「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
スカイ・ハイ。
「パイロット・イン・コマンド」内田幹樹著を読了した。
10年以上前のミステリー大賞受賞作である。内容的にはジャンボ旅客機で発生するハラハラドキドキなストーリーで、これを実際のジャンボジェット機のパイロットが書いたものということで、しゅんすけはかなり期待して読み始め、その期待を裏切ることなく読了となった。専門的なことも分かりやすく書いてあるので、気楽に読める本である。

ところで、しゅんすけは往年の読書ペースが完全に狂ってしまってホントに本を読まない人になってしまった。知識レベルは身近に起きたニュースを知ってる程度まで落ち、読み物と言えば新聞とか気になるブログとかそういったものになってしまった。いつぞやのように読書した内容を自分の脳みそに刻むようなことはなくなってしまった。本屋に行っても興味をそそるネタがあまり転がってないというのが大きな理由だけど、ニンゲンたるもの、興味は全方位でなくてはならないと思うにつけ、読書しなくなったのは完全にしゅんすけが怠慢なだけなのである。
そんな中でも小説としてはいくつかの本を読んでいる。
それでも「これは?!」という本はなかなか巡り会えていない。某人気ブロガーが推薦する小説などを読んだけど、全然琴線に触れなかった。せっかくアマゾンで取り寄せたというのに全然面白くなかった。(ブロガーご本人は世田谷図書館で借りてきたと言っていたので、つまりブロガーの方よりもコスト効率が悪いということだ)

この前さきこと品川で待ち合わせることになり、しかも少々時間があったので、品川の駅前のウイングに行ってみることにした。信号を渡った先にあるのがしゅんすけが大学生時代から行っているウイングである・・・とその前に、京急ホテルって完全に撤去されてしまったんだなー。ホテルの閉鎖に際しては従業員と経営者の間でいろいろと悶着があったようだけど、今や建物そのものが取り壊されてしまった。しゅんすけが大学に行くのに乗っていたバスの停留所がこのホテルの先にあって、何度もこの横断歩道を渡り、このホテルの前を過ぎてバスに乗ったものである。このホテルの古めかしくも何となく高級感のある雰囲気が好きで、1階に並ぶレストランにはいつか行ってみたいと思っていた。寂しいものである。
さて、ウイングの2階にはくまざわ書店がある。よくある小さな本屋さんである。以前はCDショップと併設されていて非常に広かったんだけど、かなり縮小された感じで今なお営業を続けている。そしてこの本屋さんでさきことの待ち時間を潰す中で、「パイロット・イン・コマンド」を発見したのである。う〜ん、この作者の本はしゅんすけは以前読んだことがあるかもしれない。あの本は旅客機の運行や操縦なんかにかかわる小ネタをエッセー風にまとめた作品で、しゅんすけが持っている飛行機の知識のおよそ60%ほどはその本から得たものなんだけど(残りの部分についてはまた別の機会に)、この作者と同じかどうかは忘れてしまった。小さな本だったので、自宅のどこに収納したのかもはや分からない。ま、同じ人でもそうでなくても気にしないのだ。とにかく実際に飛行機を操縦していた人が書いたストーリーにはこれ以上ないほどの真実味があるはずである。
真実味というかリアリティは確かだった。しゅんすけはまだ飛行機の操縦はしたことがないので、書かれた記述がどの程度現実に近い表現なのか分からないけど、真実味というか臨場感として迫ってくるほどの確固とした筆致があった。特にストーリーが急展開する後半部分には、そのスピード感とリアリティのバランスがとても良かった。
ただし難点というか、こういうリアリティのある表現をするには、最初っから一貫してそういう表現・描写をして読者を引き込んでおかなければならないわけで、飛行機を操縦する描写の時には感じなかったことが例えばコーヒーを飲むシーンなんかでもナニかと勿体つけた感じの描写になってしまってて、これが下手なハードボイルド小説(そういや最近そういう言葉聞かないね)のようで気になった。これはその後の表現効果のためにはしょうがないことなんだけど、冒頭辺り鼻がムズ痒くなるような感じである。またミステリーということで、当然謎解き的展開があるわけで、そのために冒頭を過ぎた辺りから布石を打ったり、伏線を張ったりするわけだけど、その布石や伏線が多すぎた感じである。伏線を張っていたものの、結局本筋とはまったく関係なくて、エピローグの部分でさらっと回収して済ませるようなのはなんだかなー。すべての伏線が展開にかかわってるってのもデキスギな感じだけど、伏線がありすぎるってのもどうだろう。
しかしそれは細かい点であり、展開を俯瞰すれば、飛行機の操縦とアクシデントの進行、謎解きが同時にバランスよく調和していると感じられた。登場人物も当初は多すぎかと思ったけど、結果的には絶妙なバランスだった。
それにしてもこういうお話しこそ、ショウビジネスとして向いていると思う。だからテレビドラマとか映画にしたら絶対面白いと思うんだけど、と思う反面、これをたくさんの人が見ると逆に不安を煽ったり、不快な思いをする人も多そうで、やはり小説にしておくくらいがちょうどいいのかもしれない。
※この小説の影響もあって映画「ハッピーフライト」が制作されたという話しは後で知った。やっぱ航空機を巡るお話しってのはドラマとしてはいつでも面白いものである。

