2011.01.31 Monday
スカイ・ハイ。
「パイロット・イン・コマンド」内田幹樹著を読了した。
10年以上前のミステリー大賞受賞作である。内容的にはジャンボ旅客機で発生するハラハラドキドキなストーリーで、これを実際のジャンボジェット機のパイロットが書いたものということで、しゅんすけはかなり期待して読み始め、その期待を裏切ることなく読了となった。専門的なことも分かりやすく書いてあるので、気楽に読める本である。
ところで、しゅんすけは往年の読書ペースが完全に狂ってしまってホントに本を読まない人になってしまった。知識レベルは身近に起きたニュースを知ってる程度まで落ち、読み物と言えば新聞とか気になるブログとかそういったものになってしまった。いつぞやのように読書した内容を自分の脳みそに刻むようなことはなくなってしまった。本屋に行っても興味をそそるネタがあまり転がってないというのが大きな理由だけど、ニンゲンたるもの、興味は全方位でなくてはならないと思うにつけ、読書しなくなったのは完全にしゅんすけが怠慢なだけなのである。
そんな中でも小説としてはいくつかの本を読んでいる。
それでも「これは?!」という本はなかなか巡り会えていない。某人気ブロガーが推薦する小説などを読んだけど、全然琴線に触れなかった。せっかくアマゾンで取り寄せたというのに全然面白くなかった。(ブロガーご本人は世田谷図書館で借りてきたと言っていたので、つまりブロガーの方よりもコスト効率が悪いということだ)
この前さきこと品川で待ち合わせることになり、しかも少々時間があったので、品川の駅前のウイングに行ってみることにした。信号を渡った先にあるのがしゅんすけが大学生時代から行っているウイングである・・・とその前に、京急ホテルって完全に撤去されてしまったんだなー。ホテルの閉鎖に際しては従業員と経営者の間でいろいろと悶着があったようだけど、今や建物そのものが取り壊されてしまった。しゅんすけが大学に行くのに乗っていたバスの停留所がこのホテルの先にあって、何度もこの横断歩道を渡り、このホテルの前を過ぎてバスに乗ったものである。このホテルの古めかしくも何となく高級感のある雰囲気が好きで、1階に並ぶレストランにはいつか行ってみたいと思っていた。寂しいものである。
さて、ウイングの2階にはくまざわ書店がある。よくある小さな本屋さんである。以前はCDショップと併設されていて非常に広かったんだけど、かなり縮小された感じで今なお営業を続けている。そしてこの本屋さんでさきことの待ち時間を潰す中で、「パイロット・イン・コマンド」を発見したのである。う〜ん、この作者の本はしゅんすけは以前読んだことがあるかもしれない。あの本は旅客機の運行や操縦なんかにかかわる小ネタをエッセー風にまとめた作品で、しゅんすけが持っている飛行機の知識のおよそ60%ほどはその本から得たものなんだけど(残りの部分についてはまた別の機会に)、この作者と同じかどうかは忘れてしまった。小さな本だったので、自宅のどこに収納したのかもはや分からない。ま、同じ人でもそうでなくても気にしないのだ。とにかく実際に飛行機を操縦していた人が書いたストーリーにはこれ以上ないほどの真実味があるはずである。
真実味というかリアリティは確かだった。しゅんすけはまだ飛行機の操縦はしたことがないので、書かれた記述がどの程度現実に近い表現なのか分からないけど、真実味というか臨場感として迫ってくるほどの確固とした筆致があった。特にストーリーが急展開する後半部分には、そのスピード感とリアリティのバランスがとても良かった。
ただし難点というか、こういうリアリティのある表現をするには、最初っから一貫してそういう表現・描写をして読者を引き込んでおかなければならないわけで、飛行機を操縦する描写の時には感じなかったことが例えばコーヒーを飲むシーンなんかでもナニかと勿体つけた感じの描写になってしまってて、これが下手なハードボイルド小説(そういや最近そういう言葉聞かないね)のようで気になった。これはその後の表現効果のためにはしょうがないことなんだけど、冒頭辺り鼻がムズ痒くなるような感じである。またミステリーということで、当然謎解き的展開があるわけで、そのために冒頭を過ぎた辺りから布石を打ったり、伏線を張ったりするわけだけど、その布石や伏線が多すぎた感じである。伏線を張っていたものの、結局本筋とはまったく関係なくて、エピローグの部分でさらっと回収して済ませるようなのはなんだかなー。すべての伏線が展開にかかわってるってのもデキスギな感じだけど、伏線がありすぎるってのもどうだろう。
