「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
キャンプ・ライフ。

5月のデイキャンプでテントの設営やらバーベキューなどキャンプの練習をしたぼくとさきこは、先週末に本番ともいえる泊りがけのキャンプに行ってきた。いや、いろいろ勉強になりつつも、とても楽しいキャンプだった。

 

キャンプ場には早めに到着したので、時間的にも余裕があり、テントやタープを設営したり、川のせせらぎを見ながらコーヒーを飲んだり、明るい内から焚火を始めて、燃え盛る炎を見て和んだりした。
夕食は焚火にさらに薪を投入して、1枚ものの厚切りステーキ肉なんかを食べ、美味しいビールを飲んで大満足だった。焼いたシイタケも美味かったなー。
夜は早々に寝てしまったのだけど、ちょっと蒸すのを除けば快適なテントでの睡眠だった。
ちなみに、ぼくたちが予約したキャンプサイトの隣は、子供が水遊びするには最適な小川が流れていて、デイキャンプでやってきたどこかのスポーツクラブの子供たちがキャイキャイ騒がしかったり、縦横無尽に駆け回って、ぼくたちのテントやクルマを駆け抜けて行ったりと、いろいろウザかったのだけど、陽が傾き、ヒグラシが鳴く頃には彼らも帰途に就き、夏のキャンプ場らしい静寂を得ることができた。食事はそんな中でゆっくり楽しむことができた。
2回目のキャンプ体験にしては、非常に満足だった。グッズもそれなりに買い揃えられたので、効率性も快適性も高まった。ちなみに、多くの荷物を一度に運搬できるキャリアは、さきこがずっとその必要性を訴えていて、でも結構値が張るものだからぼくがずっと買うのを躊躇していたのだけど、前日になって持っていくものを準備し始めたら、これはやっぱり必要だわってことになって、夜9時過ぎに慌ててドン・〇ホーテに行って買ってしまった。キャリア自体も意外にコンパクトにまとまって収納場所を取らなかったので、やっぱり買って良かったわ。

 

そんなわけで、昼も夜も、食事も酒も、焚火もコーヒーも、とにかくいろいろ非常に楽しんだキャンプなのだけど、ここまで書いて、実は天気が最悪だったなんて、読んでる人はかなり意外に思うだろう。
実はこの日は夕方までずっと曇天で、気温も非常に高く、さらに夕方から嫌に涼し気な風が吹くなーと思ったら、ぽつぽつと雨滴を受け、横浜の自宅でネコに夕食をあげてくれていたお袋さんから「横浜はスゴい夕立だけど、大丈夫?」なんてメッセージが届く頃には、キャンプ場も大粒の雨が降り始め、幸い豪雨にはならなかったものの、夜半には傘を差さなければずぶ濡れになるほどの雨に見舞われた。この頃までには既に食事を終えていて、この日2杯目のコーヒーを飲んでいる頃だったけど、それでも雨に見舞われるというのは気持ちが萎えるものである。
雨が降らなければ、ぼくは焚火台でミニチュアのキャンプファイアを楽しんでいただろうし、もしかしたら頭上には満天の星空が見えていたかもしれない。しかし、強い雨に晒されたキャンプサイトで、ぼくたちはコーヒーを飲んだ後は早々にテントに潜り込み、寝てしまうしかなかったのである。
楽しみにしているイベントの日には、コトゴトク雨が降るという悪魔のジンクスを持つぼくが、「またか・・・」などと鬱々とした気分を持て余し、天にまします人外なる存在に恨み言を並べてる横で、しかしさきこが楽しそうにしているのは相当に意外だった。いや、驚いたわ。
雨が降ってもちゃんとキャンプできていること、いやむしろ、雨に見舞われることによってキャンプの経験値がぐんと上がったことをさきこは喜んでいた。なるほど、そんな考え方もあるか。
たしかに、雨にもかかわらず、キャンプをするという当初の目的は成し遂げている。雨防止のテントカバーや防水処理が施してあるタープはちゃんと雨を弾いてくれてるし、テント内には雨水ばかりか湿気さえも侵入を防いでくれて非常に快適で、さきこがテントの天井にぶら下げたポータブル扇風機(これは実は会社で使うために購入したものらしいけど)が蒸し暑ささえも大幅に軽減してくれた。うん、たしかにちゃんとキャンプできてるじゃん。
こうしてぼくは、雨音がぴんと張ったテントの屋根に打ち付ける音を聞きながら、不快なハズなのになんだか嫌な気がしない不思議な感覚で眠りに落ちていったのである。

 

早く寝てしまったので、翌朝は早く目覚めてしまった。雨はかなり小降りになり、霧雨くらいにはなっていた。雨はやはり気持ちいいものではないな。
ぼくの気持ちがスッキリしないまま、さきこが起きてくる前にバーナーでお湯を沸かしてコーヒーを飲んだ。タープの下で雨宿りしながらコーヒーを飲むと、なんだか気持ちが和んだような気がした。さきこが起きてきたので、残ったコーヒーを分けてあげた。
さきこが家電量販店で安く仕入れてきたパン焼き機で食パンを焼き、バーナーで小型のフライパンを熱して目玉焼きを作ってくれた。いつも休日にさきこが作ってくれるメニューである。これがとても美味しかった。
朝食を食べ終わる頃には小雨もやんで、薄曇りながら明るくなってきた。
ゆるゆると片付けを始め、使い終わったものをクルマに積み込んだ。テントの上に残る雨滴を払うとすぐに乾き始めてくれた。昨夜降った雨の量を思うと、テントの防水機能はかなり秀逸である。キッチンペーパーで水気を拭き取ると、そのまま収納できてしまうほどだった。
あらかたの荷物をクルマに収納してしまうと、少し日が差してきた。ぼくのココロは既に晴れやかだった。さきこが言う通り、ぼくのキャンプの経験値は高まったような気がした。次はきっと晴れてくれる。そうしたら、たき火でもしながら満天の星空を仰ぎ見てワインでも飲むことにしよう。そんな日はきっと来てくれる。そうである、楽しみが少し先に延びただけなのである。
こうして、ぼくとさきこはたくさんのキャンプ道具を載せたクルマに乗り込んでキャンプ場を後にした。楽しいキャンプだったな。また近いうちにキャンプに来よう。

