先週の21号に続き、台風22号は太平洋沿岸を北東に進行し、日本列島を縦断する模様である。
今週末は実はお袋さんと一緒にデイキャンプに行く予定をしていた。雨模様なので早々に中止にすることにして、週末は何も予定がなくなったんだけど、金曜日に大阪に出張した帰りの新幹線で、何気なく見たネットに「都内某所でJR貨物による貨物列車に関する展示イベントがある」という情報を得て、一気にテンションがあがってしまい、雨の中でも出かける気満々になっていた。結局のところ、当日になって想像以上に風雨が強くなったので、残念ながら断念せざるを得なくなった。だからさきこと近場に出かけたり、家でまったりネコの相手なぞして過ごすことになったわけである。
しかし、台風はもっと大きなイベントに影響を及ぼしていた。
日曜日に予定されていた横浜マラソンが中止になったのである。
これは前日、土曜日の夕方前に決定、告知された。ちょうどぼくはさきこと買い物に出かけていて、出先で何気なくスマホをいじっていて、その報に触れたのである。
これには驚いた。
まずは、運営事務局の勇気ある決断を大いに称えたいと思う。前日の、しかも夕方前という本当にギリギリのタイミングでの決断だった。このタイミングを逃したら、もう中止はできなかっただろう。
しかし、それでも影響は大きかっただろう。横浜に向かって新幹線に乗っている人もいただろうし、いや、前泊の人は既にホテルにチェックインしていたかもしれない。ウェアやシューズを準備して、翌日の雨に備えてポンチョとかも用意していただろう。いや、中止が決まった瞬間、エキスポ会場でまさにランナーの受付をしていたところだったかもしれない。そこにいきなり館内放送が入って、中止の報を告げたなんてこともあったかもしれない。エキスポ会場での混乱っぷりは相当なものだっただろう。出店した店でいろいろ買い込んだ人もいただろうし、たとえばゼッケンと完走証とメダルをセットにした記念の額縁を予約した人だっていただろう。エキスポ会場は混乱、というか修羅場に近い雰囲気だったんだろうなと思いを馳せてしまった。
修羅場的混乱は他にもあっただろう。イベントを支える数千人ものボランティアはもちろんのこと、例えば沿道で応援する応援隊の人たちである。鼓笛隊やチアリーディング、和太鼓やヨサコイのチームは、きっと翌日の本番に向けて最後の練習中だったに違いない。練習を終えて、機材をトラックに積み込んでいる最中だったかもしれない。また、エイドステーション用の食材を積み込んでいる人もいただろう。南部市場のイチゴとかね。これらの人たちが準備してきたことが、この中止の決定ですべて無駄になってしまったのだ。
ランナーはもちろんショックだっただろうけど、そんな運営を支える側の人たちの受けたショックも大きかったに違いない。
またイベントのために用意してきた完走メダルとかタオルとかどうするんだろう。全部捨てちゃうのだろうか。
ちなみに、同じ日に開催された金沢マラソンは、中止することなく実施されたようである。雨を見込んで、防寒対策をするように呼びかけがあったものの、台風のコースから外れていたこともあって、どうやら無事に終了したようである。そう思うにつけ、横浜マラソンのどこに中止を決断させるカギがあったのだろうか。大きなリスクになり得るとすれば、雨による直接的な影響ではなくて、雨により起こる恐れのある何かである。
それはマラソンコースの後半に登場する高速道路が関係しているような気がした。横浜マラソンは、20キロ過ぎ付近から約10キロにわたり高速道路を走るという特徴的なコースである。ここは地上から高い位置にあって、遮るものがなく、風が直接吹き付ける。20キロ以上走ってきて疲労している中、ここで風と雨を同時に受けて、相当な体力が失われるだろう。それまで順調に走ってきたランナーでも、ここで体調を崩すこともあるかもしれない。急激な変化により脱水症状とか低体温症になるランナーが続出した場合、高速道路では緊急車両の通行がままならない。車両の入れる入り口は限られ、しかも道路はランナーで埋め尽くされている。数人程度ならエイドステーションなどで待機できるだろうけど、万が一その数が数十人まで達すると大きな混乱になっていただろう。場合によっては大きな事故になっていたかもしれない。横浜マラソンならではの特徴が、今回はマイナスに作用してしまったと言えるかもしれない。もしもの話し、これがかつての横浜マラソンのように平地を走るハーフマラソンだったら、きっと決行していたと思う。もし体調不良者が続出しても、緊急車両は脇道を走れただろうからね。
そんなわけで、第3回横浜マラソンは中止に終わった。
ぼくが走った第2回から1年半、開催時期を変えて準備に準備を重ねてきた中、勇気ある決断により、終了したわけである。運営に携わった多くの方々には、労いの言葉をかけてあげたい気持ちである。
また走れなかったランナーはホントに気の毒である。ぜひ来年は優先して走れたらいいなと思う・・・って、抽選に外れたぼくとしては、次こそは当選したいと思ってるから、この点についてはちょっと微妙な心境ではあるけどね。
次回の横浜マラソンは、既に始まっている。今年の思いも含めて、ぜひいいイベントにして欲しいと思う。