2012.07.31 Tuesday
修善寺で待ってて。
先週の週末は会社の自転車仲間が集まって、伊豆修善寺にサイクリングに行った。
いやこれは非常に楽しくも過酷で有意義なサイクリングだったんだけど、実はこのサイクリングの前にはこれを凌駕するデキゴトが起こっていたので、このことを書こうと思う。しゅんすけがサイクリングのスタート地点である修善寺に向かう道中で起こったデキゴトである。
スタート地点である修善寺に現地集合ということにしていたので、そこに向かう東海道線にはしゅんすけしか乗車していなかった。本来乗るべき電車の1本前に乗ってしまったということもあるけど、ほとんどのメンバーは東京から修善寺に直通する電車に乗ったようで、結局熱海まではしゅんすけの一人旅になった。
熱海で一旦東海道線を降りて、再び熱海発の電車に乗り換える。ここで同僚の一人と合流した。熱海発、静岡行きの東海道線に乗り、車両の最後尾に乗り、背負ってきたリュックサックを網棚に載せる。同僚と談笑しているうちに電車は走り出す。三島でまた電車を乗り換えるので、短い距離である。
車内はかなり空席があるものの観光客と地元の人が半々といった感じ。すぐ近くに座っているのは、この暑い中黒いシャツ、黒いパンツ、黒い靴、そして黒い上着を着て、だらしなくはだけた襟元から胸元に描かれた何やら意匠的デザインが垣間見れる、つまりそっち系の人がドアを挟んだシートに座る同業の方と何やら談笑していた。何気に聞いていると「昨日飲んだビールが胃の中で云々」とか「あっちーなー、くっそー云々」などと、いやもうイマドキの男子高校生でももう少しマシな会話をするだろうなって感じである。三島が近づいてきて、観光客が席を立ちドアの前に集まってくる。しゅんすけもドアの前に置いた輪行袋を持ち上げて、この人たちが降りるのに合わせてサササッと降りようと準備をする。
「それは何ですかー?」
近くにいたおばちゃんが話しかけてきた。輪行袋を持っているとたまにこうして話しかけられることがある。
減速していく電車の中でちょっとした会話が交わされる。このおばちゃんも含め、三島で降りる人は結構いそうなので、迷惑にならないようここは素早く行動しなくては。
電車が停車し、一呼吸置いてドアが開く。それ、今だ!
輪行袋を持ち上げてドアを出る。ホームで通行の邪魔にならないところまでサササッとと移動する。後に続く同僚も同じように輪行袋を抱えるように降りてきた。にわかに賑わう狭いホームで、降車した乗客たちは改札口に向かうため地下通路の階段を下っていく。ひと通り人の流れをパスしてからしゅんすけたちもこれに続き、地下通路を通って修善寺行きの伊豆箱根鉄道のホームに向かう。ここで修善寺までの切符を買わないといけない。その時ふいに、違和感を覚えた。
リュックサックを背負っていない。
電車に置き忘れたのである。全身を悪寒が駆け巡った。
電車は既に行ってしまったハズである。ヤバい、あの中には今回の旅行で必要なものはすべて入っていたのだ。いやいやそれよりも、財布やら鍵やらととにかく失くなっては困るものがまとめて丸ごと入っているのである。これは非常にマズい!