※出発の朝、キャリアーに荷物を載せていると、フクくんが乗り込んできた。

「ボクも行くー!」

 

※キャンプサイト。こんな感じで設営。

※夜はこんな感じでバーベキュー。

※雨が強くなってきた頃、テントサイトにアマガエルがやってきた。

その後、ネコも現れたな。

※ランタンのぼんやりした灯りの中で、コーヒーを飲む。

 

※朝食は焼いた食パンと目玉焼き。

※帰り際、雨が止んだところにアマガエルがやってきた。

| キャンプライフ | 21:35 | comments(0) | trackbacks(0)
トムクルーズ。

かなり昔に観た映画「ファーム〜法律事務所」のワンシーンを思い出した。
主演のトムクルーズがロースクールで卒業を控えた優秀な学生を演じている。ある日彼のもとに大手の弁護士事務所からスカウトが現われ、熱烈な勧誘を受けて、彼はまだ司法試験に合格していないうちから、その優秀さを買われて就職することになる。この法律事務所の弁護士には、大きな個室が与えられ、破格の待遇である。貧乏で苦学生だった主人公は、自分に与えられた大きな部屋に驚き、とにかくまずは司法試験に合格することを目指して、この部屋で遅くまで勉強に励むのである。そこへ同じ事務所の弁護士が現われて、彼に声をかける。
「頑張って勉強して事務所の期待に応えてくれよ」みたいな激励の言葉だけど、その裏には優秀な彼への嫉妬もあってか、プレッシャーをかけるというかけん制みたいなニュアンスも感じられて、ちょっとピリッとくるシーンである。
鳴り物入りで就職した事務所期待の新人が、司法試験にぽろっと落ちるなど、とんだ恥さらしである。優秀であるとは言え、万に一つも失敗するわけにはいかない。主人公のプレッシャーは凄まじいものだったろう。
司法試験の後、どういうコネか、合否の結果を事前に知った先ほどの弁護士が主人公の部屋を訪れて、こう言うのだ。
「残念な知らせだ。今回の試験で、君はトップになれなかった。2位だったよ」
そんなわけで、彼は無事司法試験を合格し、晴れて正式にこの法律事務所の弁護士になれたというわけである。
ウロ覚えな部分もあるけど、だいたいこんな感じのシーンである。

 

さて、ぼくがこの映画を思い出したのは、とある試験を受けたからである。
しかも、映画の主人公と同様に、会社から取得を要請され、合格を期待された試験である。これがないと、会社はある事業を継続することが法律的にできなくなる。会社で同様の資格を持っている人は他にもいるとは言え、会社から取得を要請されている点では、先ほどのトムクルーズと同じである。さらに言えば、この試験はさほど難しくない。実務経験者なら事前に講習なんか受けなくても合格するし、試験問題のクセを読み解くくらい勘のいい人なら勉強しなくても受かるだろう。しかし、万に一つも不合格になれないぼくは、事前に講習を受け、前日にちょろっと勉強をして試験に臨んだ。
先日その結果が出た。
合格だった。ほっとする反面、その点数が気になった。3つの試験のうち、96点、84点、80点だった。5年ほど前に受験した時は94点、95点だったから、あまり芳しくない結果である。
「残念な知らせだ。前回よりも点数が悪い」なんて言われそうである。

 

ともかく良かったわ。これでまた5年ほどはこの資格を継続できる。
まあ実際のところ、この資格の重要性が分かっている人は社内にもあまりいなくて、ぼくが資格を保持していることが事業継続の鍵になってることも知られていないんだけどね。なんだかなーと思いつつ、そんなことを言ったら、衛生管理者も防火管理者もその他の諸々の資格も、ごく一部を除いてはその意味を分かってる人なんて社内にはいないのである。まあ、ぼくの仕事はそういう仕事である。ここで声高に主張することもないだろうと思っている。
そう、あのだだっ広くも薄暗い夜の法律事務所の部屋で、黙々と勉強を続けるトムクルーズにぼく自身を投影してほくそ笑んでいればいいのである。

| 日記 | 11:47 | comments(0) | trackbacks(0)
ハワイより大阪。

今年は1972年にスタートしたホノルルマラソンが、通算45回を数える節目の大会なんだそうな。さらにぼくとさきこは1987年に交際を始めて30周年という節目の年でもある。だから今年はちょっと奮発して行きたいところに旅行に行こう!ということで、この機会にハワイに行ってホノルルマラソンを走ってこようかと思っていた。
金曜日に日本を発って、1日身体を休めたら本番のマラソンに参加し、その後1日ほど休んで帰国すると水曜日である。普段の仕事なら4日くらい休むことくらいはできるハズである。
しかし・・・。
ちょっと大きめのXデーが入ってしまったのだ。12月初めに大きめの工事が入って、ぼくがスケジュールを空けることができなくなってしまった。さらに、同じ12月初めに大阪でも先ほどと同じかそれ以上のボリュームのあるXデーが入ることになった。ちなみに先のXデーは東京である。つまり東京と大阪で同じ12月初めにXデーが入ってしまったことになる。これはイレギュラー、異常事態である。普段の仕事なら、いやXデーがひとつなら、あと4か月で何とかやりくりして身体を空けることも可能かもしれないけど、さすがに二つはキツい。東京と大阪で同時進行しないといけないから、ただでさえ「一人じゃ無理!」と訴えるべきところ、ぼくがしれっと4日も休んじゃったら、説得力ゼロである。これは身体が空く空かないの話しではなくて、ここはぼくが仕事に注力しないといけない局面なのである。
ちなみに、「Xデー」とか言ってるけど、1日だけ極端に大変という意味ではなく、数日から数週間ほども続く大きめの仕事なんで、「デー」というのは違うのだけど、ともかく「大変な仕事」という話しである。
そうであれば、当然ながらハワイなんて行っていられない。ここは中止するのが順当だろう。ホノルルマラソン45周年とか交際30周年とかそういう話しは一旦置いておいて、ここは仕事に専心するべきだろうな。まあこの手のXデーはぼくは嫌いじゃないしね。
それに実際、ハワイに行って走れたとして、きっと全然集中できないだろうしな。ハワイの美しい景色を前に、仕事のことが気になって、走りにも集中できないなんて意味がないからね。

