「シュンスケニウムの原子量」の大統一バージョン
ウェンズディ・ムーン。

今日は1月31日、水曜日で、月齢的には満月だそうな。しかも今回の満月は、1か月に2回もの満月が巡ってくる「ブルームーン」だそうで、さらに月との距離が近くなる「スーパームーン」、さらにさらに今日は皆既月食だそうである。これは数百年に一度みたいな稀有なデキゴトだそうである。
これを報じるテレビのニュースでは、某徳〇英〇の「ウェンズディ・ムーン」が流れていた。水曜日の月・・・まさに今日はそうである。そんな日にスーパームーンとブルームーンと皆既月食が重なるのだから、そりゃニュースで流す音楽に採用されるだろう。この曲はぼくが高校生だか大学生の頃に友達とよくカラオケで歌ったものである。なんだか懐かしい感じがするな。
さて、懸念されるのは、月見の際の天気だけど、どうもあまり良くないようである。それでもできるだけ早く会社を退社して、自宅近くで月見をしようかな。ウェンズディ・ムーンでも口ずさみながら。

 

いや、いつもよりさらに増して内容の希薄なブログになってしまったな。前回がかなりネガティブな内容だったので、軌道修正するためにもアホな内容を書こうと思っていた。来月から少しはまともなブログになってくれればいいな。

| 日記 | 13:40 | comments(0) | trackbacks(0)
ベストタイム・ワーストメモリー。

とある駅伝大会に代走で走ることになり、かなり頑張って4キロを20分31秒で走った。1キロ当たり5分7秒で走ったことになる。これはぼくにとって今までにないいいタイムである。距離が比較的短かったこともあって、自分なりにはかなり頑張って得た記録である。

しかし全然嬉しくない。
ぼくの勤める会社の関係で走るハメになったこと、駅伝の同じチームにぼくの上司がいて、しかもぼくがタスキを渡す相手がその上司だったこと、もうそれだけで胃が痛くなり蕁麻疹が出てしまうのだけど、しかもその上司は結果的にぼくよりもいい記録で走り切ったこと、その他にも諸々のデキゴトがあり、ぼくの中でまったく整理がついておらず、ポジティブな思考が全然できないでいる。いい思い出にできないでいるのだ。
ランニングをしていてこんな変な気持ちになったことは一度もない。こんな気持ちになるランニングは、もはやランニング、というかスポーツですらない別の何かだったんだろう。もう考えるだけで身体中が痒くなるわ。
そんなわけで、記憶から消し去りたい嫌なデキゴトにもかかわらず、自己ベストのラップタイムが出てしまったので、とりあえずその事実だけは残し、ついでに詳しく書けない、書きたくない事情についても、さらっと触れておくことにした。
来週は早く退社して、さきこと楽しくランニングして、こんな嫌な記憶をとっとと消し去ることにしよう。

| Be RUNNER! | 17:03 | comments(0) | trackbacks(0)
龍神さまと雨男。

先週は金曜日に会社を休んだ。年明けからバタバタしていたので、少しゆっくりしたいと思い、休養を1日いただいて個人的に三連休にしたわけである。
しかし、金曜日の午前中に自室で足を伸ばして寛いでいたら、コウくんが現われて膝の上にぴょんと乗ってきてそのまま腰を下ろし、それから数時間ほども身動きを取ることができなくなってしまった。文字通り何もすることができず、ほとんどの時間を一緒にうたた寝することくらいしかできなかった。いや、コウくんよ、ゆっくりしたいというのはそういうことじゃないんだけどなー。
土曜日もさきこが不在だったので、ほとんど同じような過ごし方になるかと思っていたら、ちょっとしたことで右脳が回転し始め、絵なぞを描く時間を得た。お絵描きをしている時間こそ、ぼくにとって最高の癒しであり、最高の休日の過ごし方である。描きたい時に限って絵なぞの構想が浮かばないものだけど、この日は上手い具合に波に乗ったみたいである。

 

この「ちょっとしたこと」というのは、モチーフに関する単純な思いつきである。その発想は以前ネットで見かけた話しからの連想である。
「雨男というのは、雨や水を司る龍神さまに守られている」。
これはちょっと前になるけど、今年夏に予定しているチャレンジサイクリングのことを考えていた時、どこに行くにしても天気が悪ければどうしようもないよなーなどと、ネガティブな思考に囚われてしまった。楽しみにしている予定がその日になるとコトゴトク雨になるという、全知全能の人外の存在に意地悪されているぼくのような人は、行き先よりも天気の方が気になってしまうのだ。雨が降ったらどうやってリカバリーしよう・・・なんてね。いや、数か月前の天気を今から気に病んでいてもしょうがないのは承知しているんだけどね。過去に多くのイベントで雨に降られた経験があるので、こういう時ネガティブな思考が頭をもたげるのである。
そこでふと思いついて、ネットで調べてみた。
「雨男を治す方法」
いや、そもそも雨男かどうかなんて主観の問題で、ホントに雨を呼ぶ男や女がいるわけはないのだけど、ひょっとしたらネットには予想外の情報が載っているかもしれない。
それにしても、同じことを考える人はいるもので、そういう声に答えるサイトがあるんだから驚きである。
しかし見つけたサイトでは、やはり雨男や雨女は主観の問題であり、雨の時の記憶が強過ぎて、「自分は雨に見舞われる性質なんだ」と思い込んでいるだけなどと書いてあった。やはりそうだよね。実際にぼくだけに雨を降らせるなんて現実にあるわけじゃないよね。
ただ読み進めてみると興味を引くことも書いてあった。
「雨男は龍神さまに守られている」
龍神さまは雨や水の守護神で、悪いことを水で浄化するとも言われる。もしホントに雨男なるものが存在するとすれば、雨を呼ぶ神さまである龍神さまに守護されているのだと思ってはどう?という話しである。なんだかオカルト的というかスピリチュアル的な話しだけど、ぼくはなぜか妙に納得してしまった。今まで「全知全能の人外の存在」などと書いて、どこかにいる神さまみたいな存在を意識していたけど、それは龍神さまのことだったか。そして龍神さまがいるからこそ、ニンゲンは雨の恵みを享受できるわけである。なるほど!
・・・いや、なるほどって言っても、これでぼくの雨を呼ぶジンクスが解消されるわけじゃないけど、なんだか妙に納得してしまったのだ。龍神さまが大地に恵みの雨を降らせているんじゃしょうがないか。
ちなみに、晴れを呼ぶ神さまは「お稲荷さま」だそうな。うん、龍神さまの方がなんだかカッコいいぞ。