ところで、航空業界の関係者もそうだけど、「手に職がある人」っていいなーと思う。子どもじみた羨望というか憧れが単純にある。ある事態、状況に陥った時、それを収拾できるのは専門職の人間だけである。飛行機にトラブルが生じた時、これに対処できるのは航空関係者だけである。同様の状況は、医療の世界にもあって、ドラマなんかで飛行機に乗ってる時にトラブルが発生して「お客様の中でお医者様はいらっしゃいますか」なんてシーンがあるけど、未だにこういう展開にワクワクしてしまうほど、しゅんすけの中にはこういった職業の人への純朴な憧れがある。そう思うにつけいつも想像が広がってしまうのだけど、しゅんすけが以前音楽関係でお付き合いさせていただいた人の中に、航空関係者の方がいて、その人たちだって普段はただの人でしゅんすけと何ら変わらない振る舞いをしているんだけど、飛行機に乗っている時に非常事態が発生した際には、スススッと進み出てテキパキと事態収拾に向けて協力を惜しまない振る舞いを見せるんだろうな。一般人からスーパーマンへ、いわば「変身」する姿を彼らに当てはめるだけで、こっちのドキドキが止まらないのである。
そんなしゅんすけなので、この著者の作品は読んでみようと思っている。
| 読書感想文 | 12:55 | comments(0) | -
マットサンダースをめぐる輪舞曲(ロンド)
しゅんすけが絵なぞを描く際に使用している紙、マットサンダースがかなり昔に廃版となってしまい、しゅんすけは愛用すべき画用紙を数えきれないほど種類のある画用紙からまた探し出さなければならないという長い旅に出たことは既に書いた。しゅんすけはヘタッピーなので、画用紙くらいはそれなりに使いやすいものを使いたいと思っているんだけど、なかなかそういう紙には出会えていない。去年の話しだけど、画材の殿堂・世界堂で、マットサンダースが廃版になってしまったことを聞き、その事実に衝撃を受けつつも藁にも縋る思いで同じような紙質の画用紙を紹介してもらい、つい最近右脳が少し回転してくれたので、ちょこちょこっと描いてみたものの、たしかに絵の具の伸びや水分の吸い込みの感じは悪くないけど、少しでも乱暴に扱うと毛羽立ってしまったりして、つまりしゅんすけの思いを充分に満たすような紙ではなかったわけである。こういう出逢いって凄く上手くいく時もあればそうでない時もあるから、マットサンダースと同等の紙質に出逢いたいと思いつつ、もしかしたらそれ以上に相性のいい紙に出逢っちゃうかもしれないとの思いがあって、意気揚々とこの紹介された紙を使ってみたんだけど、結局はマットサンダースには及ばなかったというわけである。
しゅんすけは「これ!」と決めると結構長いことその思いを持ち続けることができる人なので、その点では自分で言うのもナンだけど、浮気はできても本気になれないタイプである。だから新しい画用紙が手元にあり、それなりの使い易さもあるんだけど、なんだかんだで「マットサンダースには敵わない」とココロのどこかで思ってしまうのである。その思いが募るほどに、今の画用紙への欠点も目立つようになってきて、マットサンダースとの顕著な違い、表面の毛羽立ちがどうしても気に入らなくなってきた。しゅんすけは着彩の際にたまにマスキングをしたりするけど、この画用紙ではマスキングシートでもマスキング液でも画用紙からはがす際にどうしても毛羽立ってしまう。消しゴムで軽く擦ったり、メンディングテープで軽く留めたのを剥がすのでさえ、毛羽立ってしまうのだから、マスキング液でこってり表面を覆い、その後に消しゴムでゴシゴシ落としていたらこれは絶対に毛羽立つ。毛羽立った画用紙での着彩など、もはや荒地を耕すようなものである。(案外といい効果が出たりして?)
今の画用紙には満足できない、かと言ってマットサンダースはもうこの世に存在しない。
あるいはもしかしたら場末の画材屋には売れ残ったマットサンダースがあるかもしれないけど、継続的に入手できるものではないわけで、ホント悩ましい。先週の湘南国際マラソンの後に、まりこさんがクルマで迎えに来てくれて、そのクルマがJR藤沢の駅近くの駐車場に停めてあるというので、二宮から藤沢まで電車に乗り、藤沢駅で下車して駐車場まで藤沢の駅前を筋肉痛に苦しみながらテクテクと歩いていたら、世界堂の藤沢店があって、しゅんすけはこの店舗の存在を知らなかったのだけど、ここでふと「ここならもしかしてマットサンダースがあるかもしれない」と思ってしまい、肉体的にキツい中どうしてもこの店の画用紙コーナーを覗きたくなってしまった、なんてことがあった。そのくらいマットサンダースが欲しい。筋肉痛を圧して画材屋を捜索したいほど悩ましいのである。
そんな時、さきこが「そこまで欲しいならメーカーに聞いてみればいいじゃない」と言う。
メーカーなら在庫があるかもしれないというのだ。うん、たしかにそうかもしれない。でもなー、在庫があると言っても、廃版になってしまったのは事実なわけで、場末の画材屋に在庫があるのと同じで、問題が先送りされるだけである。そうならば新しい画用紙との出逢いを模索した方がよほど生産的である。
それに、廃版になった紙についてメーカーに問い合わせるというのは、しゅんすけにとって初めてのことではない。まだ大学生くらいの頃、某コンビニで売っていた落描き用の無地のレポート用紙(A4)を見かけなくなった。店員に聞くとこのコンビニではこのレポート用紙は扱わなくなったという。どういうわけか知らないけど、コンビニには売れる商品を省スペースで効率よく入荷するという鉄の掟が存在するらしいから、数ヶ月に一度くらいしか需要のないレポート用紙などその存在に重みなどないに等しいというわけである。しかしこのレポート用紙は当時のしゅんすけにとって非常に良かった。描き味が非常に良かったのだ。しかも当時はA4で無地のレポート用紙など大きな文房具屋でもなかなか売ってなかった。たいていは、あらかじめ罫線が入ったレポート用紙であった。しかしどうしても諦めきれなかったしゅんすけは、手元にある使い切ったレポート用紙の裏面を確認し、メーカー名を割り出し、当時インターネットなどない時代にNTTに確認したり、某コンビニの本部に確認したりして連絡先を聞き出し、そのメーカーに電話してみることにしたのである。寒い冬の電話ボックスから電話をしたのを覚えている。
電話に出た担当者にそのコンビニでの扱いがなくなったことを改めて聞かされたしゅんすけは、他のどこで入手可能かを聞いてみた。しかし、担当者曰く、このレポート用紙は製造そのものが中止になったとのことであった。当時オトナの世界の仕組みがイマイチ分かってなかったしゅんすけは、その意味がまったく分からなかった。「需要あるところにビジネスが生ずる」と信じていたしゅんすけにとって、今ここに確かに存在する需要に対して「製造中止、再製造の予定なし」と言い切る担当者のニベもない言葉が信じられなかった。オトナの世界はセチガラいものだと思ったものである。そして今、マットサンダースが欲しいという強烈なニーズをもってしゅんすけが再びメーカーに電話するのである。今もなおオトナの世界の仕組みがイマイチ分かってないしゅんすけだけど、ビジネスを巡る悲哀というシビアさは長い社会人経験で身に染みるほど分かっている。回答に期待などできなかった。
しかしそんなしゅんすけでも一縷の期待があった。それは、紙の専門メーカーだからこそ、マットサンダースの後継というか、同質の画用紙を紹介してもらえるかもしれないという期待だった。メーカーの人に言えば毛羽立ちのことも分かってくれるだろう。もしかしたら毛羽立たない画用紙があるかもしれない。それはしゅんすけにとってマットサンダース以上の出逢いになるかもしれない。たとえ事態が変わらなくても、何かを得られる可能性は充分あるのだ。
しゅんすけは早速iPhoneで調べたメーカーに電話してみることにした。

 しゅんすけ「もしもし、マットサンダースって御社で作ってましたよね」
 担当者「はい」
 しゅんすけ「もう何年も前に廃版になっちゃってますよね?」

その時である。しゅんすけの耳に思ってもみなかった回答が入ってきたのである。
 担当者「いいえ」

は?