 

この話しをさきこにすると、ちょっと残念そうだった。彼女もハワイを楽しみにしていてくれたようである。
とは言えどうしたものかなー、きっと1月頃には少し落ち着くんだけどなー・・・と思ったら、ハワイではなく別の旅行を考えてしまった。
たとえば、宮古島に行くなんてのはどうだろう。
前回はお袋さんと3人で、クルマをレンタルしてドライブ三昧な宮古島旅行だったけど、今度は自転車で周るのはどうだろうか。さきこが最初に宮古島に訪れ、ウルトラマラソンに参加した時も、道の景色を見ながら「次は絶対自転車で来てやるー!」と思ったそうである。さきこは三度目になってしまうけど、宮古島サイクリングもいいかもしれないね。折しも、前回訪れた以降に伊良部島に長い橋がかかって自転車で渡れるようになったみたいだしね。
この話しには、さきこも同意してくれた。惜しむらくは、ホノルルマラソンの節目を逃してしまうことと、交際30周年の年をまたいでしまうことかな。


仕事は落ち着いている・・・と思うけどね。ハワイを逃した分、宮古島は何としても実現したいものである。

ところで、12月初めに始まる大阪のXデーによって、秋から年末年始にかけて大阪に行く機会は増えると思う。今回はぜひ自転車を持ち込んで、休みを組み合わせてサイクリングを楽しんでやる。どこをどう走るのかなんて全然考えていないけど、出張と休暇を組み合わせてサイクリングするのがもはやぼくの定番になっているから、何度かある出張のうちで少なくとも1回は実施したいものである。
こうしてぼくはハワイへの思いを断って、大阪、そして宮古島に思いをはせるわけである。
さて、ぼくのダブルXデーはどうなるか。そして、宮古島サイクリングは実現するのだろうか。

| 日記 | 13:23 | comments(0) | trackbacks(0)
近況。

なかなかブログが更新できない日々である。ちょっと仕事的に忙しくなってきて、昼休みにパソコンをかちゃかちゃする暇がなくなっている昨今である。

 

梅雨が明けた。ついに夏の到来である・・・んだけど、気圧配置の方はぱっとしない。夏の特徴的な気圧配置である太平洋高気圧がなかなか発達してこない。東日本のはるか沖に高気圧はあるんだけど、これがなかなかこちらまで張り出してこないのだ。これがないと夏らしい晴天にならないので、夏らしさをイマイチ感じられない。しかも、この気圧配置は去年の夏とそっくりで、同じように天気が展開するとすると、太平洋上の台風が東日本や北海道を直撃したり、長い梅雨前線が温かい湿った空気に影響されて長く居座って雨を降らせたりなんてことが起こるかもしれない。2年続けて雨の夏は嫌だなあ。
今年は伊豆半島を一周するサイクリングに行こうと思っていて、今回こそは完全無欠の晴れの下でサイクリングしたいと思ってるんだけど、ちょっと不安が雨雲のようにもくもくと大きくなってきている感じである。
ちなみに、サイクリングはぼくが「晴れる」と確信した日に設定することにしていて、それまでは宿の手配なども保留している状態である。会社には8月上旬に休む旨言ってあるんだけど、こんな状況じゃサイクリングの予定を変更しないといけないかなぁ・・・。

 

ところで、サイクリングに2週間ほど先立って、さきことキャンプに行ってくる。ゴールデンウイークのデイキャンプですっかりキャンプにハマったぼくとさきこだけど、初めての泊りがけキャンプを前に、いろいろと準備に余念がない。ぼくは子供のころに何度かキャンプ体験があるのだけど、さきこは初めてのようである。そりゃ楽しみだろうなー。いいキャンプができるよう今から祈っている。夜の虫の音を聞きながらコーヒーなぞ飲む風景はもうすぐ実現する。

 