しかしそれは細かい点であり、展開を俯瞰すれば、飛行機の操縦とアクシデントの進行、謎解きが同時にバランスよく調和していると感じられた。登場人物も当初は多すぎかと思ったけど、結果的には絶妙なバランスだった。
それにしてもこういうお話しこそ、ショウビジネスとして向いていると思う。だからテレビドラマとか映画にしたら絶対面白いと思うんだけど、と思う反面、これをたくさんの人が見ると逆に不安を煽ったり、不快な思いをする人も多そうで、やはり小説にしておくくらいがちょうどいいのかもしれない。
※この小説の影響もあって映画「ハッピーフライト」が制作されたという話しは後で知った。やっぱ航空機を巡るお話しってのはドラマとしてはいつでも面白いものである。
ところで、航空業界の関係者もそうだけど、「手に職がある人」っていいなーと思う。子どもじみた羨望というか憧れが単純にある。ある事態、状況に陥った時、それを収拾できるのは専門職の人間だけである。飛行機にトラブルが生じた時、これに対処できるのは航空関係者だけである。同様の状況は、医療の世界にもあって、ドラマなんかで飛行機に乗ってる時にトラブルが発生して「お客様の中でお医者様はいらっしゃいますか」なんてシーンがあるけど、未だにこういう展開にワクワクしてしまうほど、しゅんすけの中にはこういった職業の人への純朴な憧れがある。そう思うにつけいつも想像が広がってしまうのだけど、しゅんすけが以前音楽関係でお付き合いさせていただいた人の中に、航空関係者の方がいて、その人たちだって普段はただの人でしゅんすけと何ら変わらない振る舞いをしているんだけど、飛行機に乗っている時に非常事態が発生した際には、スススッと進み出てテキパキと事態収拾に向けて協力を惜しまない振る舞いを見せるんだろうな。一般人からスーパーマンへ、いわば「変身」する姿を彼らに当てはめるだけで、こっちのドキドキが止まらないのである。
そんなしゅんすけなので、この著者の作品は読んでみようと思っている。
10年以上前のミステリー大賞受賞作である。内容的にはジャンボ旅客機で発生するハラハラドキドキなストーリーで、これを実際のジャンボジェット機のパイロットが書いたものということで、しゅんすけはかなり期待して読み始め、その期待を裏切ることなく読了となった。専門的なことも分かりやすく書いてあるので、気楽に読める本である。
ところで、しゅんすけは往年の読書ペースが完全に狂ってしまってホントに本を読まない人になってしまった。知識レベルは身近に起きたニュースを知ってる程度まで落ち、読み物と言えば新聞とか気になるブログとかそういったものになってしまった。いつぞやのように読書した内容を自分の脳みそに刻むようなことはなくなってしまった。本屋に行っても興味をそそるネタがあまり転がってないというのが大きな理由だけど、ニンゲンたるもの、興味は全方位でなくてはならないと思うにつけ、読書しなくなったのは完全にしゅんすけが怠慢なだけなのである。
そんな中でも小説としてはいくつかの本を読んでいる。
それでも「これは?!」という本はなかなか巡り会えていない。某人気ブロガーが推薦する小説などを読んだけど、全然琴線に触れなかった。せっかくアマゾンで取り寄せたというのに全然面白くなかった。(ブロガーご本人は世田谷図書館で借りてきたと言っていたので、つまりブロガーの方よりもコスト効率が悪いということだ)
この前さきこと品川で待ち合わせることになり、しかも少々時間があったので、品川の駅前のウイングに行ってみることにした。信号を渡った先にあるのがしゅんすけが大学生時代から行っているウイングである・・・とその前に、京急ホテルって完全に撤去されてしまったんだなー。ホテルの閉鎖に際しては従業員と経営者の間でいろいろと悶着があったようだけど、今や建物そのものが取り壊されてしまった。しゅんすけが大学に行くのに乗っていたバスの停留所がこのホテルの先にあって、何度もこの横断歩道を渡り、このホテルの前を過ぎてバスに乗ったものである。このホテルの古めかしくも何となく高級感のある雰囲気が好きで、1階に並ぶレストランにはいつか行ってみたいと思っていた。寂しいものである。