 しゅんすけ「マットサンダースって廃版じゃないんですか?画材屋さんで廃版って言われましたよ?」
 担当者「廃版になったのは、ブックとして販売している方で、紙自体は生産してます」
 しゅんすけ「そそ、それはどういうことですか?」
 担当者「あの、失礼ですが、どういう・・・?」
かなり狼狽えた。「ない」と言われるものと思っていたものが「ある」という。想定していた話しの展開はわずか2ターンで予想外の方向に向かって突っ走った。

 しゅんすけ「あ、えと、以前から愛用してたんですけど、画材屋さんで廃版と聞いて、同質の紙が他にあるか聞きたいんですけど・・・」
 担当者「紙を綴った形での販売はないのですが、四六判として画材屋さんには卸してますけど」
 しゅんすけ「しろく・・・。じじゃ、画材屋さんで裁断してもらえばいいんですよね?」
 担当者「そうです」

こ、ここ、これは!?
マットサンダースは死んでなかった?
この世界にまだ存在するということか?この世界、いや、世界堂にあるということか!?
お礼もそこそこにしゅんすけは駆け出していた。実は今日は外出先から不帰社の予定である。その外出先の用事は結構あっけなく終了して、やっぱり帰社しようか迷っていた。うん、決定、戻らない。画材の殿堂・世界堂新宿店に向かうことにした。

それにしてもしゅんすけは印刷会社出身だというのに、紙のサイズとか重さに対しての知識がカケラもない。四六判と言えば、印刷会社の営業であればその寸法がスラスラっと出てくるものである。一体どの程度の大きさなのか、マットサンダースとは言ってもしゅんすけが愛用していたブック形式の画用紙と同じものなのだろうか。かなりドキドキして新宿に向かった。
そして、再会した。
目の前に広げられた大きな紙、これが四六判ということだけど、その色合いやツヤはまさしくしゅんすけが愛していたあの画用紙である。聞くところによると、ブックタイプの紙と紙質は変わっていないということ。これを適当な大きさに裁断すれば、ブックになってないだけのマットサンダースを手に入れることができるわけである。

いや、長い旅であった。
画用紙が良くても決して絵なぞが上達するわけではないのに、よくぞここまで到達したものである。メーカーに電話してみて良かった・・・ってか、変な過去のトラウマにコダワってないで、絶版と聞いた瞬間にさっさとメーカーに確認しておけば良かったのだ。まあ、今日のところは良しとしよう。
まずはこうして画用紙が手に入る。これからゆっくりと右脳が回転してくれるのを待つことにしよう。
しゅんすけのマットサンダースを巡るドタバタ劇はとりあえずの終幕を迎えたわけである。


※さっすが世界堂!
| 物欲日記 | 18:23 | comments(0) | -
昨日は。
湘南国際マラソン、頑張った。後半は予想以上にバテバテだったけど、いい記録が出た。しゅんすけが目標としてきたタイムを大きく更新する4時間32分。ナイス!
課題も多いランニングだったけど、とりあえず記録だけは良かった。これからはホントちゃんとロングラン練習をしないといけないと思ったね。
そんなわけで、とりあえずいい記録が出たので、自分への最高のご褒美をあげることにした。
以前よく行っていたお店で日本酒なぞ。そしてしゅんすけが世界でいちばん美味しいと思ってる生ウニ。もう5年振りくらいなのに店のご主人はしゅんすけのことを覚えていてくれて、美味しいお酒と美味しいウニとココロもカラダもシアワセで一杯になった。近年稀に見るシアワセな一日になった。


※フィニッシュ地点でいつものポーズ!

※非常に美味い生ウニ。
| Be RUNNER! | 23:20 | comments(0) | -
長い一日が始まる。
昨日は自転車仲間で新年会だったけど、お酒をたくさん飲むこともなく、早く就寝して起きることができた。これから長い一日が始まる。果たしてどういう展開がしゅんすけを待っているのか。
| Be RUNNER! | 05:06 | comments(0) | -
いよいよっ!
ついに明日になった。
現在のところ、体調はオールグリーン、天気予報もまずは上々。コンディションは悪いはなさそうである。果たしてどういう展開が待っているか。明日の今頃は既に十数キロを走っている頃である。う〜ん、どうなるんだろう。
そんな折、先週のフロストバイトの記事を書き上げた。既にブログに書いているとおり、念願の2時間以内完走を果たしたわけだけど、そのヨロコビもつかの間、明日を前にしては心ココに在らずな状態なので、あっさりした感じで書き上げた。写真が少ないのは、ランニングが始まってから思いの外調子が良くて、写真を撮るよりも良い記録を出すことにウエイトシフトしたから。おかげでいい記録が出た。
そんなわけで、あっさりめのランニング記録は別ページにて。
| Be RUNNER! | 11:09 | comments(0) | -
先週は。
いよいよ今週末に迫った湘南国際マラソンに向けた最後の週末になった先週、土曜日に15キロ、日曜のランニングイベント・フロストバイトで21キロを走り、その前の木曜の8キロと合わせて都合4日間で44キロを走ることができた。1回のランニングで長距離を走るよりも連続でちょこちょこ走ることで、膝周辺の筋肉を強化することができるかなと思ってる。これでフルマラソン30キロ辺りから出てくる膝痛が少なくなればいいなと思うわけである。果たしてこの連続練習が本番で奏功するか。ちなみに日曜のフロストバイトではハーフマラソンで初めて2時間以内に走り切り、早くも今年の目標を達成したわけだけど、もっとスゴいのは前日にスローペースとは言え、15キロを走っているということである。前日に走っているにもかかわらず、その翌日にキロ当たり5分30秒ペースで走り続けられるのは、しゅんすけ的にはなかなかの快挙である。体型がほとんど変わってないどころか増加さえしているこの状況で、体力やランニングの記録が順調に向上しているのはまさに謎としか言いようがない。タイムは向上しなくていいから体型をどうにかして欲しいものである。それにしても成長したものである。10キロランニングに出場した翌日に筋肉痛、しかも熱まで出てきちゃって会社を休んだりしたことを思えば、かなりの成長と言える。これは以前にも書いたかもしれないけど、ランニングのたびに毎度実感することである。毎回新鮮な発見があるというだけで、ランニングってスゴいなーって思うのである。
さていよいよ本番まであと数日。
懸念しなければならないのはその日の天気である。そしてこの時期だからこそ気になるのは気温。なんせ海沿いを延々40キロ以上走るわけで、海からの吹きっさらしを思えば気温の低い日はまさに地獄ランニングである。ホント、ポカポカ日和を祈るばかりである。
そしてさらなる問題は自身の体調である。今のところ風邪にかかったような兆候は見られないけど、いつ発症するか分からない。折しも会社ではインフルエンザの感染が絶賛拡大中である。予防接種は受けているものの、しゅんすけの体内に流行している型と同じ型の抗体ができているか分からないわけで、その点ではインフルエンザも脅威である。風邪でもインフルエンザでも何でもいいけど、とにかく今週が終わるまではしゅんすけのことは放っておいて欲しいものである。来週になったらいくらでも相手にやるんで。
さぁ、いよいよ、だ。

