な行為である。そんなに座りたいか!とさきこに一喝されてしまう。いや、座りたいんだけどね。
ちなみに、お目当ての7時30分発の電車が来て、実際にドアが開くと、その瞬間から戦争開始である。怒涛のように車内に乗客がなだれ込み、まるで音楽が停まった瞬間のフルーツバスケットのように壮絶な席取り合戦が始まるのだ。これは見ていてかなり滑稽である。いい大人がたかが座りたいために、赤の他人とケンカ上等でフルーツバスケットをやるわけである。ぼくはそういうのは嫌なので、充分座れる順番になるように速めに家を出て、せめて先頭から3、4人の位置に並ぶようにしている。ぼくもさすがにフルーツバスケットをするくらいなら、立って乗車する方に甘んじる覚悟はある。

 

ともかく、朝の桜木町の風景は、一遍した。
長い通勤時間を少しでも優雅に過ごすために始発電車を選択していた人たちが、互いに互いをけん制し合う殺伐さを生んでしまったのだ。
なぜ、こんなことになったのか。
なぜ、JRは4本もの始発電車を半分にしたのか。しかも混み合うことが分かっていて7時30分発車を残したのか。
その理由をどうしても知りたい。
桜木町始発の本数を犠牲にしてでも優先すべき何か別の理由があったのか。たとえば、桜木町始発を削減して、他の駅、たとえば鶴見始発を多くしたとか、桜木町始発のために南行する桜木町止まりの電車を削減して、南行の電車を削減、つまり人員や車両を他に効率良く回すことを画策したのか。それともシロウトには想像もつかないような理由があるのだろうか。どうすれば、その理由の一端でも伺い知れるだろうか。
不条理にも朝の早起きを強要され、しかもプラットホームの和やかな雰囲気を一変させた元凶であるダイヤ改正の真意をぼくはどうしても知りたかった。

 

最近の時刻表はネットに掲載されている。京浜東北線もネットで検索すれば、駅ごとの運行時刻や行き先、始発かどうかなどを確認することができる。しかし、ダイヤ改正を機に、過去の時刻表は消去され、最新の時刻表だけが表示されるようになった。ネットで画像をコピーでもしておかない限り、過去の時刻表、しかも他の駅の始発本数の変化を見るためには桜木町以外の駅の時刻表を確認することはできないわけである。
では、書籍の時刻表はどうだろう。2か月前の時刻表が手に入れば、最新の時刻表と比較して、ダイヤ改正前後の状況を知ることができる。これなら何らかのヒントが掴めるハズである。どうやって過去の時刻表を手に入れようか思案していたら、ふと古本で手に入れる方法を思いつき、いや単純にネット通販なんだけど、先日ようやく2か月前の時刻表を手に入れたのだ。
しかし、これも失敗である。鉄道マニアの人には常識的なことなんだろうけど、山手線や京浜東北線は、始発後の数本、終電前の数本以外は確定的なダイヤが時刻表に掲載されているのではなく、「日中は3〜15分の間隔で運行」などと記載されるにとどまっているのである。他の電車のように、すべての電車が時刻表に表示されているわけではないのだ。当然、7時台のダイヤも確定的な時刻が表示されていない。書籍の時刻表で比較することはできないわけである。
さて、どうするか。
世の中には「ダイヤグラム」というものがあるそうである。運行図表ともいわれ、それぞれの電車が何時にどこの駅を着くかをグラフ化したものである。そもそも「ダイヤが乱れている」という時のダイヤとは、このダイヤグラムを指すのである。電車は基本的にこの表で運行が管理されていて、これを駅ごとに切り出したのが、時刻表なのである。
京浜東北線の新旧のダイヤグラムを入手できれば、始発電車の本数などを比較できるかもしれない。
鉄道マニアはまめな人が多いのか、ダイヤグラムを自分で描いてネットにあげていたりする。ぼくは早速ネットで検索して、ダイヤグラムをパソコンの画面に表示してみた。
・・・が、これはぼくにはちょっとハードルの高い図表である。いや、構造は分かってるつもりである。斜めに引かれた線を辿れば、その電車がどういう振舞いをするのかが分かるハズである。しかし、なんだろう、細かすぎるからだろうか。手に取るようにわかるハズのダイヤグラムが全然分からない。きっと本来は紙で出力したものを、指で辿ったり蛍光ペンで色付けしたりして使うものなのだろう。細かいのは最初から織り込み済みで作られている図表なんだろう。ネットでちょろっと閲覧するには、細かすぎる。

 

ダイヤグラムの難解な図表を前にして、ぼくのモチベーションは急速にしぼんでしまった。
思えば、ぼくはただ桜木町始発の本数が減少した理由を知りたかっただけなのだ。その長い検証の過程で、ダイヤグラムを読み解くノウハウが必要であることが分かり、その壁の前でぼくは立ち尽くしてしまった。
「ま、いいか・・・」と思ってしまった。
理由が分かったところで、何かが変化するわけではない。今までどおり7時30分発の電車に間に合うように自宅を出て、席争奪戦が過度に過酷にならない時間帯に駅に着き、何ら生産的なことをせずにただプラットホームに立って電車を待ち、いい大人が演じるフルーツバスケットを眺めるのだ。あの様子だと、そのうち殴り合いのケンカに発展するんじゃないかな。
しかし、まだ希望は捨てていない。
ネットや書籍の時刻表でもなく、ダイヤグラムでもなく、全然違う方法で、この問題にアプローチできる方法があるかもしれない。いや、鉄道マニアの方がいれば、ぜひお知恵をお借りしたい。ちょっと努力すれば、ダイヤグラムを簡単に解読できるスキルを手に入れるかもしれないし。

 

いや、そもそもの話し、ぼくが京浜東北線を利用することが最適な通勤手段かどうかも検証した方がいいかもしれない。思えば、満員電車で立って通勤、いや痛勤していた時を思えば、こうして始発電車に座って通勤するようになってから、ぼくの肥満には拍車がかかったような気もしている。ダイエットのためにも、京浜東北線で立って通勤するのを考えてもいいのかもしれない。またかつて殺人的ラッシュだった京浜急行も最近はさほどでないと聞く。電車で本を読むということもなくなったし、もしかしたら始発電車がぼくをどんどん退化させているのかもしれない。
この機に始発電車を見直すのもいいかもしれない。始発電車を目指して早起きするよりも、普通に通勤することでちゃんとした睡眠時間が長く取れるということもあるかもしれないからね。

 

※当初はこのブログには、始発本数減少の理由を見事突き止めたその顛末を書く予定だった。しかし、その壁が予想以上に高く、越えがたいものだったので、やむを得ず、目的を達しえなかった現状までの経緯を書くにとどめるハメになってしまった。ホント残念である。このナゾの解明は、遠のいてしまったけど、いつか別の形で、このようなナゾに挑めるようになればいいなと思っている。

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