とにかく駅員さんに相談である。
電車に乗っているとよく遭遇する光景だけど、駅で車内捜索のためなどと言ってちょっと長めに停車していたりすることがある。これは置き忘れた荷物を捜索するためのものである。見つかる場合もあれば見つからない場合もあるだろうけど、電車で頻発する忘れ物への対応はここ最近変わってきている感がある。きっと駅員さんに相談すればそれほど時間がかからずに解決するだろう。
しゅんすけはとにかく焦っていた。もっとも重要なアイテムである財布が紛失したとなれば、クレジットカードやら免許証やらの紛失手続きが何よりも最優先になる。朝自宅で見送ってくれ、悠々自適に今頃テレビなぞ観ているであろうさきこに電話をして、対応に協力してもらわないといけない。うん、対応に協力いただく前にひと通りの罵詈雑言を拝聴つかまつるハメになるだろうな。
いや、待て、こうしている間にも所有者不明のリュックサックは電車に揺られて一路静岡を目指しているハズだが、これが忘れ物であることに誰かが気づくのにどれくらい余裕があるだろうか。そう言えば、高校生よりも低次元の会話を交わしていたそっち系の二人組はどうなった?三島で降りただろうか?リュックサックは彼らの真上の網棚に置いていたから、その存在に気づくのにさほど時間はかからないだろう。これは実はかなり危険なんじゃないか。そっち系の人のそっち系的手際の良さで、クレジットカードが不正利用されまくりなんていう事態も想定できるのである。あーもーこれは大変なことである。カード会社に連絡した方がいいかもしれない。
「あの人たちは三島で降りましたよ、確実に」と同僚が言ってくれた。少し安心である。いや、あまり悠長にはしていられないんだけど。
それにサイクリングのことも気になる。今回のサイクリングコースを知っているのはしゅんすけだけである。しゅんすけが行かなければサイクリングは始まらないのである。しゅんすけは他にもサイクリングを企画することがあるけど、これがもっとも大きな弱点だろうな。しゅんすけが何らかの理由でサイクリングに行けなくなれば、サイクリングそのものの存在が危うくなるのである。今後の課題である。
そんなわけでいろんなコトが頭をぐるぐるする中、駅員さんの対応は非常に冷静で・・・というかノンビリしていて、たぶんリスキーな事態が進行中であることを理解していなかったのだろう。遺失物申告書みたいな紙を渡されて、連絡先や忘れ物の特徴を書けという。いろんな電車と接続する駅だから運賃精算の乗客が多数いて、どうもそっちに忙しい感じなのである。
業を煮やしたしゅんすけは駅員室に飛び込んで、手の開いている駅員(奥に数名いた)に語調も強く訴える。
「今、沼津辺りを走っている電車にあるんだから、その先の駅員さんに連絡して引き取ってもらえないんですか?!」
電車は三島を出て、沼津、片浜、原辺りを走っているハズで、ここで引き取ってもらえるなら短時間で行って帰って来られるハズである。
しかし、駅員さんの回答はNOであった。そもそもJRでは駅員さんが電車を待ち受けて遺失物を捜索するようなことはしてくれないんだそうな。待ち合わせなどで電車が比較的長く停車するタイミングで車掌さんが車内を点検し、見つかればそのまま車掌室に引き上げて終着駅まで持って行き、終着駅の遺失物センターに保管されるんだそうな。
いや、もう、なんて言うか・・・驚くべき不親切な対応である。先に書いたように、電車を停めてでも車内捜索をしてくれる電車会社があることを知っているからこそ、そう思うんだけどね。JR、対応悪いわーと思ったね。いや忘れ物をするしゅんすけがまず何より100パーセント悪いんだけどさ。
それでも救われたのは、駅員さんが今走っている東海道線に無線を飛ばして、忘れ物がないか見てもらうと言ってくれたことである。忘れ物の場所が車両の最後尾だったこともあるんだろうけど、ほんの数秒で確認できることだから、ささっと見てもらうよう頼んでみるとのことである。電線で動力を送電している電車という乗り物において、連絡を取るのになぜ無線?と、もう焦り過ぎて明後日な疑問が膨らんできたけどこれを無視して、とにかく連絡を取ってもらうことにした。
しばしの待機。
サイクリングのことが気になっていて、同僚には先に修善寺に行ってもらうことにした。あっちで仲間と合流して、事情を話してもらおう。もしあまりにも時間がかかるようだったら、先に行っていてもらうことにした。
数分なのか数十分が経過していたのか分からないけど、駅員さんが現れた。あ、あの、リュックサックは見つかりました?
「ぼく、もう交代の時間なので、あとのことは後任に引き継いでおいたから」
その時のしゅんすけは、一路静岡に向かう東海道線に乗っている車掌さん(たしか若い女性だった)に思いを馳せ、危険な状態にあるリュックサックを救ってくれることをただ祈るばかりだったんだけど、この駅員さんの言葉を聞くと、こんな感じの人と同じ会社の人に、しゅんすけの全財産の危機が委ねられているのかともうほとんど愕然とするしかなかった。いいよ、もう休憩でも食事でも昼寝でもどこでも行けばいいよ。
それからほどなく、である。
休憩中の駅員さんを引き継いだ駅員さんが言うには、車掌さんと連絡が取れて、リュックサックは見事保護されたとのことである。やったっ!
