土曜日は長い一日でした。
川崎の金管バンドの演奏会本番を翌日に控え、気合の練習の後、
横浜へ戻り、さきこと食事なぞして、演奏衣装のフォーマルスーツに
蝶ネクタイが見当たらなかったことを思い出し、
やむを得ずディスカウントショップに買いに行こうと、
夜11時、信号待ちからチンクを発車させようとしたその瞬間、
スコンとギアの抜ける感触があって、発車に失敗、
再度ギアを入れ直して、クラッチを繋げようとしたけど、
ガリガリと物凄い音を立ててギアがかみ合わない、
いわゆる「壊れた」状況が発生してしまった。
最初は、何が起こったか分からなかったけど
とりあえず、後続車に合図して、先に行かせる。
この辺はなんかもう慣れたもんだね。
こうして深夜の住宅街、家からちょっと離れた道路で、
しゅんすけのチンクは立ち往生となったのでした。
いや、今回はちょっと深刻かも。
しゅんすけの想像では、ギアの接続に何らかの問題が発生して、
物理的に何かが壊れた感じ。
さきこに押してもらって、道路脇に寄せて、何度か試してみても、
ギアは一向に繋がらない。
かなり最悪な状況。
チンク屋は既に閉まってる時間だし。
やむを得ずJAFを手配することとなった。
JAFの兄ちゃんは、20分ほどで到着して、チンクを見るやいなや、
「あー、フィアットって言うから、覚悟してたけど、やっぱり500かー」と
深夜の住宅街に響く能天気な声で言う。
しゅんすけの初代カローラが中央道でトラブった時も、
来てくれたJAFの兄ちゃんは、能天気な大声で、
これが逆にしゅんすけの惨めさをさらに惨めにしたんだけど、
これはJAFが良かれと思ってわざとやってんのかもな。
ともかくも、状況説明を聞いたJAFの兄ちゃんは、
「あー、こりゃダメだー」なんて、相変わらず能天気で、
柔なチンクは牽引で長距離を走行するとボディが曲がってしまうからと、
急遽積載車を手配してくれました。
この時点で既に11時半。
積載車は鎌倉で作業中とのことで、しばらく待つことになりました。
牽引車に乗ってきた兄ちゃんは
「クルマの積み込む際に人手が必要だから」とのことで、
この寒い中しゅんすけたちと待っててくれたんだけど、
この兄ちゃんが話し好きでね。
「この前もフィアットのエンジンが止まっちゃって、どーしたこーした」とか
「クラシックカーのディーラーは、品薄を逆手に取って、暴利を云々」とか
「このクルマの車体はキレイだね云々」とか
もうこっちが喋る暇もないほど、饒舌に語って、いい加減寒いから
クルマの中で待ちたいのが本音だったけど、付き合って話しを合わせてました。
(相槌だけしてると、兄ちゃんの前職のディーラー勤め時代の話しまで
飛び出して、JAFってのは、こういう軽い故障だけでなく、
悲惨な人身事故にも立ち会わないといけないから、
当事者を不安にさせないためにこんな能天気&話し好きになったのか、
いや、単に話したいだけなのか・・・)
ともあれ、待つこと30分。
それまで深夜の道路を走りぬけるのは、普通の乗用車だけだったんだけど、
それとは全く違った明らかにトラックの唸るような低いエンジン音が
暗い道路に響いたかと思うと、青白いパトライトをビカビカ点滅させて、
チンクの3倍はあろうかという巨大な(相対的に巨大な)積載車が
到着したのでした。
闇夜を切り裂いて、凄まじい轟音と共に現れる母艦といった趣。
なんかスゲーぞ、コレ。
母艦・積載車から降りてきた作業員と先ほどの牽引車の兄ちゃんが
チンクを後ろから押して、荷台に積み込みました。
しばし作業の後、母艦に搭載されたチンク。
このまま自宅に帰らず、豪気にも第三京浜に乗り、港北のチンク屋へ
向かうことにしました。
(どうせ動かないんだから、さっさと運んじゃった方がいいわけで)
牽引車の兄ちゃんに別れを告げ、積載車はエンジン音を唸らせて発車。
積載車の助手席にはしゅんすけが乗り、
さきこはやむを得ず、荷台のチンクに乗ってもらいました。
いや、それにしても、普段から目立つクルマだから、
街中を走ってても注目されるんだけど、これがJAFの積載車で搬送されると
これもまた余計に目立つ。昼間でなかったのが不幸中の幸い。
それでも、カラオケ帰りの姉ちゃんグループが指差して大笑いしてたのには
ちょっとヘコんだわ。笑われるチンクにさきこが乗っているのも不憫だった。
チンクを積んだ積載車は深夜の第三京浜をひた走り、
チンク屋へ無事到着。
とりあえず、置き手紙をワイパーに挟んで、帰宅することにしました。
(「先週修理したのに、また壊れたじゃねーか、っていうかついこの間も
ギア直したばかりじゃねーか、どーなってんだ!」的な恨み言を
置き手紙の行間に滲ませつつ)
この時点で、既に深夜1時を回ってる。
ま、平日でも活動している時間帯だし、土曜の夜だしね・・・って、そうだ!
明日は演奏会本番じゃないの!普段よりもちょっと早起きの日じゃないの!
これはマズイ。とにかく帰らないと。
※演奏会では、金管バンドで使うコルネットと、吹奏楽で使うトランペットを
持って行かにゃイカンわけで、これで舞台衣装を持ったら、
ほとんど罰ゲームのようなイデタチなので、
やむを得ず衣装は着ていくこととした。
いや、その前に蝶ネクタイ探さにゃ・・・って、
さきこがタンスから発掘してくれた。感謝!!!
翌日、楽器ケースを背負って、両手に荷物を提げたまるで一人罰ゲームのような
しゅんすけは演奏会会場に向かったのでした。
演奏会前のリハーサルの合間を縫って、チンク屋へ電話すると、
あっけなく故障の原因が判明。
いや、故障の原因とか言う前に、朝出社したら前日には置いてなかったクルマが
あることに、まず驚くんじゃないの?
この冷静な対応を見るにつけ、営業時間外に故障したチンクが
とりあえず置いてあったという状況は、少なくないとみた。
ホンマかいな・・・なんだかな。
金額は今まで発生した費用の中でダントツ1位。
ああ、しゅんすけの愛するチンクも、やはり腐ってもイタ車。
ついにその「壊れやすい」性質を如何なく発揮し始めたということか。
そういえば、故障した日の金管バンドの練習で、
本番で演奏間違ったら罰金とか何とかって話しになって
「罰金はあおきさんまで」みたいな冗談が出た時に
しゅんすけがそれを受けて、「そうそうクルマの修理に使うから」なんて
言っちゃったんだけど、まさかホントにクルマを修理せなイカン状況になるとは。
言霊じゃないけど、悪いことは口にしない方がいいよね。
口は災いの元、ってことだね。クワバラ、クワバラ。