話しは変わってネコたちの話しである。
先日のブログでは、隣の家の庭を区切るフェンスにネコ除け用のトゲトゲを設置したところ、フクに易々と突破される悲哀を書いた。その後、別の場所でもトゲトゲを超えてフェンスをよじ登るフクを見ている。彼にとって、お腹をチクチクするトゲトゲなんて、ツボマッサージみたいに「痛気持ちいい」程度のことでしかないのかもしれない。
最近は顔つきがどんどん野性味を帯びてきて、体つきはほとんどヤマネコのような感じである。コウくんと比較すると明らかに体重に差があり、見た目の大きさからは想像がつかないほど重くなっている。食欲旺盛なフクなので、鉛の塊でも飲み込んだかと思うほどである。見た目は日本のイエネコのようで、実はヤマネコの遺伝子を何分の一か引き継いでるんじゃないか。
一方、コウくんは平和主義者で博愛主義者である。ちょっと自分勝手なところもあって、たまにフクに強気に出たりすることもあるけど、2匹がケンカせずに過ごせているのは、コウくんの人柄、・・・ネコ柄のおかげだろう。
そんな彼はいわゆるツンデレというか、フクほどぼくやさきこに甘えることはない。絶妙な距離を置いて、ちょこんと座ってたり寝転んでいたりする。撫でてーとか抱っこしてーなどと要求してくる性質ではない。
しかし一方で、ごくたまにとても甘えん坊になる時がある。
家に他に誰もいない時などである。ぼくの部屋に入ってきて投げ出した足の上にふわりと飛び乗ってちょこんと座る。寝転がってぼくの顔をじっと見つつ、喉をゴロゴロ鳴らすのだ。完全にデレている感じである。ぼくにとってはこれほど至福な瞬間はないけどね。
しかし、誰かが帰ってきたりすると、慌てて起きて、飛び降りてしまう。それまでのデレデレな態度が一変して、いつものコウくんに戻る。まるで、浮気現場を見られた男のような慌てぶりで、ニャウニャウとしきりに何かを訴えている様子は、「いや、これは違うんだ、誤解なんだ。いや浮気じゃないって、信じてくれよ」なんて弁解してるようにも見えたりして、ちょっと滑稽である。
そんなわけで、フクの脱走に気を配りつつ、コウくんとまったりできる瞬間に幸せを感じるこの頃である。

 

最近もっとも気になることは、絵なぞが描けないことである。
どれくらい描いていないかと言うと、6カ月以上、いや8か月になろうとしているかというところ。前作が1月に描かれたことを思うと、ホントにマズい状況である。
もともと寒い時期はどういうわけか絵なぞが描けないのだけど、とは言え冒頭に書いたとおり、季節は夏である。なぜ描けないままになっているのか、皆目見当もつかない。
ぼくはこのまま絵なぞを描けなくなってしまうのか。絵なぞを描くよりも優先すべき楽しみがあるとも思えないけど、ぼくの中で何かの優先順位が変わってしまったのだろうか。
4月から続けている食事制限の影響なのだろうか、ネコが自宅にいることによる弊害だろうか。コウくんに甘えられたら、もう身動きできなくなるもんな。いや、去年もネコがいる中で絵なぞを描いていたしな。
こればっかりは不可解で何だか焦りばかりが募る日々である。

 

そんなわけで、近況を書いてみた。
来週はキャンプのことが書けるかもな。晴れるといいな。

※お前が言うな。

| 日記 | 13:46 | comments(0) | trackbacks(0)
真夜中の爆走。

木曜日の夜11時、ぼくはクルマで首都高湾岸線を走っていた。スピードはかなり出ていた。ぼくはとても急いでいた。
いつもなら、自室でパソコンに向かってカチャカチャやったり、絵なぞの構想を練ったり、疲れてうたた寝したりしてる時間である。いや、ついさっきまでそうしていたのだ。ぼくが座るイスの傍らにはコウくんがいて、絶妙な距離感でデスクの上にチョコンと座ってぼくを見上げ、フクくんはぼくが和んでいる間、めぼしい食料はないかとキッチンやリビングをウロウロしていた。いつもの木曜日の深夜である。いや、いつもと違うことがひとつだけあった。
さきこがいないことである。

 

ぼくは深夜の湾岸線を走りながら、さきこのことを思い出していた。
さきこはこの日、会社のランニング仲間と一緒にレインボウブリッジの方にランニングに行っていた。暑い最中なので、いろいろ危なっかしいところもあったけど、一人じゃないしと安心していた。だからぼくもいつものように自室のパソコンに向かってカチャカチャやりつつ、そろそろツールドフランスの中継でも観るかなーとリラックスしていたのである。
そこにさきこから電話が入る。
「もしもし?」
こちらが問いかけるも返事がない。周囲の雑踏のような音が聞こえているので、どこか賑やかなところにいるのだろう。
「もしもーし?」
もう一度問いかけるも返事がない。なんだ?iPhoneの操作ミスで電話がかかっちゃったのかな?
その時、さきこの声が聞こえた。いつもよりも小さく弱々しい声である。
「ちょっと気分悪くて、倒れちゃった・・・」

 

なに?倒れた?
即座に熱中症だと思った。夜とは言え、こんな暑い日にランニングしたら、熱中症にもなる。どのくらい気分が悪いのか分からないけど、意識がしっかりしてるのでこの時は大したことはないように感じた。
「どうした?熱中症か?」
「・・・・・」
応答がない。先ほどから聴こえる雑踏の音だけが受話器から聴こえる。
「もしもしー!もしもーし!」
ぼくが問いかけるも返事がない。これはどういうことだろう。ちょっとドキドキしてきた。いや、待て、雑踏の中から人の声が聞こえる。「どうしました?」と声をかける女性らしき声、「お客さーん?聞こえますー?」と問いかける男性の声。雑踏の中から聞き覚えのあるチャイムの音が聞こえた。これは京急品川駅で電車が来るのを知らせるチャイムの音である。つまり、さきこは品川にいる。
「もしもーし!もしもーし!もしもーし!」
何度も問いかけるも返事はない。問いかけ続ければ先ほどの女性や男性が代わりに答えてくれるかもしれないと思い、かなり大きな声で問いかけ続けたが、電話はふいに途絶えてしまった。

 

これは一大事だ!
さきこは品川で倒れたのだ。熱中症の可能性が高いけど、まだ分からない。とにかく品川に行かねば。冷蔵庫から冷えたペットボトルの水を2本ほど取り出して、ビニール袋に入れ、適当な服に着替えて出かける準備をした。
ネコたちは先ほどまで和み切っていたぼくが突如慌ただしくなったので、「何事かッ?」と驚いたように廊下を駆け回っていた。
もう一度さきこに電話をする。何度かのコールでさきこが出てくれた。
聞くところによると、ランニングの後にビールを飲んだようである。どのくらい飲んだか分からないけど、水分不足のところに酒など飲むのは危険である。まさか急性アルコール中毒ではあるまいか。嫌な予感ばかりが思い起こされ、迎えに行くことを告げてぼくは家を出てクルマに乗って品川に向かった。
こうして、平日の深夜の首都高湾岸線を爆走することになるわけである。