ただやはり途中で荷物だけ降ろすことができないそうで、そのまま静岡に行ってしまうとのこと。もうしょうがない、追いかけるしかあるまい!幸い、ここは三島、新幹線で静岡に繋がっているのである。
持ってきた輪行袋を伊豆箱根鉄道の駅員さんに預け(もうこの辺でJR側には些細なことも任せられんと判断)、新幹線で静岡を目指す。
新幹線には今までいろんな目的で乗ってきた。旅行だろうと出張だろうと、夢の超特急・新幹線にはワクワク感があった。しかし今回、忘れ物を取りに新幹線に乗るしゅんすけには、ワクワク感など微塵もなくて、己の愚かさを呪い、嫌悪し反省し、そして首尾よく見つかったとは言え実は財布だけ抜き取られていましたなんて事態にならないかとの不安に支配されていた。とにかく無事にリュックサックに会いたい。こんな気持で新幹線に乗るのは初めてである。
静岡の駅に着き、駅員さんに事情を話すも、先ほど三島でさんざん体感したJR的な企業風土はここでも健在で、つまりいろいろたらい回しにあった挙句、東海道線下りホームの駅事務所にあることが分かり、駅のホームに向かった。
・・・あった。
駅事務所内のデスクの上に置かれたリュックサックは、たしかにしゅんすけが三島で離れ離れになってしまったそれである。三島から静岡までの60キロを超えての再会であった。中身を確認すると財布はちゃんと健在で、カードなども抜かれていなくて、つまり万事無事だったということである。
遺失物の引き取りということで、連絡先などを所定の紙に書いたんだけど、その中の項目に「現金、○○○円(千円札○○枚、一万円札○○枚)」などと書かれていて、え?見たの?って感じだった。お札入れに入っている某マク○ナルドの割引券を後生大事に持っていることもバレちゃったわけね。いいけどね。
駅員さんにお礼を行って再び新幹線に乗る。今度は不安はなかったけど、何とも変な感じである。しゅんすけは横浜から修善寺に向かっていたハズなのに、なぜか新幹線に乗っているのである。しかも旅はまだ始まってもいないのである。修善寺にはしゅんすけを待ってくれているメンバーがいる。結局2時間ほども待たせることになってしまった。これをどう埋め合わせしたものかなーとちょっと途方に暮れてしまうのであった。
会社の仲間と共に行く伊豆のサイクリングは、これから始まるんだけど、その前にあまりにも大きなデキゴトがあったので、これだけピックアップして書いてみた。サイクリング本編の方はまた別の機会に。これも結構たいへんだったわ。
いやこれは非常に楽しくも過酷で有意義なサイクリングだったんだけど、実はこのサイクリングの前にはこれを凌駕するデキゴトが起こっていたので、このことを書こうと思う。しゅんすけがサイクリングのスタート地点である修善寺に向かう道中で起こったデキゴトである。
スタート地点である修善寺に現地集合ということにしていたので、そこに向かう東海道線にはしゅんすけしか乗車していなかった。本来乗るべき電車の1本前に乗ってしまったということもあるけど、ほとんどのメンバーは東京から修善寺に直通する電車に乗ったようで、結局熱海まではしゅんすけの一人旅になった。
熱海で一旦東海道線を降りて、再び熱海発の電車に乗り換える。ここで同僚の一人と合流した。熱海発、静岡行きの東海道線に乗り、車両の最後尾に乗り、背負ってきたリュックサックを網棚に載せる。同僚と談笑しているうちに電車は走り出す。三島でまた電車を乗り換えるので、短い距離である。
車内はかなり空席があるものの観光客と地元の人が半々といった感じ。すぐ近くに座っているのは、この暑い中黒いシャツ、黒いパンツ、黒い靴、そして黒い上着を着て、だらしなくはだけた襟元から胸元に描かれた何やら意匠的デザインが垣間見れる、つまりそっち系の人がドアを挟んだシートに座る同業の方と何やら談笑していた。何気に聞いていると「昨日飲んだビールが胃の中で云々」とか「あっちーなー、くっそー云々」などと、いやもうイマドキの男子高校生でももう少しマシな会話をするだろうなって感じである。三島が近づいてきて、観光客が席を立ちドアの前に集まってくる。しゅんすけもドアの前に置いた輪行袋を持ち上げて、この人たちが降りるのに合わせてサササッと降りようと準備をする。
「それは何ですかー?」
近くにいたおばちゃんが話しかけてきた。輪行袋を持っているとたまにこうして話しかけられることがある。
減速していく電車の中でちょっとした会話が交わされる。このおばちゃんも含め、三島で降りる人は結構いそうなので、迷惑にならないようここは素早く行動しなくては。
電車が停車し、一呼吸置いてドアが開く。それ、今だ!