 

そんなわけで、雨男の正体を見極める中で、期せずして龍神さまというモチーフを得て、なんだか右脳が発動し出した。雨男と龍神様、うん、なんかいい感じ。
こうして何度か下描きを経て、描き起したのが下の絵なぞである。イメージが湧いて勢いで着彩までダダダッと描き上げたので、いろいろツッコミどころはあるけど、まあそれなりに描けたかな。
どういう絵なぞであれ、こうして1枚を描き上げるのは嬉しいものである。もうそれだけで最高の週末になった。いい癒しになった。これから寒い時期になるけど、また描けたらいいなー。

| 日記 | 10:08 | comments(0) | trackbacks(0)
やるじゃん、京浜東北線。

昨日は数日前から言われていたとおり、関東で大雪に見舞われた。積雪は10センチ以上でところによっては20センチほども積もったそうである。そういえば、数年前に同じような降雪があったのを思い出す。あれはちょうど休日のことで、さきこと自宅周辺を散歩にでかけ、童心に戻って雪で遊んだものである。今回の降雪が月曜だったのが残念だけど、いやいや、これが前日でなくて本当に良かったと心の底から思う。なにしろ前日はランニングイベントだったのだ。それがもし降雪だった日にゃ、もう地獄のランニングだっただろう。1日でこうも劇的に変わるものかとも驚くけど、ホント、日曜でなくて良かったわ。
さて、これほどの降雪になると、気になるのが公共交通機関の乱れである。
よく言われることだけど、首都圏はちょっとした自然災害でも交通マヒになるほど、脆弱である。ほんの数センチ積もっただけで、ダイヤが乱れ、乗り切れない乗客が駅に溢れる。いや、首都圏は交通網が密集して張り巡らされ、平時でも溢れんばかりの乗客が利用するわけだから、いくら数センチの降雪と言えども雪国と同じように語っちゃいけないのだけどさ。

 

さて、昨日の降雪は予想通りの大降りとなり、ぼくが勤める会社では早い時間帯から早期帰宅の判断が出た。15時時点で帰れる社員は帰って良しというものである。いや、立場上、ぼくが考えてぼくが社内告知したんだけどね。ともかく、降雪状況を見るに、これは交通機関への影響が避けられないと思われたので、早めに退社するように促したわけである。
その効果があって、遅ればせながらぼくが会社を出ようとする際には、10分の1くらいの社員しか残っていない状況で、みんなさっさと帰ってしまったようである。

 

会社を出ると、駅までの道に多くの人が歩いていた。どこの会社も考えることは一緒で、早めの帰宅指示が出ていたようである。だとすると、こちらの社内告知はいささか遅すぎたかな。それに帰宅するのに3本もの電車を乗り継ぐぼくが17時時点でどの電車にも乗っていないというのは、これは完全に遅すぎたのかもしれない。一部では駅への入場制限が始まっているとの情報もあり、何時間かけて帰ることになるか、覚悟を決めざるを得なくなった。
しかし有楽町に向かう電車は、駅で待つまでもなくホームに入ってきた。乗客は当然ながらかなり多かったけど、有楽町までの道中は意外にスムーズに進んだ。
そして有楽町駅からの京浜東北線である。
これはさすがにダメだろう。きっとどこかで止まる。車両故障なのか架線の断線なのか、踏切にクルマが取り残されたとか、ともかく京浜東北線はこういう時に一番期待できない電車である。一旦ストップしてしまうと、あっさりと「運転見合わせ」にして、「復旧の見込み立たず」なんて言い出すからな。
京浜東北線に乗ったものの、期待はしていなかった。いやむしろ、京浜東北線に乗るという判断をしたことを既に後悔していた。運転見合わせになる駅がせめて他のJR線、いや願わくば京浜急行の駅の近くだといいな。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車は、まさに「絶望行き」であった。
その点、京浜急行はこういう時強い。台風や雪で電車が止まるのはなかなかない。たとえ架線が切断していたとしても、物凄い勢いで復旧し、電車を通してしまう。以前ネットで見かけた冗談のひとつに「最初に運転が止まるのが京浜東北線、最後まで運転を止めないのが京浜急行」なんてのがあった。地元の愛着もあってぼくは「京急最強」だと思っている。
だからすし詰め状態で停車した品川駅で、ぼくは降りるかどうかかなり迷った。ここで降りて京急で帰るか、そのまま京浜東北線で帰るか。これまでの経験から言えば、ここは絶対に降りるべきなのだけど、あまりにもすし詰め状態で身動きが取れず、さらに運転間隔調整のため停車している中、突如「降りまーす」なんて言って人をかき分けていくのもなんだか憚られて、ついタイミングを逸してしまい、そのまま京浜東北線に乗り続けることにしたのだ。
すし詰めの京浜東北線は、何度か運転間隔調整のために数分の停車を繰り返しつつも、そのまま運行を続け、気が付くとなんと横浜駅まで来ていた。おお、これはどういうことか。これほどの大雪でも運行を続けるとはかなり意外である。
こうして桜木町駅から横浜市営地下鉄に乗り換えた。