※ちなみにフロストバイトの詳細については別ページにて。できれば今週中には書き上げたいものである。
| Be RUNNER! | 12:42 | comments(0) | -
Tシャツを巡る思い。
湘南国際マラソンまであと一週間である。
いや・・・ヤバい、全然練習していない。
NAHAマラソンの時は1ヶ月前から長距離練習とかして脚力を増強、本番に備えていたけど、今回は正月に箱根ランニングをしたくらいで、正月休みはゴロゴロ過ごし、その後の三連休では右脳が回転してくれて絵なぞ描いちゃって、つまり結局全然走っていないのである。
こんな体たらくで、自身の記録を更新したいなどと嘯いている本番は大丈夫なのだろうか。

さてそんな湘南国際マラソンに関して、最近小さなニュースがあった。
この大会で配布される参加賞Tシャツについて、大会事務局に問い合わせが相次いでいるというのだ。どうもTシャツの胸部に印刷された大会ロゴが、まるで印刷ミスのような滲んだ感じになっていて、これはデザインなのか印刷ミスなのかとの問い合わせが殺到したようである。もちろんこれはデザインなわけだけど、事務局の説明によれば、「文字が風に吹かれて砂が舞ったようなイメージ」(原文ママ)なんだそうで、「スタートやゴールでも同じデザインコンセプトで一貫させている」(原文ママ)んだそうな。なるほど、スタート地点やフィニッシュ地点にあるゲートとかにも今回のロゴデザインが使われているわけだね。デザインコンセプトを統一したい気持ちは分かるけど、Tシャツには相応しくなかったってことか。参加賞のTシャツって、他の大会なんかでは作りが安っぽくてほとんどおカネをかけてないのがアリアリと分かるものが多いから、きっと今回のTシャツもおカネをケチって作ったんじゃないか、だからインキの滲みが出たんじゃないかと思われたんだろうね。
それともうひとつ、湘南国際マラソンのTシャツには他の大会にはない側面があることが騒ぎを大きくした理由だと思う。それは他の大会で貰えるTシャツと違って、この大会のTシャツはランニング練習やその後のイベントなんかで着てる人が多いことからも分かる。デザインが秀逸なのか、湘南国際マラソンへの思い入れがそのままTシャツに乗り移ってるからなのか分からないけど、このTシャツには不思議な魅力があるようである。しゅんすけも前回参加したこの大会のTシャツを着て練習やイベントに出たことが少なくない。
そんな魅力的なTシャツを持つ大会だからこそ、今回もTシャツへの参加者の期待は大きい。これから先のイベントや練習で着られるようなカッチョいいデザインを期待しているのである。
※ちなみに大会で貰ったTシャツを大会や練習で見かけるというと、三浦国際マラソンのTシャツもそうである。白地に絵柄が配されたよくあるデザインなのに、これを着て走る人をよく見かける。しかもこのTシャツの絵柄ってのが、なんちゅうかね、三浦の名産・大根やマグロに足が生えたキャラクターが走ってるもので、それってカッチョいいのかと激しく疑問なんだけど、しゅんすけがまだ感じ得ない魅力がこのTシャツには宿っているようである。

ともかく、期待の大きいからこそ、「たかがTシャツ、されどTシャツ」で文句のひとつも言いたくなってしまうのである。しゅんすけにはその気持ち、よっく分かる!
そんな不思議な魅力ある湘南国際マラソンのTシャツについて、印刷ミスのようなデザインの件は置いといて、しゅんすけも言いたいことがある。みっつもあるのだ。
ひとつ目は手に入るタイミングである。
前述のとおり、このTシャツは去年末にしゅんすけの自宅に届いた。大会当日の1ヶ月ほど前である。このTシャツが完走賞的意味合いでなく、参加賞的意味合いなのであれば、どのタイミングで配布しても問題なかろうと思う。しかし、主催者側が参加賞的意味合いを持たせていたとしても、しゅんすけは完走賞として受け取りたかった。満身創痍でフィニッシュゲートをくぐり、その先で「お疲れさまでした!」との声をかけてもらいながらTシャツを受け取る。そして汗で濡れたウェアを脱ぎ捨て、その場でTシャツを着る。その瞬間で、ただの参加者から完走者になるのだ。走り切った達成感が具現化されたのがTシャツなのである。だからTシャツを着て会場を闊歩する。この場ではこのTシャツを来ている者すべてが勝者なのである。だからしゅんすけはTシャツは事前ではなく、完走後に受け取りたい。
しかし、主催者の思惑はどうも別のところにあるようだ。
事前にTシャツを配布して、大会当日はこのTシャツを着て走ってほしいということである。参加者が皆お揃いのTシャツを着て走る。この考え方は同じ主催企業が開催した本栖湖10kランイベントで前例がある。本栖湖に集合したランナー全員が真っ赤なシャツを着てる光景は、主催者にしてみれば「うーん、ナイス!」と思われるかもしれないけど、しゅんすけにしてみれば独裁政治の某国のマスゲームに参加したかのようで、薄気味悪い感じだった。ランナーが全員同じウェアを着て走るなんて、この21世紀の御代においてどういう発想なんだろうと個人的には思う。・・・でも、今回はその企画にあえて乗っかってTシャツを着て走ると思う。
そして言いたいことのふたつ目は、背中に書いてあるメッセージである。
「ゴールは必ずくる」
このメッセージはいくつか種類があるんだそうで、ランナーは前を走るランナーの背中に書かれたこのメッセージに励まされて走るというわけである。しかし、である。
基本的なことだけど、ランニングの終着点は「ゴール」ではなかろう。みんなゴールって言い回してるけど、実際は「フィニッシュ」ではないか。ゲートにも「FINISH」って書いてあるし。ゴールなんて言うのは英語を知らない日本人だけなんじゃないかな。いや口語でそう言うのは問題ない。しゅんすけだって、フィニッシュした瞬間はサッカーの実況のように「ゴーーーーール!」などとココロで叫んでるし。でも文字にする場合はちゃんとフィニッシュって書くべきだろう。しゅんすけのホームページのイベントレポートではすべて「フィニッシュ」って書いている。うっかり「ゴール」と書きそうなところを自制して「フィニッシュ」と書いているのだ。それなのに、スポーツメーカーである主催者がTシャツに「ゴール」って書くのはどうなのよ。ランニングの経験のある人がちゃんと関わって作ってるのかと疑わしくなる。まさか、サッカーボールをドリブルしながらフルマラソンを走らせるイベントではなかろう。
そしてこのメッセージそのものに言いたいことがある。
前回は同じスポンサー企業で、完走後に渡されたTシャツの背中にはこう書いてあった。
「THERE IS NO FINISH LINE.」
英語は得意じゃないけど、つまり「そこがフィニッシュではない」とか「フィニッシュラインはそこにはない」とかそんな感じの意味であろう。初めてのフルマラソンを満身創痍で走り抜け、やっとヘロヘロになってフィニッシュラインを踏んだしゅんすけにかけられる言葉としては、ヒドい言葉である。やっと終わったー・・・と思ったら、終わりなど無いなどと言われちゃうんだから。
でもこの言葉には得も言われぬ力がこもっていた。ランナーたるもの、走ることに終わりなどないのだ、走り続けなければならないのだという強いメッセージ。フルマラソンを完走した次の瞬間、ランナーは新しい挑戦に向けて走り始めるものなのである。そんな力強いメッセージを背中に背負い、太陽の沈みゆく相模湾に向かって屹立するしゅんすけはその瞬間、「ランナー」になった。42.195キロ先に待っていたものは、ランナーとしての強い意識だったのかもしれない・・・って、それがなんだ?!手のひらを返したかのように「ゴールは必ずくる」って。前回、フィニッシュラインなどないって言ったじゃんか、前回と言ってることが違うじゃないか。同じスポンサー企業なのにこの点に置いては全然一貫性がない。デザインに一貫性を企図しつつイケてないTシャツ作ってツッコまれてる場合じゃないよ、まったく!まさか「ゴールは必ずくるけど、フィニッシュラインはそこにはないんです」なんて詭弁を弄するつもりではないよな?阿呆か。
そんなわけで、今回のTシャツには少なからずガッカリしてしまった。