輪行袋を持ち上げてドアを出る。ホームで通行の邪魔にならないところまでサササッとと移動する。後に続く同僚も同じように輪行袋を抱えるように降りてきた。にわかに賑わう狭いホームで、降車した乗客たちは改札口に向かうため地下通路の階段を下っていく。ひと通り人の流れをパスしてからしゅんすけたちもこれに続き、地下通路を通って修善寺行きの伊豆箱根鉄道のホームに向かう。ここで修善寺までの切符を買わないといけない。その時ふいに、違和感を覚えた。
リュックサックを背負っていない。
電車に置き忘れたのである。全身を悪寒が駆け巡った。
電車は既に行ってしまったハズである。ヤバい、あの中には今回の旅行で必要なものはすべて入っていたのだ。いやいやそれよりも、財布やら鍵やらととにかく失くなっては困るものがまとめて丸ごと入っているのである。これは非常にマズい!
とにかく駅員さんに相談である。
電車に乗っているとよく遭遇する光景だけど、駅で車内捜索のためなどと言ってちょっと長めに停車していたりすることがある。これは置き忘れた荷物を捜索するためのものである。見つかる場合もあれば見つからない場合もあるだろうけど、電車で頻発する忘れ物への対応はここ最近変わってきている感がある。きっと駅員さんに相談すればそれほど時間がかからずに解決するだろう。
しゅんすけはとにかく焦っていた。もっとも重要なアイテムである財布が紛失したとなれば、クレジットカードやら免許証やらの紛失手続きが何よりも最優先になる。朝自宅で見送ってくれ、悠々自適に今頃テレビなぞ観ているであろうさきこに電話をして、対応に協力してもらわないといけない。うん、対応に協力いただく前にひと通りの罵詈雑言を拝聴つかまつるハメになるだろうな。
いや、待て、こうしている間にも所有者不明のリュックサックは電車に揺られて一路静岡を目指しているハズだが、これが忘れ物であることに誰かが気づくのにどれくらい余裕があるだろうか。そう言えば、高校生よりも低次元の会話を交わしていたそっち系の二人組はどうなった?三島で降りただろうか?リュックサックは彼らの真上の網棚に置いていたから、その存在に気づくのにさほど時間はかからないだろう。これは実はかなり危険なんじゃないか。そっち系の人のそっち系的手際の良さで、クレジットカードが不正利用されまくりなんていう事態も想定できるのである。あーもーこれは大変なことである。カード会社に連絡した方がいいかもしれない。
「あの人たちは三島で降りましたよ、確実に」と同僚が言ってくれた。少し安心である。いや、あまり悠長にはしていられないんだけど。
それにサイクリングのことも気になる。今回のサイクリングコースを知っているのはしゅんすけだけである。しゅんすけが行かなければサイクリングは始まらないのである。しゅんすけは他にもサイクリングを企画することがあるけど、これがもっとも大きな弱点だろうな。しゅんすけが何らかの理由でサイクリングに行けなくなれば、サイクリングそのものの存在が危うくなるのである。今後の課題である。
そんなわけでいろんなコトが頭をぐるぐるする中、駅員さんの対応は非常に冷静で・・・というかノンビリしていて、たぶんリスキーな事態が進行中であることを理解していなかったのだろう。遺失物申告書みたいな紙を渡されて、連絡先や忘れ物の特徴を書けという。いろんな電車と接続する駅だから運賃精算の乗客が多数いて、どうもそっちに忙しい感じなのである。
業を煮やしたしゅんすけは駅員室に飛び込んで、手の開いている駅員(奥に数名いた)に語調も強く訴える。
「今、沼津辺りを走っている電車にあるんだから、その先の駅員さんに連絡して引き取ってもらえないんですか?!」
電車は三島を出て、沼津、片浜、原辺りを走っているハズで、ここで引き取ってもらえるなら短時間で行って帰って来られるハズである。
しかし、駅員さんの回答はNOであった。そもそもJRでは駅員さんが電車を待ち受けて遺失物を捜索するようなことはしてくれないんだそうな。待ち合わせなどで電車が比較的長く停車するタイミングで車掌さんが車内を点検し、見つかればそのまま車掌室に引き上げて終着駅まで持って行き、終着駅の遺失物センターに保管されるんだそうな。
いや、もう、なんて言うか・・・驚くべき不親切な対応である。先に書いたように、電車を停めてでも車内捜索をしてくれる電車会社があることを知っているからこそ、そう思うんだけどね。JR、対応悪いわーと思ったね。いや忘れ物をするしゅんすけがまず何より100パーセント悪いんだけどさ。
それでも救われたのは、駅員さんが今走っている東海道線に無線を飛ばして、忘れ物がないか見てもらうと言ってくれたことである。忘れ物の場所が車両の最後尾だったこともあるんだろうけど、ほんの数秒で確認できることだから、ささっと見てもらうよう頼んでみるとのことである。電線で動力を送電している電車という乗り物において、連絡を取るのになぜ無線?と、もう焦り過ぎて明後日な疑問が膨らんできたけどこれを無視して、とにかく連絡を取ってもらうことにした。
しばしの待機。
サイクリングのことが気になっていて、同僚には先に修善寺に行ってもらうことにした。あっちで仲間と合流して、事情を話してもらおう。もしあまりにも時間がかかるようだったら、先に行っていてもらうことにした。
数分なのか数十分が経過していたのか分からないけど、駅員さんが現れた。あ、あの、リュックサックは見つかりました?