 

自宅の最寄り駅に降り立つと、雪のためかいつもよりも静かな感じがして、しかも街灯を反射して周囲はいつもより明るい感じがした。数年前にも見た光景だけど、やはり新鮮な光景である。木の枝が吹きつけた雪をまとっているのはホントにキレイだった。スキー場とかに行けば見られる光景かもしれないけど、スキーに行かないぼくにとっては、とても新鮮な非日常的な光景だった。
道に面した学校の広い校庭が一面に白くなっていて、既に陽が沈んでかなり時間が経つのに、光が拡散しているからか、校庭の向こうの端まで見渡すことができた。
そんなわけで、自宅に到着した。さきこはこの日たまたま会社を休んでいたので、既に自宅にいて、しかもテレビを観ていなかったので、降雪の状況をあまり知らないようだった。
ぼくがテレビをつけると、東京の各所で混乱した交通状況が映し出された。駅に溢れた人、バスに乗り切れなくて人の長い列、早々に運行中止を決めた羽田空港の一面に広がる白い滑走路・・・って、羽田は昨日行ったばかりなのに、この変わりようはスゴいな。
やはり今回の雪で首都圏の交通機関に大きな影響が出ていたようである。いつもよりも30分ほど多くかかっただけのぼくとは大違いである。そして次にテレビに映し出された映像は、京急品川駅だった。
17時との表示のある京急品川駅の映像は、多くの人であふれていた。電車に乗り切れない人が改札口前に集まり、既に入場制限が始まっているようだった。17時過ぎと言えば、ぼくが京浜東北線で品川駅を通過していた時刻である。
あの時、電車を降りなくて良かったわー。
もし降りていたら、入場制限で京急品川駅に入れず、途方に暮れていたかもしれない。今回は京浜東北線を信じて良かった。
それにしても、京浜東北線はあの状況でよく電車を走らせ続けたものである。早々に止めて、東海道線や京急に振替輸送をお願いする展開だと思っていたのにね。やるじゃないか、京浜東北線。ちょっと見直したぜ。
こうしてぼくは帰宅困難に遭わず、20時にはさきこと夕食を食べることができた。雪のせいでいつもよりもかなり早い夕食。休日の続きのようなリラックスした時間を過ごすことができた。ありがとう、京浜東北線!・・・って言ってたら、さきこが言った。
「電車が人を乗せて走るのは当たり前じゃん?」
うん、たしかにそうである。これはまるで普段から悪いことばかりしている不良がある日空き缶を拾っているのを見かけて、「実はいいヤツなのかも?」と思うのと心境なんだろうな。

※会社近くの風景。キレイな雪景色である。

| 日記 | 12:50 | comments(0) | trackbacks(0)
爽快海沿いランニング。

先週は、城南島海浜公園で開催されたランニングイベントに参加して10キロを走ってきた。このイベントには過去にも何度か参加しているんだけど、派手さはないもののとても好意の持てる手作り的な運営で、さらに10キロに参加するランナーが100名もいないという小ぢんまりした感じが好きである。去年からかフルマラソンや30キロ、ハーフマラソンなど複数の競技が混在して、いや、それはそれでいいのだけど、3キロほどのコースを十何周もするというのは、ぼくにはできないだろうなと思いつつも、それでも100人近くが走るんだそうだから、なんだかスゴいものである。ぼくは10キロなので、同じコースを4周ほどするだけだけど、これにさらに10周も追加されたら、後半は飽きが酷くて辛いだろうなーとも思う。

 

天気の方は上々で、気温も高く、肌寒い海風が逆に心地良かったりした。そのためか、記録も悪くなくて、54分48秒ほどでフィニッシュした。おお、久し振りに55分を切ったかと思ったけど、ぼくのGPS計測では10キロには500メートルほど足りなくて、もしあと500メートルを走っていたらきっとタイムはプラス3分ほど、つまり57、8分になったと思うので、その点では好記録というよりは「悪くはない」記録ということになる。リバウンドしちゃったとは言え、ダイエットの効果や最近のジムでの筋トレの効果、継続している食事制限の効果もなくはなかっただろうから、ぼくにはとても嬉しいタイムだったわけである。
さきこも一緒に走って、結果として58分ほどでフィニッシュした。インフルエンザに罹患してからずっと運動しておらず、先週のフロストバイトでなんとか10キロを走ったさきこだけど、それでも58分程度で走れたということはやはり走りやすかったのかな。
それにしても、いい記録が出たわ。おかげで久しく感じていなかった物凄い達成感を得ることができた。ランニングは大きな達成感を得ることができるのでいいよなー。音楽で得られる達成感とはちょっと違うんだよな。
ちなみに、今回のランニングはフルマラソンなどの他の競技との兼ね合いがあって、10キロのスタートが13時だった。以前はもっと早い時間にスタートして、フィニッシュ後にランチを食べるのに羽田空港に行っていたのだけど、フィニッシュして着替えてモノレールの駅までのバスに乗って、羽田空港に着く頃にはランチタイムというよりも夕方みたいな感じになってしまう。それでもここでがっつりハンバーグなんかを食べることにした。離発着する飛行機を見ながら食事をするのは、やはりいいね。

 