 

深夜の上り車線はトラックが数台いるだけで、走っている車両はほとんどなかった。焦っていたので、スピードがどんどん速くなっていく。しかし一方で、ぼくが焦って事故でも起こしたりスピード違反で捕まったりしたら、余計に遅くなってしまう。安全運転しつつなるべく急いで走った。
それにしても、最近はなんだか嫌なことが多い。会社の同僚が急逝したのは先月下旬である。友達や会社の同僚にも家族にご不幸があった方が少なくない。今年は特に多いような気がした。ここでその中にぼくが加わるわけにはいかないのだ。
30分ほどで品川に着いた。JR品川駅前のロータリーにクルマを停めて、駅員室に行く。先ほど女性が倒れてこちらにいるハズだと言うと、プラットホームの駅員室に案内された。そこにはアコーディオンカーテンで仕切られた小部屋が2つ並んでいて、そのうち一つはアコーディオンカーテンが閉じていた。ここにさきこがいるそうである。
声をかけて恐る恐る開けると、さきこがタオルケットをかけられて横たわっていた。ぼくの問いかけに反応がある。おお、とりあえず生きていた!ぼくは大きく深呼吸して胸をなでおろした。

 

ランニング後の打ち上げで、喉が渇いたところでビールを飲んだんだそうな。それほどの量ではないそうだけど、それでも折からの疲労や寝不足などもあって、すぐに気分が悪くなっちゃったんだそうな。飲み屋からの帰り道でも一度倒れたそうである。同僚の方に介抱されて、なんとか京急品川からウイング号で帰ろうとしたところ、それを待つベンチで再び倒れたそうである。ぼくに電話をしている最中に突然ばたっといったそうで、それを女性が見つけて駅員さんを呼んでくれたそうである。声をかけてきた女性や男性がそうだったのか。
それにしても、ランニングの後で喉を潤すためにビールを飲むとは・・・。さきこも何年もランニングを続けてきて、経験でも頭でも分かっていただろうに、その場の雰囲気で結構な勢いでビールを飲んでしまったのだろうか。アルコールの分解にはATP(アデノシン三リン酸)と水が必要なのだ。もともと水分が欲しいところで、アルコール分解に水分を使われてしまい、脱水症状のような状態になったのだろう。

 

いやホント、無事でよかったわ。
帰宅後に徐々に回復してきて、翌朝には少し元気になっていたから、もう大丈夫だと思うけどね。真夏のランニングはホントに危険なのである。走る時は気を付けないとね。
それにしても、真夜中の首都高を爆走している時は心中穏やかではなかったな。あんなドキドキはあまり歓迎したくないよね。

 

ちなみに、さきこが休んでいた品川駅の駅員室内の小部屋は、アコーディオンカーテンで仕切られる以外にも特徴的な設えがあった。ベッドの枕元には、大きな洗面台がついていて、そこには蛇口ではなく、トイレの便器についているようなコックがついていた。嘔吐したものをそのまま流せるようにしているみたい。また強く引っ張ると呼び鈴が鳴るナースコールならぬ駅員コール的な器具もあって、まさに気分の悪くなったあまたの酔っ払いがこのベッドで休んだことが伺い知れた。昔からお世話になってる品川駅だけど、駅員室のドアの向こうにこんな設備があったなんてね。

| 日記 | 13:55 | comments(0) | trackbacks(0)
横浜のみらい。

最寄り駅から自宅に帰る道すがら、横浜市長の選挙の告示を見つけた。先日までは東京都議会議員の選挙でテレビが賑わっていたけど、横浜でも選挙のようである。現職の林氏は再選できるか注目である。
それにしても、先日の東京都議会議員選挙は地方議会の選挙だったのにかなりの盛り上がりだった。テレビでは開票状況をリアルタイムで伝える番組が組まれ、さながら国政選挙の様相だった。国政の方でいろいろ問題があり、その影響を非常に大きく出るだろうと予想されていたから、マスコミが盛り上がるのも分かるんだけどね。
ぼくのブログでは政治のことはあまり書かないのだけど、現都知事の小池氏が主導して立ち上げた新党がいきなり大躍進して、多数議席だった政党が歴史的大敗を喫するという展開については、ちょっと思ったことがあるので書いてみようと思う。

 