・・・などと言いつつも、実はしゅんすけは今回のTシャツを着て何度か走っている。
この前の箱根ランニングの時にも着ちゃった。いろいろ言いたいことがあっても、やはり捨てがたい魅力があるのである。
当日はこのTシャツで会場が埋め尽くされるだろう。各ランナーがそれぞれの思いを抱いてTシャツを着ているわけである。たとえインキが滲んだようなデザインでも、書いてある言葉にいろいろ言いたいとしても、この大会でしか得られないTシャツを着て走る以上、自身を裏切らない走りをしたいものである。そう、たとえ練習不足だったとしても、だ。
本番はいよいよ来週である。


※写真を撮ってて分かったけど、今回のTシャツの印刷方式は前回よりも質が向上している。たぶんシルクスクリーンかなんかだと思う。しかも生地は某社の主力商材・ドラ○フィ○トである。つまりこういうことか、シャツの生地や印刷の質を向上させたからこそ、風に砂が舞ったような細かい表現ができる、と。手段がいくらクオリティアップしても肝のデザインが全然イケてなければ逆効果になることもある、といういい例になってしまった。
| Be RUNNER! | 18:48 | comments(0) | -
画材たちとの対話。
着彩は紙と絵の具と水分と絵筆との対話である。黙々と作業しているけど、頭の中では筆に染み込んだ水分と絵の具の割合に気をやり、筆致に注意を払い、紙の乾燥具合や水分の吸収、蒸発を見極める。筆に水分が多すぎると紙のうえで水が遊んでしまうし、絵の具が多いと全体のトーンのバランスに影響したりするから筆との対話がもっとも神経を使う。しゅんすけは一枚の絵なぞをほとんど1本の絵筆で書き上げるので、筆先やコシの状態、水分を含む感じはとても重要なのである。水分を調節するのは筆洗いの横に置いてある雑巾なのだけど、この雑巾、最近になって水分の吸収のいいヤツと悪いヤツがいることが判明した。素早い着彩を可能にするために水分の吸収がいい雑巾が好ましいわけだけど、それは長いこと絵の具のついた絵筆の水分を吸ってきたために絵の具で汚れてしまい、まあこれが溶け出して絵筆に付着することはないんだろうけど、あまり使えるスペースがなくなってきた。今まで意識していなかったとは言え、水分の吸収の悪い雑巾はほとんど使われてなくてキレイなものである。
さて画材たちとの対話を繰り返しつつ、絵なぞが完成するわけだけど、今回から新しい画用紙を使うことになった。このため、この画用紙がどういう感じで着彩されるのか、感覚がイマイチ掴めず、かなり神経を使った。しかも、この紙は、しゅんすけが愛用してきたマットサンダースと違って、消しゴムに非常に弱い。しゅんすけは下絵にほとんど消しゴムをかけないけど、小さなミスや主線の雰囲気を変えたい場合に消しゴムを使うことがあって、まあ大抵の水彩画用紙は消しゴムに弱くて、あまり強くかけ過ぎるとそのエリアだけ毛羽立ってしまうのだけど、マットサンダースは多少の消しゴムでも表面に変化がなかった。まあミクロの世界では多少毛羽立っているんだけど、しゅんすけの画力レベルではそれはほとんど影響がない。しかし今回の紙は消しゴムがダメである。加えて言うと、下絵からトレスするにあたって下絵とトレス台と画用紙を固定するためにメンディングテープを小さく切って貼り付けるんだけど、このメンディングテープにも弱い。剥がすとその粘着部分だけ毛羽立っている。ちょっと乱暴に扱うとすぐ機嫌が悪くなるネコのように、この画用紙は非常に扱いにくい。表面がここまで弱いとなると、まだ試してはいないけど、マスキングテープとかマスキング液にも弱いハズである。最近はエアブラシを使っていないので、マスキングシートにはとんとご無沙汰であるが、マスキング液は結構使っている。マスキングってのは細かい部分をあらかじめマスキング液を塗布して隠しておいてその上から着彩し、後になってから消しゴムを使ってゴシゴシ剥がすと、マスクした部分だけ着彩されないという超便利な手法なんだけど、この工程で消しゴムを使うってことだけじゃなく、一度塗布したマスキング液を剥がすってこと自体が紙の表面にとってはかなり乱暴である。さすがにマットサンダースも、マスキング液を使った後はちょっと機嫌が悪くなってまるで言うことを聞いてくれなくなっちゃったもんな。ともかく今の紙ではマスキングは不可能である。これは困った。再び新しい紙を模索しないといけないだろうな。
そんなわけで三連休も終わりに近づいた頃に、やっと右脳が回転を始めてくれた。
あまり上手く描けたとは思わないけど、新しい紙に対していろいろなアプローチを試みてみた。絵筆と絵の具と水分たちがこの新しいパートナーとどういう振る舞いを見せてくれるのか。アプローチの仕方によって振る舞いが違うので、「お?そう来たか。ではこうしたらどうだ?むむ、そうなるか、ではこうなら?ふん、まだまだ甘いわ。お?いやそうなるか?くそ、ちょこざいな。こうしてくれるわ、がははは!」なんてことを繰り返してるわけで、ともあれ脳内で展開してるのを文字にしてみるとアブナい人みたいだな。
ちなみにメンディングテープはセロテープと違って粘着部分が劣化しにくいということで、中学校時代の吹奏楽部の先生(このまえ某ジャズクラブで競演したあの人だ)が、譜面などの保管文書の接着にはメンディングテープを使うのだと教えてくれて、これを未だに忠実に守っている。しゅんすけのデスクにはセロテープはないけど、メンディングテープはたくさんあるのだ。
| 日記 | 16:05 | comments(0) | -
タルタル、ユルユル。
今日は仕事初めである。7日間の年末年始休暇は長いようでやっぱりあっという間であった。もう慣れたけどね。
自宅近くに住むしゅんすけのランニング仲間が毎年一家総出でたくさんのゲストを呼んで餅つき大会を開催し、これに今年も呼んでいただき、お酒を飲んだりバーベキューを楽しんだり美味しい餅を食べたり楽しませていただいたんだけど、この楽しいヒトトキがつい昨日のことのようである。また年明けの瞬間には横浜名物の「除夜の汽笛」が今回は聞こえなくて、そういう企画がなくなっちゃったのかと残念に思ったり、元日の初詣はサイクリングに鎌倉まで行ったり、2日と3日には念願の箱根駅伝観戦&箱根路ランニング練習ができたりと、それなりに楽しんだ休暇だった。ついでに言えば、某ケーブルテレビ局で新年1日より7日まで、アメリカの人気テレビドラマ「○4」の全放送分168話分をぶっ通しで放送するというギネスに挑戦する暴挙な企画があり、当初は「7日間不眠不休で観るわけないよねー」などと観るつもりなんか全然なかったのが、昨日の昼頃からちらっと観てしまったために止められなくなってしまい、そのまま深夜までぶっ通しで観てしまった。・・・ヒドい、せっかくの休みなのにテレビの前で過ごしてしまった。
ちなみに期待していたしゅんすけの右脳の回転具合は、一時盛り上がったりしたんだけど、なかなか高速回転まで高まってくれず、それでも無理やり描き始めて、新しい画用紙を使って着彩まで進んだんだけど、どうも気分が盛り上がらず、結局不発に終わってしまった。2回ほど着彩まで進んだもののモノにならずに終わっている。そう言えば去年のクリスマス辺りにもちょろっと右脳が回転してくれたんだけど結局振るわなかったわけで、そう思うと去年秋に画用紙の種類を変更してから、1枚も描き上がっていない。これはちょっとイカンな。