ランニングがとても気持ち良くて、ただそれだけで短い週末の休みが満たされた感じである。ランニングはいいものである。
そんなわけで、久し振りにいい記録で終わったランニングだけど、そうなると次のランニングでどうなるかが問われてくる。2月初めに10キロほど走ることになっている。これから少し練習を積んで、自分が気持ちよくなれるような記録でフィニッシュできたらいいなーと思う。そしてその翌月には、三浦国際市民マラソンである。果たしてこの過酷なハーフマラソンがどうなるのか。これからの練習っぷりが問われているのである。

| Be RUNNER! | 12:22 | comments(0) | trackbacks(0)
エンジェル・オブ・ミュージック。

先週はさきこがインフルエンザに感染して、ぼくもウイルスを持っている恐れがあったので、友達が参加する演奏会に行くことができなかった。この演奏会は去年初めて聴きに行ったサックスだけの演奏会で、今でもその感動は鮮明に覚えているのだけど、これに行けなかったのは非常に残念だった。ぼくの中でもはや消えてしまったと思われていた音楽への情熱が、一気に燃え上がった演奏会だった。
やはり音楽はいいものだ。楽団員との軋轢とか演奏会の度に高額の演奏会費を支払わないといけないとか、苦労して練習してきたのに本番では全然いい演奏ができなくて苦労が報われないとか、たとえばランニングと比較しても、費用対効果というか、努力や苦労の量と結果がどうもアンバランスな感じがしていたけど、いや、音楽というのはもうただそれだけでいいものなのだ。おカネや努力・苦労に対する効果がどうのという話しではないのである。
演奏会に行けなかったので、ぼくのココロの中でちょっとだけ燃え始めていた情熱が行きどころをなくしてしまった。何か音楽的な表現がしたくてウズウズしているのだ。

 

そんな折、同僚と飲み会があった。外部セミナーが17時に終わるので、そのまま退社したことにして、ちょっと遠いけど吉祥寺にお好み焼きでも食べにいこうという話しになったのだ。この外部セミナーには、別の部署の女性も同行していて、そのまま飲み会にも参加する話しだったのだけど、前日にこの女性と話した時に「飲み会が終わったら二次会のノリでカラオケ行こうよ」と言われた。いや、二人きりとかそういう変な話しではなく、この女性は過去にプロを目指して歌を歌っていたことがあり、その歌声を一度聞かせて欲しいと以前からお願いしていたのだ。部署が違うので、なかなか一緒にカラオケに行く機会もなく、そのまま時間が経ってしまった。
カラオケに行ける!
この女性からお誘いを受けたので、ぼくは「カラオケに行ける」というただその一点で楽しみが増大してしまった。音楽的表現がしたいとウズウズしていたぼくには、一緒に行く女性がどうのとかもはやどうでもよくなって、ただカラオケだけが楽しみになったのだ。う〜ん、どうしようかなー、何を歌おうかなー。そもそも何人で行くのかな?一緒に行く人数によっては順番が回ってくる回数に限りがあるので、2曲、多くても3曲が限界だろう。しかも同行する女性は歌唱力がハンパないとのウワサなので、ぼくも気合いの一曲を歌わないといけないかな?いや、場の雰囲気からして、いきなり「尾崎」とか歌っちゃマズいか・・・などと、外部セミナーを受けてる時からずっと考えていたのである。
しかし、結局のところ、カラオケには行けなかった。いわゆる一次会が終わった後、「もう少しお酒を飲もう」なんて話しになって、そのまま近場の居酒屋に入っちゃって、そこでずっとバカ話しをして時間が経ってしまい、気が付くと終電が気になる時間になってしまっていたわけである。カラオケには行けなかったのだ。
だから、ぼくのココロのフラストレーションはかなり高い状態である。音楽的表現がしたい、どうしても!

 

そんな時である。普段はまったく使用しないスマホのメッセージアプリがぶるぶるっと震えて着信を知らせてきた。誰かからメッセージが来たようである。
差出人は、ぼくが以前参加していた楽団の方だった。ぼくはいくつかの楽団でこの人に大変お世話になっている。去年だったか、吹奏楽団に誘ってくれたのもこの人である。ぼくにとっては、大変ご恩のある人である。
「今度、定期演奏会があるんだけど、来ない?あと、楽団に帰ってきてもらえませんか?」
なんだろうな、とても暖かい気持ちになった。寒い中を何時間も歩いて辿り着いた街のカフェで、ココアを一口飲んだ時のような、暖かい優しい液体が喉から身体に入り、お腹の辺りでじわーっと広がるような、そんな気持ちになった。続いて、あまりにもタイミングが良過ぎてびっくりした。どこかでぼくのことを見てるんじゃないかと思うほどのタイミングの良さである。ぼくの気持ちが遠隔でも分かるような特殊能力でもあるのだろうか。思わず背筋が寒くなるわ。ココアのような温かさをもたらしたり、背筋を寒くさせたりと、この人はホント「怪人」である。
うん、まさに怪人かもしれない。
「オペラ座の怪人」では、劇中に「エンジェル・オブ・ミュージック」という歌が登場する。ぼくはこの曲が大好きで、自宅で映画を観る時もこの歌が登場するシーンは思わずぐっと引き込まれる。しかし、この「エンジェル・オブ・ミュージック」つまり、音楽の天使と謳われたのが、誰あろうオペラ座の怪人、ファントムなのである。主人公のクリスティーヌはそんなことを知らずに、自分に音楽の喜びを与えてくれた怪人を天使だと歌い上げ、敬愛の思いを持ちつつも、怪しい雰囲気に次第に引き込まれていくのである。
この敬愛と怪しさの両立こそ、メッセージを送ってきた彼にぴったり。まさに怪人である。
演奏会の日は、実のところランニングイベントに参加しないといけないために、時間的にどうしても行けないのだ。どんなに頑張っても演奏会で最後の曲が聴けるかどうかというタイミングである。ぼくの大好きな楽曲も演奏するんだけどね。彼にそのことを告げたんだけど、どうにもココロがおさまらなかった。なんとかランニングイベントを早めに切り上げて行けないものだろうか。
そして、彼のメッセージからもうひとつの言葉がずっと気になっている。
「楽団に帰ってきてもらえませんか?」
これは「帰ってこない?」的なニュアンスと同じかと思われるけど、それでも「もらえませんか?」という点に切実さを感じずにはいられない。彼からそんな言い方で物事をお願いされたことはない。切実な何かがあるのだろうか。いや、それもぼくのココロを揺さぶる計算された言い回しなのか、いやいや、そんな意図はなくてぼくの勘ぐりが過ぎるだけか。気になるわ。気になってココロが翻弄されるわ。
まさに、ファントムにココロを揺さぶられるクリスティーヌのような気持ちだわ。ぼくにとってのエンジェル・オブ・ミュージック、恐るべし。