最近の選挙ではどうも特定の政党が圧勝する展開が多いような気がする。今回の都議会議員選挙でもそうだったし、その前の参議院議員選挙でもその前もそうだったように思う。そういえば某民主党が政権交代を果たした時も、民主党は圧勝し、与党だった自民党は大敗したのだった。そしてその次の衆院議員選では、逆に自民党の圧勝に終わった。
なぜ特定の政党が圧勝する展開が多いのだろうか。
これはいろんな政治研究者がいろいろ考えていることで、ぼくのような政治のシロウトが意見する余地はないのかもしれないけど、あえてぼくの考えを書いてみる。
これは飽くまでぼくの考えだけど、選挙の意味を勘違いしている人がどうも多いんじゃないかという気がしている。
選挙とは、言うまでもなく、各個人の持つ意見に近い政党や政治家に票を投じることである。間接民主制の基本原理である。とは言え、自分の所属する会社やら団体やらの指導で特定の政党を応援するようプレッシャーがかかることは旧来からあったようで、それって個人の意見ではなく組織の意見だろって話しだけど、それでも選挙の原理は自分の意思を政治に反映させる手段である原理に変わりはない。投票用紙は無記名だし、記入する際にも手元は極力見えないような配慮がされてるから、たとえ組織的な圧力があったとしても、選挙の原理に従って自分が思うように投票することは可能である。最近は労働組合なんかの力が弱くなってきてるそうだから、組織票もかなり限定されてきているんじゃないかな。
つまり自由に投票する機会はかなり保障されているわけである。それなのに、意見が一方的に流れるのは、選挙の意味を勘違いしているからなんじゃないだろうか。投票所に行き、投票用紙を受け取り、三方が囲まれた記入台でいざ政党や政治家の名前を書く際に、頭によぎるのは「自分の考えに近い政党や政治家の名前を書く」ではなく、「自分はどう書けば正しいのか」ということなんじゃないだろうか。つまり、「勝ちそうな政党・政治家に投票する」という考えである。
選挙前にテレビで散々放送していた選挙の動向を予想するワイドショウでも「どこの政党が勝つか」、今回の都議会議員選挙で言えば、「小池氏が代表を務める新進の政党は多数議席を獲得するだろうか」みたいな感じで盛んに言われ、投票する都民には何らかの形で精神的バイアスを受けていたんじゃないかと思うのだ。本来なら各政党の主張を分かりやすく伝えることで、各人が自分の考えに近い政党を探すこと手助けをすべきところ、新進の政党の名前ばかりを連呼して、まるで選挙カーから「〇〇党!〇〇党をよろしく!」と言ってるのと同じような効果を出しちゃってたんじゃないか。新党に投票すれば正解、自民党に投票すれば間違い、みたいなね。
それは、ほとんどクイズみたいなものである。間接民主制もへったくれもない、ワイドショウの単なる延長線上でしかない。
いや、ぼくもそんなアホなことあるかと思うけど、昨今の圧勝続きの選挙の数々を考えるに、どうしてもそういう可能性を考えてしまうのである。
投票する人も人間だから、自分が投票した政党や政治家が当選しないと、なんだか誤った判断をしたような錯覚に陥るんだろうな。当選しなかったことで、自分の考えは一般的な考えでないと感じ、つまり正しい選択をしなかったと感じる。だから選挙では周囲の状況を見つつ、正解を得るために勝ちそうな政党や政治家に投票する。もしそういう人がたくさん投票すれば、つまり今回の都議会議員選のように投票率が高ければ、「勝ちそう」程度に思われていた政党・政治家が予想以上に圧勝することになる。そしてそれを見て、「私は正しい判断をしたんだ」という安心感を得るのだろう。

 

いや、これは恐ろしい勘違いである。
選挙は自分にとって正しい選択をする機会であって、空気を読んで勝ちそうな選択肢を選ぶことではない。問われるべき「正しさ」とは、選挙の結果ではなく、投票時に自分の気持ちに正直かどうかである。自分の気持ちに正直に洗濯していれば、もしその選択が候補者の当選という形で実現しなくてもいいのである。あるいは、投票した政党の議席が増えないということになってもいいのである。それが選挙というものだと思う。
みんながそんな選挙の原理に従って選択すれば、特定の政党が圧勝することもないし、多くの考えがごちゃ混ぜになった議会ができあがり、多数派になった政党も他の政党の意見に配慮せざるを得なくなる。つまり、多数派以外の政党の意見も通りやすくなるのだ。それは結果として、自分の意見を政治に反映させることになるわけである。いや、こんなの中学生の公民ですらない。小学校の時に勉強してるような内容だと思うんだけどね。

 

テレビや新聞なんかではよく「政治が混乱する」と言われ、まるで多くの政党がやいのやいのやってるのが悪いことのように言われるけど、政治とはそもそも最初から混乱するものなのだ。何人もの政治家、いくつもの政党が自分の考えを主張し合って、協議し受け入れられるギリギリの選択肢を模索する。それが政治の本来あるべき姿なのだ。「混乱していない政治」なんて、逆に恐ろしい世界である。それはまさに独裁政治である。某国のように一人の独裁者が狂信的な側近に囲まれてニヤニヤしてる気味の悪い写真を思い出す。混乱してない政治とはああいう気味の悪い薄笑いの世界である。

 

国民の政治リテラシーが低いなんて話しをよく聞く。政治に対して興味がなく知識もないので、政治の話題についていけないし、だから政治に関して個人的な意見もない。まずは政治に興味を持ってもらうのが大事だなんて話しである。
でも、ぼくが書いてきたように、そもそも選挙の意味を勘違いしている人が多いのだとしたら、興味を持つ云々の前に誤った理解を正すことから始めないとダメだろう。それは地道で長い道のりで、それを思うとちょっとゲンナリしてしまう。本来ならテレビや新聞などのマスコミが啓発することで、誤った理解や誤解を正していけるんだと思うんだけど、彼らは彼らで別の原理やバイアスで政治を取り扱い、社会に展開しているから、実のところあまり役に立たないどころか、最近は害悪にすらなりつつあったりする。ネットの情報はもっと前から害悪の側面が強くなっているけどね。

 

ともかく、今後も選挙では特定の勢力が圧勝するような展開が続くように思う。
これがいつしか、少数勢力も着実に議席を分かち合い、政治の中で一定の発言力を持てるようになれば、そんな混乱した状態をあるべき姿として捉えることができるだろう。
さて、横浜市長選である。
掲示板にはまだ誰のポスターも貼っていない。誰が立候補して誰が勝つのか分からないけど、いずれにしても横浜の未来はその人にかかっている。

| 日記 | 00:32 | comments(0) | trackbacks(0)
ネコ・グレートウォール。

太古の昔、中国の歴代王朝が築いたといわれる万里の長城は、もともと北方の遊牧民族の侵入を防ぐ目的で作られた。当初は遊牧民族が駆る馬が越えられない程度の高さの城壁だったけど、時代が下るにつれてより強固な城壁が作られるようになり、明の時代には山の稜線を縫うような堅牢長大な城壁になった。千年以上にわたる長城の建築と強化の歴史をもってしても、なお遊牧民族の流入を完全に止めることはできなかったそうである。莫大な費用と膨大な人民の力も遊牧民族の飽くなき南下の欲求には敵わなかったということだろうか。