さて、ウイングの2階にはくまざわ書店がある。よくある小さな本屋さんである。以前はCDショップと併設されていて非常に広かったんだけど、かなり縮小された感じで今なお営業を続けている。そしてこの本屋さんでさきことの待ち時間を潰す中で、「パイロット・イン・コマンド」を発見したのである。う〜ん、この作者の本はしゅんすけは以前読んだことがあるかもしれない。あの本は旅客機の運行や操縦なんかにかかわる小ネタをエッセー風にまとめた作品で、しゅんすけが持っている飛行機の知識のおよそ60%ほどはその本から得たものなんだけど(残りの部分についてはまた別の機会に)、この作者と同じかどうかは忘れてしまった。小さな本だったので、自宅のどこに収納したのかもはや分からない。ま、同じ人でもそうでなくても気にしないのだ。とにかく実際に飛行機を操縦していた人が書いたストーリーにはこれ以上ないほどの真実味があるはずである。
真実味というかリアリティは確かだった。しゅんすけはまだ飛行機の操縦はしたことがないので、書かれた記述がどの程度現実に近い表現なのか分からないけど、真実味というか臨場感として迫ってくるほどの確固とした筆致があった。特にストーリーが急展開する後半部分には、そのスピード感とリアリティのバランスがとても良かった。
ただし難点というか、こういうリアリティのある表現をするには、最初っから一貫してそういう表現・描写をして読者を引き込んでおかなければならないわけで、飛行機を操縦する描写の時には感じなかったことが例えばコーヒーを飲むシーンなんかでもナニかと勿体つけた感じの描写になってしまってて、これが下手なハードボイルド小説(そういや最近そういう言葉聞かないね)のようで気になった。これはその後の表現効果のためにはしょうがないことなんだけど、冒頭辺り鼻がムズ痒くなるような感じである。またミステリーということで、当然謎解き的展開があるわけで、そのために冒頭を過ぎた辺りから布石を打ったり、伏線を張ったりするわけだけど、その布石や伏線が多すぎた感じである。伏線を張っていたものの、結局本筋とはまったく関係なくて、エピローグの部分でさらっと回収して済ませるようなのはなんだかなー。すべての伏線が展開にかかわってるってのもデキスギな感じだけど、伏線がありすぎるってのもどうだろう。
しかしそれは細かい点であり、展開を俯瞰すれば、飛行機の操縦とアクシデントの進行、謎解きが同時にバランスよく調和していると感じられた。登場人物も当初は多すぎかと思ったけど、結果的には絶妙なバランスだった。
それにしてもこういうお話しこそ、ショウビジネスとして向いていると思う。だからテレビドラマとか映画にしたら絶対面白いと思うんだけど、と思う反面、これをたくさんの人が見ると逆に不安を煽ったり、不快な思いをする人も多そうで、やはり小説にしておくくらいがちょうどいいのかもしれない。
※この小説の影響もあって映画「ハッピーフライト」が制作されたという話しは後で知った。やっぱ航空機を巡るお話しってのはドラマとしてはいつでも面白いものである。
ところで、航空業界の関係者もそうだけど、「手に職がある人」っていいなーと思う。子どもじみた羨望というか憧れが単純にある。ある事態、状況に陥った時、それを収拾できるのは専門職の人間だけである。飛行機にトラブルが生じた時、これに対処できるのは航空関係者だけである。同様の状況は、医療の世界にもあって、ドラマなんかで飛行機に乗ってる時にトラブルが発生して「お客様の中でお医者様はいらっしゃいますか」なんてシーンがあるけど、未だにこういう展開にワクワクしてしまうほど、しゅんすけの中にはこういった職業の人への純朴な憧れがある。そう思うにつけいつも想像が広がってしまうのだけど、しゅんすけが以前音楽関係でお付き合いさせていただいた人の中に、航空関係者の方がいて、その人たちだって普段はただの人でしゅんすけと何ら変わらない振る舞いをしているんだけど、飛行機に乗っている時に非常事態が発生した際には、スススッと進み出てテキパキと事態収拾に向けて協力を惜しまない振る舞いを見せるんだろうな。一般人からスーパーマンへ、いわば「変身」する姿を彼らに当てはめるだけで、こっちのドキドキが止まらないのである。
そんなしゅんすけなので、この著者の作品は読んでみようと思っている。