| 音楽日記 | 12:45 | comments(0) | trackbacks(0)
遠いフィニッシュゲート。

先週末は横田基地内でランニングイベントがあって、さきこと参加してきたのだけど、結局のところ、完走せず10キロ地点でリタイアすることにした。正月の風邪は治った感じではあったものの、まだ病み上がり状態だし、翌週から会社を休めない行事が目白押しなので、ここは大事を取ることにした。さきこもインフルエンザによる休養でほとんど身体を動かしておらず、このため10キロの手前辺りから体力の限界を感じていたようである。1週間も会社を休んじゃったのだから今週以降はなかなか休めないだろうし、その点では安全を見てリタイアしたのは正解だったろう。
それにしても、今回たまたまコースが変更になってくれて良かったわ。
今までのコースレイアウトだったら、途中リタイアしてもスタート地点まで戻るのが大変だったけど、今回たまたまコースが大幅に変わって、10キロほどのコースをおおよそ2周する形になってくれたので、1周目を終えた10キロ地点でリタイアすることができた。コースが変わるのはなんだかなーと思っていたけど、ぼくとさきこにとっては結果的に非常にありがたいことだったわけである。

 

ところで、今回どうしてコースが変わったのだろうか。
前回のブログでは、去年選出されたアメリカの新大統領・トランプ氏の突飛で強硬な指示によるもの、これはニュースでもたびたび話題になるけど、そんないわゆる「トランプ効果」の現われか?なんて書いた。。なんせ、トランプ大統領が初来日した際に降り立ったのが、どこあろうこの横田基地だったわけだからね。まさに日米関係の地理的接合点ともいうべき横田基地だから、何らかの戦略的拠点に位置づけようという彼の思惑が働いたのかもしれないし、そんな場所でランニングイベントのようなピースフルなイベントがあることを「ナンセンス!」なんて言って、彼は快く思わなかったのかもしれない。
または、昨今緊迫しつつある朝鮮半島情勢に鑑み、某国からいつミサイルが飛んでくるか分からないとか半島の某二国が急激に関係悪化させて、すわ武力衝突か?!なんてこともあるかもしれないわけで、それを思えば、ランニングイベントのようなピースフルなイベントをやってる場合じゃないということかもしれない。
しかし、会場に着いて分かったのは、敷地内に工事中のエリアがいくつかあったこと。どうも敷地内の施設などを建て替えてるようだった。このため今まで使えていた施設が使えなかったり、走れていた道が通行止めになっていたりした。そう、ランニングコースが変わったのは、大統領の気まぐれでも朝鮮半島情勢の緊迫化でもなくて、単純に敷地内が工事中だからみたいである。勝手に妄想を暴走させてしまったわ。

 

それにしても、敷地内の工事が終わったらどうなるのだろう。今までのコースに戻るだろうか。または今回のコースがしばらく続くのだろうか。
1周しか走っていないけど、今回のコースはとにかく狭い。ランナーがせめぎ合って走る感じがまるまる1周分、なんと10キロほども続くのである。今までは広大な滑走路なんかを見ながら、他のランナーに進路を邪魔されることなく走れていたけど、今回は他のランナーに気を遣わないといけなくて大変だった。
また、ランナーの気持ちとして、「1周目」「2週目」という看板が精神的にキツい。1周目の段階で「もう一度ここに戻ってこなきゃいけないのか」という気持ちになる。これが来年も続くのは嫌だなあ。しかし一方で、今までのコースは広大がゆえに、はるか遠くまで見渡せて、そこにゴマ粒よりも小さく見えるランナーの姿を見て「あぁあそこまで行かなきゃいけないのか」という気持ちになり、これも結構キツいものがある。どちらも一長一短なんだけど、「米軍基地に来た」という稀有なトリップ感は去年までのコースの方が大きかったかな。工事が終了したら、ぜひ元のコースに戻してほしいものである。

 

さて、今回はリタイアに終わっちゃったけど、これから続くランニングイベントはぜひリタイアせずに行きたいものである。来週は羽田空港近くの城南島で10キロのイベント、来月は地元で10キロ、そして3月は三浦半島でハーフマラソンである。このハーフマラソンはぜひとも頑張らないとな。
風邪のせいでなかなかランニング練習ができなかったけど、そろそろ気合いを入れて走り始めないと。今回のように「来年もイベントに参加して前年の雪辱を晴らさないと」なんて気負わないといけなくなるからね。
ランニングシーズインはいよいよ佳境である。

 

※(左)晴れてくれて良かったわ〜。(右)精神的にじわじわくる看板。

※リタイアして時間が余ったので、売店で肉などを買ってみた。

これが激烈に不味い。硬いし変な臭いがする。まさか石炭で焼いたりしてないよな。

※来年も来て、今度こそはちゃんと走るぞー!