さて新年が始まり、いつもの生活リズムが戻っていく。だらだらムードはこれで終わりである。
だらだらしていられないと言えば、来週末には久し振りにランニングのイベントに出場する。英軍某横○基地内で開催されるイベントである。去年も出場したんだけど、参加者にはオリジナルトレーナーがもらえたりするので、今年もそのデザインが楽しみである。
そしてさらにその翌週には、早くもしゅんすけの今年最大のチャレンジと言っていい湘南国際マラソンがある。記録更新に向けて気合を入れなきゃいけないランニングである。・・・しかし、かなり不安である。前述のような正月のだらだらムードを見れば、非常にヤバいのが分かる。NAHAマラソンの3週間前には42キロのランニング練習をしていたしゅんすけなのに、この正月の体たらく。「2○」なんか観てる場合じゃないのだ。1月はランニングイベントは2週連続で続くことを考えると、正月休みに文字通り休んじゃった分、今週末に取り返さないといけないのだ。
そんなわけで、タルんだ筋肉とユルんだ精神力で果たしてフルマラソンを走り切れるのか、いや新記録を出すことができるだろうか。
仕事と同じく、マラソンに向けても気持ちを高めないといけないのだった。
| 日記 | 12:54 | comments(0) | -
正月は外に出よう。
正月の一番の楽しみと言えば何と言っても箱根駅伝である。しゅんすけの出身校は一度も出場したことがないのだけど、しゅんすけもさきこも毎年楽しんで観戦している。特にランニングを始めてからは楽しさ倍増、一緒に走ってる気分になって応援している。特に往路の目玉、5区なんかは一緒に走ってる気分が高じて、テレビ中継が終わる頃には箱根に行きたい気分になってしまう。箱根まで行って駅伝で盛り上がる雰囲気を味わってみたい、そんな感慨を禁じ得ない。そんなわけだから、今年はいっそ、箱根に行ってしまおう、箱根で観戦しよう、いや、箱根駅伝を観戦した後に自分たちも箱根路を走ろう、そんな発想から企画はスタートした。
ちょうど会社のツテで箱根に宿を取ることができたので、今年の正月は「箱根駅伝観戦ツアー」と「箱根路ランニング練習」の二本立てを楽しむことになったのだ。一泊二日の短い旅だったけど、実際は箱根駅伝を巡る濃ゆい2日間となったのである。

1月2日、8時。箱根駅伝は大手町を一斉にスタートする。
それと同じ頃、横浜の自宅をしゅんすけのクルマがスタートした。東名高速を走り、御殿場から箱根裏街道を通って仙石原、宮ノ下を経て、小涌園近くで観戦する算段である。箱根駅伝当日の箱根がどの程度混雑していて、クルマをどこに駐車して、どういう状況で観戦できるか・・・実際はほとんど下調べせずに強行することになった。調べたのはしゅんすけが通る道路の交通規制の時間帯くらいで、当日飛び込みで箱根に入って果たしてクルマを駐車できるのかどうか実はちょっと心配ではあった。「箱根駅伝を観戦してたらつい箱根に行きたくなった」なんて人は実際結構いるんじゃないかと思えば、御殿場から箱根裏街道はそんな人たちのクルマで微動だにしない大渋滞なのではないかとの不安もあった。
案の定と言うべきか、東名高速・御殿場ICを降りる手前、出口近くで早速渋滞が始まった。ほらね、これ、箱根まで延々続いている渋滞なわけか・・・と早くも計画性の甘さを痛感していると、様子が違っていて、どのクルマも別の方角に向かっていった。御殿場の某プ○ミアムア○トレット。正月早々、買い物ってわけである。箱根に行くクルマは・・・しゅんすけのクルマだけである。ICであれだけ渋滞していたのに箱根に向かう人はしゅんすけたちだけ。ホンマかいな。

目的地の箱根小涌園前までは、まったく渋滞がなく到着することができた。駅伝観戦と思われるクルマの通行量は若干増えてきた感じだけど、渋滞するほどのことはなくて、意外にスムーズに交通規制前の駅伝コースである国道1号線に乗ることができた。沿道は早くも観戦者が並んでいて、賑わいを見せていた。ラジオの実況によると、ランナーはまだ3区を走っているとのこと。この辺りを通過するまで2時間くらい待つことになるというのにかなりの賑わいである。そんな中、ランナーが通り過ぎるまで駐めておけそうな駐車場を探してしばらく走り、小涌園前の某所にそれなりのスペースを見つけることができた。意外にもここまでは順調である。
コンビニでおでんやインスタント味噌汁なぞを買って身体を温める。厚着をしているものの、さすが天下の箱根は寒い。特に日陰は風の影響もあって非常に寒いので日なたを選んで場所取りした。
携帯電話のワンセグ放送などを見ていると、ついに先頭ランナーが5区に入ったようである。
それなのに、道路を走るクルマはなかなか途切れなかった。観光バスなんかもじゃんじゃん通っていて、そのうちランナーが追いついて来ちゃうんじゃないかと、こっちがヤキモキしてしまった。また興味深かったのは、通り過ぎるクルマの量にも劣らないほどサイクリストが異常に多いことである。箱根路は関東でも屈指のヒルクライム・ロード、しゅんすけも2度ほど上った経験があるけど、この日の多さは異常なほどである。どういう理由かは分からないけど駅伝開催に合せて各地から集まってきたのか、何らかのイベントなのか、いずれにしても多くのヒルクライムの猛者たちが沿道を観戦者で埋め尽くされた中ズンズン上っていった。そこだけ見ればサイクルイベントの感である。うん、これはこれで結構楽しそうだな。
さて、上空を滞空するヘリコプターがどんどん近づいてきて、ついにしゅんすけの頭上まで来た。人垣の向こうに白バイのパトライトが見える。ついに先頭ランナーが来た。