 

そんな悠久の歴史に1ミリほどの共通点があるかどうか分からないけど、ぼくも自宅の庭にネコ版の万里の長城を建築、そしてその強化をすすめている。先日購入した鳥除け用のトゲトゲ器具は、設置した矢先、油断した間隙を縫ってフクが隣の庭に脱走を許してしまった。ぼくの万里の長城は建築が始まったばかりでその無力さを露呈してしまったわけである。まるで初期の万里の長城で、馬に越えられないように2メートルほどの盛り土で作った土手を、北方から進行してきた匈奴の馬たちが軽々と飛び越えていくのを目の当たりにした秦の始皇帝のような心境である。いや、始皇帝が馬がぴょんぴょん飛び越えている現場にいるわけはないのだけど、ぼくが受けたショックは中国大陸を揺るがすほど大きかったということである。
さて、もはや鳥除け用のトゲトゲ器具では、ネコの脱走を防止することはできないことが証明されたわけだけど、それでも自宅には10個単位で購入したトゲトゲ器具セットが3、4個も残っていた。庭のフェンスをぐるりと取り巻くように取り付けるつもりで購入したわけで、合わせると購入金額はゆうに1万円を超える。大枚叩いてそのままではもったいないので、まだ取り付けていないフェンスにも取り付けることにした。もはやトゲトゲが効果的でないことは分かっていたけど、それでもないよりはマシだろう。馬に超えられると分かっていても、そこに城壁を作ってここが国境線だと主張しないといけないのである。中国初の統一王朝のトップは、そう簡単にメゲてもいられないのだ。うん、始皇帝の気持ちが分かるような気がするわ。
トゲトゲ器具でフェンスをぐるりと取り囲んでみると、数個のトゲトゲ器具が余ったので、既設のトゲトゲのさらに上部にトゲトゲを設置することにした。つまりトゲトゲを二重にするわけである。上部に設置するトゲトゲは、万一ここに到達したネコの態勢を考えるとなかなか効果的な感じがする。これでネコの脱走を完全に防止できるだろうか。

※ちょっと分かりにくいけど、このフェンスの部分だけ、トゲトゲが上下段に設置してある。(結束バンドがそのまま残っちゃってるが)

 

ところで、このネコ版万里の長城を作るにあたり出費したおカネは、実はネコタワーを1フェーズ分作るおカネとほとんど同じである。つまりネコの脱走防止策を講じるために、ネコタワー1フェーズ分を浪費したわけで、もしネコの脱走を懸念する必要がなければそのおカネはネコタワーの第4フェーズ建設の費用に回っていたことになるのだ。そう思うと残念でならない。フクのみならずコウくんへのお楽しみになるハズのネコタワー建設費が、不埒なフクの悪行防止策の費用にのみ使われたわけである。ぼくやさきこのお楽しみを阻むなんて、ホントにフクは憎らしいネコである。こうしてトゲトゲを一周させ、さらに一部二重化することで、ついに脱走防止の最終的な形をみた。フクの悪行三昧もこれまでである。
・・・と思った矢先である。
フクがフェンスのトゲトゲに興味をみせた。少し背伸びをして、鼻を近づけてトゲトゲの状態を調べている。その時である。フクの後ろ足がフェンスにかかった。登りにかかったのだ。トゲトゲの設置されていない部分をうまく避けるようにして、前足をかけて身体を引き上げる。彼がトゲトゲを超える瞬間である。ぼくは驚いて、しかし冷静にiPhoneの動画カメラをオンにした。フクはトゲトゲが身体をチクチクするのをほとんど気にかけていない様子で、フェンスを一歩一歩登っていく。ぼくは無心で映像を撮り続けた。そしてついに身体のすべてがトゲトゲを超えた。さらにその上に二重化されたトゲトゲに近づいていく。堪らずぼくはフクに声をかけた。フクはすぐにフェンスから飛び降りた。脱走は未遂に終わった。
これはショッキングな映像である。フェンスをぐるりと取り巻いたトゲトゲ器具、少なくとも下段のトゲトゲは、フクにはほとんど効果がなかったわけである。まるで、万里の長城を前に馬だけでなく、家畜の羊やヤギもぴょんぴょん飛び越えていくのを見せつけられた始皇帝の気分だわ。

※フクがついに禁忌を犯す瞬間。

 

そんなわけで、ネコ版万里の長城は、フクにはほとんど効果がないことが分かった。しかし、まだ二重化した上部のトゲトゲが残っている。彼はこれを超えられるだろうか。先ほど超えられてしまった下段部分のトゲトゲと違い、上段のトゲトゲはさらに上に手をかけることができない。トゲトゲを超えて身体を引き上げることは物理的に難しいハズである。
しかし、分からない。先のブログにも書いたけど、「事象が起こらないことをもって、それが絶対に起こらないわけではない」のである。起こりそうもないことは長い年月の中で起こり得ることになり、最終的に必然的に起こるべきことになる。ぼくとフクの知恵比べはまだまだ続くのだ。そう、千年とは言わないまでもかなり長い間、ぼくはこのネコ版万里の長城の建築に心血を注ぐことになるのだ。
そのうちきっと、衛星軌道からも視認できるくらい長大で強固な城壁になったりしてね。
それにしても、ネコ版万里の長城の話しには一切登場しないコウくんは、ホントにお利巧なネコである。