| Be RUNNER! | 12:53 | comments(0) | trackbacks(0)
近況。

さきこのインフルエンザは、発症の初めに高熱が出て以降、咳などの症状が残ったものの、劇症化することもなく、落ち着いてそのまま収束した。先週の金曜日から会社に出勤していつも通り仕事をしたそうである。
ぼくの方も大阪出張中に喉が痛くなった以降、風邪薬が効いたのか、症状が和らいでいき、そのまま治っちゃった感じである。
明日は今年最初のランニングイベントで横田基地を走るのだけど、さすがに病み上がりだから棄権しようかと思っ・・・ていたのだけど、先ほど大会要項を見てみたら、去年とコースがガラッと変わっていることに気付いた。さきこは走るつもりだそうだけど、コースが変わったとなれば、これはぼくも走らなくてはイカンだろう。しかし、どうして今回からコースが変わったのだろうか。これが俗にいう「トランプ効果」というヤツか。いや、朝鮮半島情勢が不穏な状況で、いつスクランブルがかかるか分からないからいつでも滑走路を使えるようにするためにコースを変えたのか。興味が湧いてきたので、ここはひとつ頑張って走ってこようと思う。

 

近所のコンビニエンスストアが奇怪な事態になっている。
駅近くのスリ〇エフが閉店してロ〇ソンに変わるのだそうな。数年前にスリ〇エフはロ〇ソンと合併していて、ここにきて看板をスリ〇エフから「ロ〇ソン&スリ〇エフ」と変えるんだそうな。来週から2か月弱ほどの改装工事が始まる。
奇怪なのは、このスリ〇エフの道路を挟んだ向かいにあるのが、ロ〇ソンだということである。つまり、このままだと道路を挟んでロ〇ソン&スリ〇エフとロ〇ソンが並立することになるわけである。
しかもさらに奇怪なのは、この道路を挟んだロ〇ソンも来週から改装工事に入るんだそうな。店名が変わるとかいうわけじゃなくて単純な内装変更だそうで、期間は10日ほどなんだけど、つまりロ〇ソンが改装工事を始める来週からの10日間は駅近くにコンビニが存在しなくなるというわけである。駅近くには他にコンビニはないので、まさに完全なるコンビニロス状態に陥るわけである。駅前の商店街のスーパーも去年10月くらいに閉店しちゃったし、自宅界隈で食材や生活用品を買うことができなくなってしまう。いやはや、なんとも奇怪な状況である。
それにしても、最近ではライフラインのひとつとさえ言われるコンビニが、店の都合で10日間とは言え、サービスが停止するというのは、極めて奇怪である。他のコンビニと比べてロ〇ソンには以前から店舗戦略に違和感を覚えていたけど、これほど顕著に違和感を感じるのは初めてだわ。さて、来週からどうなるのやら。

 

先週かなりのめり込んで制作した知床チャレンジの本が製本されて自宅に届いた。本文の余白部分とか写真の解像度とか不安な部分が大きくて、とりあえず製本に出したものの、きっとびっくりするくらいダメな仕上がりで、もう一度制作し直しなんだろうなーと期待しないでいたら、意外なことに全然問題のない、良い出来栄えで本が届いた。いくつか修正点があるものの、余白部分も写真の解像度もまったく問題なかった。これで知床チャレンジでやり残していたことをすべて終えることができた。本当の意味で知床チャレンジが終了したとも言える。いや、長かったなー。
保管用にもあと数冊を制作しておこうと思う。ちなみに、ブログを読んでくださる方にもお分けできればと思うけど、どうだろうなー、興味がある人なんているのだろうか。このままウェブ上にテキストとして一切残さないというのもなんだか寂しい感じもするけどね。

※完成した知床チャレンジの紀行記。京都チャレンジと並べてみた。

| 日記 | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0)
プリンタの不具合は亡霊の仕業?

ぼくが毎年ワード文書で作成している年賀状がどういうわけか印刷できなくなった事象は、年の初めからなんだか冴えない感じだったけど、その影響は実は年賀状にとどまらなかった。今回の短い年末年始休暇の中で、ぼくは一昨年の夏に実施した知床チャレンジの紀行記を書籍化する作業をすることにしていたのだ。まとまった休みでもないとなかなか手がつかないと思い、ちまちま作業するのではなく、この年末年始休暇に一挙に仕上げてしまおうという目論見だったのだ。しかし、今回のワードの不具合、印刷はおろか、その前段の印刷設定をしただけでフリーズするという事象の前に、紀行記の作成も諦めざるを得ないと思われた。
原因はまったく分からなかった。このプリンタで去年まで問題なく印刷できていたし、つい先月までこのプリンタのスキャナ機能を使って絵なぞをパソコンに取り込んだりもしていた。ソフト的にもハード的にも、プリンタとパソコンの接続に問題があるとは思えなかった。かなり昔に購入した古いバージョンのエクセルやワードを使っているからかと思い、以前から導入しようかずっと悩んでいたOffice365を購入して導入してみたんだけど、常に最新バージョンであるOffice365のワードですら、パソコンをフリーズさせたので、ぼくはもうがっかりだった。
使用しているアプリケーションの問題でもない。OSのバージョンの問題でもない。ケーブルの接続やデバイスの認識の問題でもない。ちなみに、デバイスマネージャーのテストプリントやメモ帳の印刷なんかは問題ないのだ。なぜかワード、エクセルの印刷周りがうまくいかないのである。

 