いや、これ、盛り上がるわー。普通のマラソンなんかでも応援するのって気持ちが高まるものだけど、あの箱根駅伝を現地で、しかも目玉の5区で観戦するってのは気分的にこの上なく盛り上がる。
それにしても速い。ランナーたちは10パーセント以上の傾斜などモノともしない勢いでザックザックと上っていく。人垣の中ではなかなかランナーは見えないんだけど、小旗が振られる波が歓声と共に伝播してきて、目の前の人垣の隙間に一瞬ランナーが見えたかと思うと、あっという間に通り過ぎて行く。今回はかなり混戦模様で、一度に数人のランナーが坂道を上っていくこともあった。いや、スゴい迫力だわ。いいモノ見たー。

※東洋大のエースがずんずん坂を上っていく。

さて、ランナーが行ってしまうと、沿道の人たちは磁力を失った砂鉄のごとく、さささっと散り散りになり、交通規制の解除と共に、箱根路のいつもの風景に戻っていく。幟を撤去したり、大学のロゴの入ったジャージを着た若者が多く行き交ったりして賑わってるものの、早くも祭の後といった風情である。
そんな緩んだ雰囲気の中、しゅんすけとさきこは先ほどより一層緊張の度合いを増していた。これから芦ノ湖までのランニング練習が始まるのである。
「箱根駅伝を観戦した後に同じ道をランニングする」というシャレのような企画を実行するために、一旦クルマに戻り、ランニングウェアに着替える。ここから芦ノ湖までは約9キロ程度の道のりだが延々5キロ程度は上り続けないといけない。さきこには腰とか膝に不安があって、5キロとは言え完走できるか不安があって・・・などと思いながら着替えていると、あれ、ない、ランニングウェアのパンツがない!
しゅんすけはこの企画を3ヶ月くらい前から計画し、会社のツテをフル活用、ウェアもそれなりに準備して、せっかくなので今月の湘南国際マラソンの参加賞Tシャツ(なぜか事前に送られてきた)を着て、まだ沿道にも人がいる中、もしかしたらちょこっと応援されちゃったりして?的な淡い下心と今年最初のランニング練習で箱根を走れるウレシさをもって、この場に立っているというのに、ランニングパンツがないのだ。・・・ッガーン!目の前が真っ白になったよ、オレのバカーッ!
パンツと言っても幸いスパッツは履いているし、スパッツだけっていう格好で走ってる人も一般的にはたくさんいるので、つまりランニングには支障がない。だからこのまま走っても全然変じゃない。でも、いや、ホント、ここで忘れ物ってホントどうかしてるよ。今年の初っ端からコレでは今年一年思いやられるよ・・・などと落ち込んでいる場合ではないのだ。せっかくここまで来てランニング練習できるのだ。素っ裸で走るわけではないのだからここで中止するなどという選択肢はないのだ。

※とりあえず、スタート地点で撮影。

そんなわけで気を取り直してランニングスタート。
箱根駅伝を走った後に走るってのはやはり気分がいいものである。まさにしゅんすけは21番目のランナー。タスキはかけていないけど、この思いを芦ノ湖のフィニッシュまで届けるのだ!
しかしさきこの様子がどうも変である。時折立ち止まったりしてふくらはぎの外側をマッサージしている。走り方がどうも変な感じのようで、1キロ程度を走った段階でふくらはぎに違和感を覚えたようである。腰や膝の痛みをカバーするあまり、変な部位が力んじゃってたみたいである。途中何度か立ち止まりストレッチしたりするものの、なかなか治らない。このまま中止しようかとも思ったんだけど、さきこにもこのランニング練習にかける強い思いがあったようである。結局そのまま走り続け、ついに国道1号線最高地点に到達した。

※さきこが故障でストップ?!

陽がかなり傾いていた。
このまま芦ノ湖まで到達しても折り返して陽のあるうちにスタート地点のクルマまで戻るのは無理かもしれない。帰りはバスってことにして、とりあえず往路のフィニッシュ地点まで向かうことにした。
芦ノ湖が見えてからしばらく急な下り坂を走り、元箱根の街が見えた。ここから平坦な道を1キロほど行くと箱根町のフィニッシュである。それにしても大変な賑わいである。観光客がとても多いし、大学関係者の人も多い。大学OBの人たちもきっと大挙して押し寄せているんだろうな。そう思うと、やはり箱根駅伝に出場してる大学に入っていれば良かったと思ってしまう。
さきこの調子は下り坂で若干持ち直したのか、いつものペースで走れるようになった。そしてついにフィニッシュ地点が見えてきた。
感動である。フィニッシュゲートはそのまま残っていたのだ。いや翌日のスタート地点であるわけだから当然だけど、この時はまるでしゅんすけの到着を待っていたかのようにフィニッシュゲートがそこにあったと思えた。そしてフィニッシュゲートをくぐる。21番目のランナー、しゅんすけが今ここにフィニッシュ!な瞬間である。
 
※箱根駅伝5区の中でもっとも標高の高い地点まで到達!

何よりも意外だったのは、周囲にランニングをする人の姿がまったく見えないということである。選手ではなく、趣味でランニングする人の姿が、である。箱根駅伝を見ていたら自分もついランニングがしたくなるというのが人情だと思うんだけど、特にランニングを趣味にしている人なら抗いがたい欲求だと思うんだけど、周囲にはまったくランナーの姿が見えないのだ。
だからさきこと二人して何度もフィニッシュゲートをくぐる姿は、何というか、客観的に見ると残念なことに、端的に言って、とてもアホっぽいものだった。周囲にはしゅんすけたちのアホな行動に気を留める人などいなかったことが幸いだったけど、傍目には非常に奇異な光景だったと思う。走ってきたしゅんすけとさきこにしてみれば、箱根駅伝を激走したランナーと同じ道を一部とは言え共有したわけだから、走り切った喜びもまた共有して何ら後ろめたいものはないのであるが、周囲から何となく浮いてる感じは否めなかった。いや、もしかすると、箱根駅伝のフィニッシュゲートは、東京からタスキを繋いできた者のみにくぐることの許される神聖にして不可侵な存在なのかもしれない。その意味では趣味レベルの「なんちゃってランナー」が安易にくぐれるものではないのかもしれない。ランナーたちはそういう雰囲気を察してか、自重していたのかもしれない。そうだったらホント申し訳ないけど、ま、箱根駅伝に出場したことのない学校出身のしゅんすけにとっては、例えそうだったとしてもぜーんぜんカンケーない話しなんだよね。
 
※21番目と22番目のランナーがそれぞれフィニッシュ!