| ネコネコライフ | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0)
のんびりサイクリング。

最近どうも疲労が溜まっている。平日はなんだかソコハカトなくだるい感じがあって、帰宅して自室で一息ついたと思ったら、いつの間にかうたた寝してしまうような毎日になっている。病的な虚脱感とか疲労感というわけではなく、ホントにわずかな疲労感である。こういうのは思い切ってドドンと休養して、気持ちをリセットするのがいいので、どこかでゆっくりできる休みをいただこうと思っていた。
そんな矢先の先週金曜日、とある資格を取得するための事前講習があって終日社外の講習会場でデスクに向かっていた。いわゆる座学講習なので、ぼくは黙って座って講師の話しを聞いていればいいのだけど、この講師がなんていうか〇〇というか××というか、とにかく人を引き付けるような喋り方ではなくて、だからぼくは冒頭から眠りの世界に旅立っていた。講習は夕方頃まで続いたんだけど、結局3分の1くらいは眠りの世界にいたような気がする。
そして講習が終わって、夕暮れの日本橋の街を歩いていると、ふと気付いたのだ。
「疲れが取れている」
そうか、期せずして講習の中でドドンと休養できてしまったために、疲労感がなくなったのか。うん、良かったわ。

 

そんなわけで、疲れが取れた週末の休日は、さきことサイクリングに行くことにした。
暑い季節はランニングではなくサイクリングである。とは言え、さきこにとっては春先のサイクリング以来のサイクリングである。鎌倉の海辺りまで行って帰ってくるかなー程度のコースを考えていたんだけど、鶴岡八幡宮で先日の富士ヒルクライムを無事終えられたことのお礼をして海岸の方に向かい、実際に海を見ていたらなんだか海沿いを走ってみたくなり、江の島の方に向かうことになった。気持ちよく走っているとさらに走りたくなり、春先のサイクリングで走った境川沿いのサイクリングコースを走ることにした。
梅雨の真っ只中というのに晴れてくれて、日差しが強く、暑い空気を切って走る感じになったけど、さきこと走るサイクリングはとても気持ち良かった。
境川沿いのサイクリングコースは長後街道までだとほんの8キロほどしかないので、少し物足りない感じである。でも川辺には草が生い茂り、春先に見た風景とは異なっていて新鮮な光景だった。なんだか生命力にあふれている感じである。
ふと、川辺に奇妙なものを見つけた。
さらさら流れる川の対岸の岸辺、10メートルほど離れた泥の川底と岸辺の際に泥と同じ色の奇妙な突起が見えたのだ。泥が固まったものにしては変だし、何かの植物が立ち上がっているようにも見えない。一瞬でカメだと分かった。いや、正確には「マタマタ」だと思った。
マタマタというのは南米に生息するカメの仲間である。周囲に擬態するため頭の形や甲羅が奇妙な形をしている。マタマタが頭を高くあげている感じにそっくりだった。いや、マタマタじゃないか、カミツキガメかな。最近はペットとして飼われていたカメを飼い切れなくなって川に放流する輩が増えているそうで、社会問題化している。この境川でもそういうことがあるのだろうか。いや頭部の形状から考えてカミツキガメともちょっと違うか。そうだ、あれは、スッポンだ。
さきこが双眼鏡を携行していたので、ちょっと借りて見てみた。
それにしても、デカい。50センチはあるだろうか。全身が泥と同じ色で、一見では分かりにくいスッポンは、先ぼぞりの特徴的な首を高くあげて日光浴をしているようにも見えた。いや、野生のスッポンなんて初めて見たわ。
サイクリングコースで自転車を停めて双眼鏡で10メートル先の物体を見てる二人の図は、ちょっと滑稽だったかもしれない。通り過ぎる人も「何が見えるの?」みたいな感じだった。ちょっと邪魔になるかもなーと周囲に気を配った瞬間、サイクリングコースをヘビが横断しているのを見た。これもなかなかのサイズである。1メートルはあるだろう。アオダイショウかな。これほど大きなヘビを見るのも久し振りである。
思わず写真を撮ろうとして、歩いて近づいていくと、このヘビが道を走っていた他のサイクリストの自転車にお腹を踏まれちゃった。これはヤバいかもと思ったけど、それなりのサイズだったからなのか、自転車に踏まれたくらいではヘッチャラな様子で、ゆるゆると道を横断していった。
いや、ちょっと興奮したわ。野生生物との邂逅、巨大スッポンとヘビである。境川のサイクリングは楽しいなー。
その後、長後街道から自宅へ15キロほど走ってこの日のサイクリングは終了である。走行距離は全部で55キロほど。久し振りだったけど、とても楽しかった。なかなか楽しいコースである。こういうサイクリングをもっとやりたいなーと思った。暑い夏はなかなかランニングもできないので、少しサイクリングの機会を増やすかな。

 

ちなみに、さきこの自転車は購入からそろそろ10年になろうとしている。そろそろパーツがヘタってきてる頃だろう。ワイヤーなどの消耗品も交換したいけど、それ以上にホイールを交換したい。さきこの自転車は小さいので、これに合ったホイールがなかなか売っておらず、いつか完全に売り場からなくなってしまう前に買っておきたいと思うのだ。何度かコケているので、多少ガタがきてるだろうしね。
さきこ自身は自転車の状態に不満や不安はないようで、ぼくの提案にイマイチぴんと来ていない感じだけど、いつか事故が起きる前にホイールくらいはちゃんとしたものにしておきたいと思う。ぼくが夏のチャレンジサイクリングに旅立つ前のメンテナンスをする機会に一緒にメンテナンスできないものか考え中である。新しくなったホイールで走ったら、きっとまた新鮮な感覚になるに違いない。自転車ってホイールで結構変わるものである。
そしたらまた二人で行くサイクリングにも新しい境地が見えるかもしれない。もっと遠出できるかもね。さて、次はどこに行こうかな。

※道を横断するヘビ。結構デカい。

※道路脇の繁みに入っていく。この模様は「ヤマカガシ」(有毒)だな。

| 自転車日記 | 12:12 | comments(0) | trackbacks(0)
夢想の地平面
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