なぜだろうとずっと考えていて、もう諦めてパソコンでネットなんかを見ている時だった。ふと思いついたことがあった。
実は一昨年くらいに、A3のスキャナがどうしても欲しくて、某ブ〇ザー社の大型複合機を購入したことがある。この複合機は巨大さゆえに使い勝手が非常に悪く、しかもスキャナの機能がびっくりするほど低レベルで、ぼくの絵なぞを取り込むのにまったく役に立たない機械だということが分かり、購入した1時間後には中古品として売却することを検討しているというアホみたいなデキゴトがあったのだけど、その複合機のドライバソフトをパソコンにインストールするにあたり、一緒にインストールされたいわゆる便利ツールみたいなソフトがずっとパソコンに残ったままになっていたのだ。複合機は売却してもはや跡形もなくなったにもかかわらず、パソコン上には便利ツールが残っていたわけである。対象となる複合機が存在しないのだから、パソコン上に残っていたとしても何ら悪さをするわけではないだろうと思っていた。
もしかして、こいつのせい・・・?
確かにこの便利ツールは、アプリを起動しているわけでもないのに、パソコンのシャットダウンを邪魔するようになっていて、それがいつの頃からかは分からないけど、少し気にはなっていたのだ。
この便利ツールをアンインストールしてみるか、と軽い気持ちでアンインストールしてみた。そして再起動してワードを立ち上げて、印刷設定のアイコンをクリックしてみる。ここでいつもフリーズしてしまうのだ。
しかし、フリーズしなかった。印刷設定の画面が開くのだ。試しに年賀状のファイルを開けてみて、印刷設定ボタンを押す。これもちゃんと開く。ついでにプリンタに年賀状を差し入れてみて、印刷開始ボタンを押す。なんと印刷が始まったのだ。
おおーっ!印刷ができたー!そうか、不具合の原因は、某ブ〇ザー社のアプリだったか。今となっては跡形もない機械の亡霊が今回の不具合の原因だったわけである。某ブ〇ザー社は仕事でもお付き合いさせていただいていて、いい取引先様なんだけど、ぼくのプライベートにおいては、ホントに酷いメーカーである。

 

しかし、試しに印刷してみた年賀状がプリンタから出てきたのを見て、ぼくはまたがっくりきてしまった。
全然印刷できていないのだ。おそらく印字ヘッドがおかしくなっているのだろう。赤青黄の三原色がまるでバーコードのようにカスれた線になっているだけだったのだ。写真や文字などはまったく見る影もない。これはなんだろう、機器の老朽化だろうか?スキャナは毎月のように使っているけど、印刷は年に1回の年賀状の時くらいしかないからなー。使用し過ぎの逆で使用しなさ過ぎでイカれちゃったのかな。せっかくパソコンからの印刷指示はうまくプリンタに届くようになったのに、肝心のプリンタの印字部分が使えなくなってるとは思わなかった。
これでは、先ほどの某ブ〇ザー社の便利ツールの件がなかったとしても、年賀状は印刷できなかった。どちらにしても年賀状は市販のものになっていたわけである。

しかし、印刷ができるようになったことで、滞っていたもうひとつの作業ができるようになる。
知床チャレンジの紀行記の制作である。

 

しかも、手元には今回の一連のドタバタに紛れて購入しちゃったOffice365のワードがある。最新のツールを使って作業することができるのだ。
そんなわけで、この三連休は知床チャレンジの紀行記の書籍化に向けた作業を精力的に進めた。いろいろあったけど、先ほど駆け込みで入稿するところまで行くことができた。写真の解像度が低すぎたとかワードの余白設定が意外に広すぎたとか後になって気づいたことも多いのだけど、まずは1冊だけ試しに印刷してみようと思う。
納品された書籍を見て、いくつか修正する気持ちが残っていたら、追加で2、3冊印刷してみようかなと思っている。欲しい人がいれば差し上げようと思っている。
知床チャレンジから1年半くらい時間が過ぎてしまったけど、ずっとやり残していたことができて良かったわ。

 

※ちなみに、さきこのインフルエンザは処方してもらった薬が効いたのか、熱があがることもなく、今のところ安定している。悪化しなくてホントに良かった。しかしぼくはこの状態に勝手に安心して、書籍化の作業に没頭してしまった。さきこがまだ苦しんでいるにもかかわらず、部屋に閉じこもって何時間も作業してしまった。書籍化は一歩進むことができたけど、これには非常に反省している。本当に申し訳ない。