※フィニッシュゲートで記念写真。

そんなわけで、箱根駅伝を疑似体験したしゅんすけとさきこは陽が沈まないうちに、元箱根のバスターミナルに向けて再び走り出す。そこからバスに乗って小涌園辺りまで戻るわけなんだけど、なんせ箱根駅伝後の大賑わいである。人の往来も多いし道路も渋滞してるので、バスのダイヤが乱れに乱れ、ランニング後に汗に濡れたウェアを寒風に晒しながら待つことになった。これはさすがにツラかった。こうして待つこと30分、やっとバスがやってきて、凍えるしゅんすけとさきこを乗せて箱根路を戻っていったのである。

とにかく冷えた。
箱根の寒さを完全に甘く見ていた。陽が沈めば容赦無い寒さに襲われる。考えてみれば当然なんだけど、しゅんすけはあまり寒さ対策をしてこなくて、ランニングウェア以外に持っていたのは超薄のウインドブレーカーのみで、起毛とは言え下半身はスパッツ1枚という、これはいっそ潔ささえ感じさせるほどの阿呆なイデタチ。
暗くなった中、やっと戻ったクルマで着替え、車内のヒーターをがんがんに利かせつつ、この日の宿泊施設に向かったのである。仙石原にある施設では、大浴場で熱い湯に浸かり、ビールなぞ飲んでランニングの疲れを癒やすことができた。うん、なかなかいい施設である。

さて翌日である。
窓を開けると一面銀世界・・・って、雪か、これは?!
いや、箱根の寒さを完全に甘く見ていた。標高の高い箱根の冬に雪が降るのは何ら不思議ではない。考えてみれば当然なんだけど、しゅんすけのクルマにはタイヤチェーンなど雪上走行の対策はまったくなくて、これによっていっそ清々しいほどに何も考えずに箱根に来たことを露呈してしまったわけである。幸いだったのは雪がうっすらと積もった程度だったことで、この程度ならタイヤチェーンは不要であった。路面の凍結に注意すれば運転に支障はない状態。いやはや、ちょっと肝を冷やしたね。

※うっすらと銀世界。

8時、箱根芦ノ湖を復路最初のランナーが駆け出していった。
ちょうど同じ頃、しゅんすけとさきこは宿泊施設の食堂で朝食なぞ摂っていた。往路は時間的にも場所的にも観戦できそうにないときっぱりと諦め、このまま食事を摂って帰宅することにしたのだ。
9時、ランナーが小田原中継所を越える頃、しゅんすけたちはクルマに乗り込み、交通規制の解除された国道1号線を下る進路を取っていた。このまま小田原から西湘バイパスに出て帰ることになるわけだが、しかしこうして箱根駅伝とは別の進路を取るしゅんすけたちに箱根駅伝にマツワるミラクルが待っていたのである。

交通規制の解除された道は、それを待っていたクルマがどっと押し寄せた感じでちょっと混雑していて、渋滞と言うほどのものではないものの、かなり遅い速度で坂道を下り、箱根湯本を過ぎ、さらに進んで西湘バイパスに乗った。早朝の西湘バイパスはガラガラ。しばらく快適な高速ドライブを楽しむことができたけど、バイパスの終点、大磯の先辺りでお決まりの渋滞になってしまった。車線が減少することで起こるこの渋滞も、この先の交通規制解除の影響でさらに詰まっているのだろう。
携帯電話のワンセグ放送によれば、そろそろ9区、戸塚中継所の辺りである。なんとか渋滞を越えたしゅんすけはそのまま新湘南バイパスに乗る。このまま行くと、国道1号線と合流するハズで、つまりまた交通規制解除の影響による渋滞が待っているのは確実だったんだけど、しゅんすけの頭には「このまま箱根駅伝のシッポを追いかけてそのまま帰るのもイイね」という考えがあって、それがさらに変化して、「国道1号線から狩場ICを経て首都高に入り、横浜駅を越えたら先頭ランナーを追い抜けるかもしれない」とまで考えていた。激戦が伝えられる箱根駅伝を観戦できるかもしれない。
首都高は幸い、あまり混雑してなくて、狩場から横浜を過ぎ、子安出口に差し掛かった時、一瞬だけ垣間見た国道15号線に観戦者の連なりが見えた。おおっ、グッドタイミング、まだ最終ランナーが来ていないのだ。
子安出口で首都高を降り、品川方面に曲がると、驚くべきことに、前方遠くにちらっとパトライトが見えたのだ。ランナーがあそこにいる!2車線ある国道15号線は左側車線がランナー専用になっていたものの、右側の車線は一般車両も走れるようで、このまま走ればもしかしたら先頭ランナーに追いつくかもしれない。箱根駅伝を車窓から観戦するなんてことができるかもしれないのだ。しゅんすけとさきこのココロは、前日の小涌園でランナーを観戦した以上の盛り上がりを見せていた。
前方に見えてきたパトライトはやはり白バイのものだった。白バイの他に中継用のバイクを引き連れて、ランナーの姿がそこにあった。おおおーっ!こんな間近にランナーが見られるなんて!窓を開けてさきこが大きな声援を送る。こんなこともあるんだね。
結局そのまま何人ものランナーを追いかけ、鶴見川を越え、鶴見中継所を越え、多摩川を越え、蒲田を超え、それぞれの大学のランナーたちに声援を送り、ついに平和島辺りで先頭ランナーを捉えることができた。今回のレースは10区でも先頭順位が変わるかもしれないという劇的な展開だったので、送る声援にも熱がこもる。そんな熱い戦いを併走したクルマから応援できるなんて、これは筆舌に尽くしがたいほどのミラクルな展開である。リビングに寝転んでお雑煮を食べながらダラダラ観るという従来の箱根駅伝の観戦スタイルに対して、これほど「攻め」な観戦スタイルは他にあるだろうか。

※10区トップを走る早稲田大。風切り音が酷いのでベートーベンなぞ。(平和島周辺)


※折り返したら蒲田辺りで上武大と行き違った。(京急蒲田周辺)

先頭ランナーを追い越した後は、適当な場所で折り返す。そもそも帰宅するつもりが、ミラクルのおかげで思いも寄らない形で箱根駅伝を観戦することになってしまった。おかげで前日に続き、いやそれ以上に観戦ができて、充分過ぎるほどの満足を得た。あー楽しかった。

それにしても意外だったのはこうしてクルマで観戦してみようという人が少なかったことである。そうでなければ、ランニングよりもはるかに速いクルマでの移動とは言え、何度も渋滞に遭いながらも駅伝ランナーに追いつくなんてことは不可能なハズである。
それにしても、この観戦スタイルは悪くない。いろいろ改善すべき点があるとは言え、これは結構楽しい。箱根駅伝の後というもっともモチベーションの高いタイミングで箱根路のランニング練習ができることは、ランナーとしては非常に有意義なことである。これはぜひ来年もチャレンジしてみたい。箱根駅伝ファンとして、彼らの後を追って芦ノ湖でフィニッシュできるって、これってかなりの感動なのである。
| Be RUNNER! | 20:07 | comments(0) | -
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