「ぼく、もう交代の時間なので、あとのことは後任に引き継いでおいたから」
その時のしゅんすけは、一路静岡に向かう東海道線に乗っている車掌さん(たしか若い女性だった)に思いを馳せ、危険な状態にあるリュックサックを救ってくれることをただ祈るばかりだったんだけど、この駅員さんの言葉を聞くと、こんな感じの人と同じ会社の人に、しゅんすけの全財産の危機が委ねられているのかともうほとんど愕然とするしかなかった。いいよ、もう休憩でも食事でも昼寝でもどこでも行けばいいよ。
それからほどなく、である。
休憩中の駅員さんを引き継いだ駅員さんが言うには、車掌さんと連絡が取れて、リュックサックは見事保護されたとのことである。やったっ!
ただやはり途中で荷物だけ降ろすことができないそうで、そのまま静岡に行ってしまうとのこと。もうしょうがない、追いかけるしかあるまい!幸い、ここは三島、新幹線で静岡に繋がっているのである。
持ってきた輪行袋を伊豆箱根鉄道の駅員さんに預け(もうこの辺でJR側には些細なことも任せられんと判断)、新幹線で静岡を目指す。
新幹線には今までいろんな目的で乗ってきた。旅行だろうと出張だろうと、夢の超特急・新幹線にはワクワク感があった。しかし今回、忘れ物を取りに新幹線に乗るしゅんすけには、ワクワク感など微塵もなくて、己の愚かさを呪い、嫌悪し反省し、そして首尾よく見つかったとは言え実は財布だけ抜き取られていましたなんて事態にならないかとの不安に支配されていた。とにかく無事にリュックサックに会いたい。こんな気持で新幹線に乗るのは初めてである。
静岡の駅に着き、駅員さんに事情を話すも、先ほど三島でさんざん体感したJR的な企業風土はここでも健在で、つまりいろいろたらい回しにあった挙句、東海道線下りホームの駅事務所にあることが分かり、駅のホームに向かった。
・・・あった。
駅事務所内のデスクの上に置かれたリュックサックは、たしかにしゅんすけが三島で離れ離れになってしまったそれである。三島から静岡までの60キロを超えての再会であった。中身を確認すると財布はちゃんと健在で、カードなども抜かれていなくて、つまり万事無事だったということである。
遺失物の引き取りということで、連絡先などを所定の紙に書いたんだけど、その中の項目に「現金、○○○円(千円札○○枚、一万円札○○枚)」などと書かれていて、え?見たの?って感じだった。お札入れに入っている某マク○ナルドの割引券を後生大事に持っていることもバレちゃったわけね。いいけどね。
駅員さんにお礼を行って再び新幹線に乗る。今度は不安はなかったけど、何とも変な感じである。しゅんすけは横浜から修善寺に向かっていたハズなのに、なぜか新幹線に乗っているのである。しかも旅はまだ始まってもいないのである。修善寺にはしゅんすけを待ってくれているメンバーがいる。結局2時間ほども待たせることになってしまった。これをどう埋め合わせしたものかなーとちょっと途方に暮れてしまうのであった。
会社の仲間と共に行く伊豆のサイクリングは、これから始まるんだけど、その前にあまりにも大きなデキゴトがあったので、これだけピックアップして書いてみた。サイクリング本編の方はまた別の機会に。これも結構たいへんだったわ。