| 日記 | 21:05 | comments(0) | trackbacks(0)
発症前夜。

度重なる大阪出張でのXデーは、ひとまず問題なく終了しそうな状況である。まだまだ残務処理はあるものの、大きな山をトラブルなく乗り越えることができた。いや、ホント良かったわ。安心した。
さて、そんな大阪出張の中で、ぼくの身体にちょっとした変化があった。喉の痛みである。水を飲むのが辛いほどの痛み。唾が喉を通るのでさえ痛い。これはどうしたことか。ホテルの室内が乾燥していたからだろうか。いや、まさか風邪の初期症状ではあるまいな。
風邪は初期症状のうちに対処する方がいい。風邪かな?と思った時に風邪薬を飲むのである。風邪になってしまってからでは、市販の薬はほとんど効果がないだろう。
しかし、ぼくは出張中で、風邪薬など持ち合わせていなかったので、会社近くのドラッグストアで購入することにした。風邪薬でも喉の痛みに特に効くものがいいかな。ぼくはいくつかの風邪薬を見比べて、主成分の量が一番多そうなものを選んでレジに持っていった。すると、白衣を着た女性の店員さんがぼくに声をかけてきたのだ。
「風邪ですか?」
「そうですね、喉が痛くて大変なんです」
ぼくがそう答えると、その店員さんはぼくが買おうとしていた風邪薬を見てさらに続けた。
「熱とか咳とか他に症状はないんですか?喉だけですか?それなら風邪薬じゃなくて、もっと喉に効く薬がありますよ」
そう言って店員さんは、風邪薬の陳列棚から別の箱を持ってきた。喉の炎症を抑える薬だそうである。
「こちらの方がおススメです」
白衣を着た女性の店員さんのネームプレートを見ると手書きの丸っこい字で「副店長」と書いてあった。そうか、この人はこの店の副店長さんんか。そんな彼女がぼくに勧めてきた薬は、喉に直接薬剤を吹き付けるスプレータイプのものだった。飲み薬ではなく、炎症を直接抑える薬というわけである。
うーん、どうなんだろう、これって効果があるのかな。風邪の初期症状であれば、喉の炎症を直接止めるのではなくて、やはり風邪薬を投入した方が効き目があるんじゃないのかな。目的は風邪を治すことであって、喉の炎症を抑えることではないからな。しかし、副店長になるほど経験のある人が勧めてくれる薬だし、しかもぼくが買おうとしていた薬が1800円ほどなのに対し、スプレータイプの薬は900円ほどである。大阪の商売人がその利を捨ててまでぼくに勧めてくれるのだから、やはり効果はあるのだろう。ぼくは副店長の勧めてくれたこの薬を購入することにした。これで喉の痛いのが和らげばいいが。
しかし、期待とは裏腹に結果的には、喉の痛みは解消しなかった。スプレーをすると一時的にハッカの香りと共に喉がスーッとして楽になるのだけど、痛みが完全になくなるわけではない。しかも水を飲むとせっかくスプレーしたハッカが一緒に流れていってしまう。これではほとんど意味がない。ハッカを喉にとどめておかないと。
まさかハッカだけというわけではあるまい。ちゃんとした薬効成分にハッカ味を加えているだけだよな。ハッカエキスに900円も払ったなんて、どんな悪どい商売なんだ。白衣を着た女性の副店長さんの仮面の裏側に悪どい大阪の商売人の顔が隠されていたなんてことじゃないだろうな。
それでも、このハッカスプレーは一時的でも喉が楽になるので、気持ち的には随分楽になった。とにかくこれでしばらく様子を見ることにして、大阪の事業所に出社したわけである。
冒頭にも書いたように、とりあえず大きな問題はなく、午前が過ぎていった。
その時、さきこからメッセージが入った。さきこはこの日調子が悪くて朝から病院に行っていた。そこで医者からこう言われたそうである。
「インフルエンザ」

 

イ、インフルエンザか?!
おお、なんてこった。さきこがインフルエンザにかかってしまった。昨晩は発熱が酷くて一時は39度ほどまで上がってしまったそうで、それを知ってぼくはびっくりした。ぼくがXデーでバタバタしていた頃、さきこ自身にとんでもないことが起こっていたわけである。インフルエンザを発症した以上、この日は会社には行けない。幸い翌日から三連休なので、そこでゆっくり養生するしかないだろう。さきこは予防接種を受けているので、予防接種に含まれる型のインフルエンザであれば2、3日で落ち着いてくるハズである。
さて、次の問題はぼくである。ぼくはインフルエンザにかかっているのだろうか。
そう、この喉の痛みはインフルエンザから来るものなのか。ただの風邪なのか。ぼくも予防接種は受けているけど、おそらく同じ型の予防接種のハズなので、さきこが発症した以上ぼくも発症するリスクはあるだろう。そもそもぼくの身体にインフルエンザウイルスがいるのか。
インフルエンザの潜伏期間はだいたい2日程度である。さきこが発症したのは劇症化した日の前日だから、その2日前というと1月2日、箱根駅伝を観て夕方前にランニングに出かけた日である。そうか、あのランニングコースのどこかでインフルエンザウイルスを拾ってきてしまったか。だとすれば一緒に走っていたぼくも、ウイルスを取り込んでいるだろう。ぼくの身体にもインフルエンザウイルスが存在しているようである。
そうであれば、ぼくはいつ発症するのだろうか。幸いにして、喉の痛みはハッカスプレーのおかげか、悪化することなく、逆にゆっくりと治まりつつようである。この症状こそが、予防接種で抑えられたインフルエンザだったのか。それとも喉の痛みは別モノで、これからインフルエンザがぼくの身体で猛威を振るうのだろうか。
うーん、これからぼくが39度もの高熱を発するようになるなんて、想像しただけで嫌だなー。きっと熱にうなされて「ううー死ぬー」とか言うんだろなー。地獄のような数日を過ごすことになるんだろうなー。
しかし、一方でなんだかワクワクする気持ちもある。今まで発症すると分かっていて発症したインフルエンザがあっただろうか。これから高熱が出ると分かっていて高熱が出たことがあっただろうか。さきこがインフルエンザを先行して発症したおかげで、ぼくはなんだか稀有な経験をしようとしているように思えるのだ。
身体の免疫がインフルエンザウイルスの増殖速度に追いつかず、これを止めるために本気になって対処する身体反応が発熱をはじめとする諸症状となって現われる。どうせ死ぬ思いをするのであれば、せっかくの機会なので、その変遷をぜひ見届けてみようと思う。
この感覚はなんだろうな。あえて似ているとすれば、映画「エイリアン3」で主人公にエイリアンの卵が宿ったことを知った時のような感覚だろうか。あの忌まわしいエイリアンが、あろうことか自分の身体に宿ってしまった。いつか自分の身体から新しいエイリアンが誕生するわけである。あの時の主人公の感覚はワクワク感とはまったく異なるものだけど、なんだか共通する部分を感じてしまう。
さて、ぼくはこの数日間でどう変化するだろうか。手元の武器は、大阪で手に入れたあのハッカスプレーのみである。

| 日記 | 09:34 | comments(0) | trackbacks(0)
夢想の地平面
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
アクセス解析
 

現在の閲覧者数:
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE